小田原市城下町ホールの問題

   

小田原の市民会館は老朽化していると言う事だ。何となく見たところが煤けているが、使えるなら古い物を大切に使っていて、悪いことは無い、と思っていた。しかし、駐車スペースが殆ど無い建物だから、車で行きにくいというのが、なんとも、具合が悪かった。私のように、中心市街地から離れて暮していて、夜になれば、バスの便も無いところでは、車が止められないようなところは利用しづらい。同じ事でも、南足柄の文化会館のほうがずっと行きやすい。市民会館をいよいよ建て直すと言う事で、そうかな、という程度に思っていた。随分前から、どんな建物にするか、むしろ市民会館をどのように文化活動の拠点にしていくか、そんな事も話されていたそうだ。しかし、具体的に利用していた文化団体が、動いていたわけでもないようだ。普通なら、建設基金のような、積立金をするのだが、それはなかった。いわゆる箱物行政と言う事なのでしょうが、『城下町ホール』を作るらしいと言う事が聞こえてきた。まぁー、そうかな。程度に受け止めていた。所が、これが驚くべき市民不在の成り行きだった。

立派な基本計画は作られていた。議会もこのまま進める事に、一人の異論もなかった。所が、出来てきた設計には、誰しもビックリした。私は、どうせ白壁塗りのお城のまがい物のような建物で、ぞっとするのだろうと思っていた。所が、これが大違いだった。いわゆる設計者の趣味だけという、宇宙ステーションのような奇妙奇天烈な物だった。これには事実を知った人の大半が驚いた。小田原の市長は、城下町サミットというお城が恥ずかしがるような、イベントを無理強情に開こうとして、「お殿様になっった」と散々言われていたところだ。まさか、お城の前に宇宙ステーションは無いだろう。市長のコラムなど読むと、それほどセンスの悪い人には思えない。何処でボタンを掛け違ったのだろう。

『城下町ホール』ちょっと時間を下さい。という署名がまたたく間に。何と32000集まった。新しいホールは欲しいけど、これじゃちょっとおかしいじゃない。事実を知ると大抵の人はそう思う。所が、これに対して、自治会総連合やら文化団体という物が、早く作って欲しいという陳情を出している。自治会総連合がどのような経過で、賛成の陳情をしたかを聞いてきた。理事会で話して決めたという。要するに理事数人で話して決めたと言う事のようだ。市長にしてみると、この数人の賛成が、32000人の反対署名よりも、市民の大多数の声だとなるらしい。とんでもない建物も困るが、それより、何故基本計画どおりに、ホールの計画が進められなかったのか。この点が、納得がいかない。市長は、市民の声を反映しながら、基本計画通りに進めています。と議会では答弁した。口は重宝だ。何でも言えばいいというものじゃない。

市民の声は一応は聞いておく。しかし、それはあくまで形式であって、実際の事は行政が秘密の場所で進めてゆく。これは、小田原行政の慣れ親しんだ手法だ。広域ゴミ処理の事が、今まさに進められているところだが、一切を公表しない。それが不信につながるにしても、そう決めたことだそうだ。国立市の上原市長の市民自治は、どのように市民の参画を計るかが、行政の役割だった。小田原のこの前近代的な方法論は、何処から来たのだろうか。あまりに小田原がいいところで、恵まれすぎているので、市政において大きな問題も生ぜず、市民民主主義が育たなかったのだろうか。行政の説明責任という感覚が、全くに無い。
3月の予算で、市民ホール64億円の借金が審議されるにもかかわらず、具体的な設計すら、まだ出来ていない。市議会議員の皆さん。今回の予算案だけはストップをかけてください。

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