水彩連盟展の準備
水彩連盟では、4月4日から16日新しく出来た、国立新美術館で展覧会を行う。公募展の第一陣を切って、開催する。事務局の皆さんが、何10回の準備の打ち合わせ、下見をされたそうだ。昨日はその実際の作業班が集まり、実務の相談が後楽園の涵徳亭で行われた。相談をするのにこんなにいい場所はない。
涵徳亭は後楽園の庭がそのまま眺められ、話し合いも和やかになる。食事とお酒も出たりして、新年会気分もある。遠くからの絵の仲間に久し振りに会える。金沢から見えたKさんから、今年の雪の様子を聞かせてもらい、金沢の正月を思い出した。雪の正月もいいものだが、小田原での暮らしは、雪があるとないでは大違いで、降らないでくれればと情緒はなくなった。
新国立美術館の設計は黒川記章氏だ。今度は見る人のための美術館になっているらしい。この点は悪くない。しかし、展示する、見てもらう側の美術館ではないという事になる。それはそれで、仕方が無い部分もあって、今までが、展示する側の都合が優先されていた。一番は展示の壁が変わる。何しろ、穴あきボードで飾っていた訳で、これはひどかった。しかも、2段がけ、3段がけ、と言う絵を見る人を馬鹿にしたような、ひどい展示だった。
レストランも立派な物ができたらしい。絵を見て、ゆったりとお茶でも飲みながら、会話が弾む。そんなヨーロッパの美術館のようなものを考えたのだろう。そうなる事を願っている。今までの、都美術館は絵を描く者だけが見に来るような場所だった。公募展という、日本独自の不思議な絵のグループが、互いの公募展を見て歩く。そんな状態だろう。関係者以外は上野まで中々足を運ばない。関係者の美術展だから、少し貧乏に合わせてある。今度のレストランでは、我々が食べれるような安価な物がないらしい。予約すると、500円ぐらいのお弁当が、手に入るらしい。
今度は天井間際までの展示がしずらい構造にしてあるようだ。散々文句もあるようだが、よくなるきっかけになるかもしれない。器を変えることで、絵も変わってゆく、絵が見てもらう為のものと言う一番の基本に、戻る事が出来れば、新美術館のお陰だ。搬入、展示は大分楽になりそうだ。車の出入りが、上野より良い。絵の持込の流れもいいようだ。ここまで整理するのは随分大変な事だったと思うが、長い時間をかけて、美術家連盟などから審議委員が出て検討した。私の先生だった、春日部洋先生も出ていた。良い絵の展示場所が必要と言う、絵描きの願いがやっと実る。
一番はこの新しい場所は、色のない場所だ。傾向を感じさせない場所だ。つまりお城に飾るとか、古民家に飾るとか、デパートに飾るとか。何年も繰り返すうちに、その場所の色になってゆく。場の影響が無いという訳には行かないが、今度は、大都会東京の中心六本木の、ガラスで出来たような、デザイン的な、建物だ。きっと公募展の絵も変わってゆく事だろう。極端に言えば、独裁者の背景画のような、権威的な絵が、そぐわない場に成ることを願っている。そうあって欲しいものだ。