中国への米の輸出
政府は中国への米の輸出を考えている。
①コメ、アジアの店頭に 輸出拡大、生産者に勇気(H18.6.5)
②青森リンゴ、中国に挑む 規格外の大玉、成長株に(H18.6.6)
③鳥取のナシ、台湾で人気 贈答品向け品質で勝負(H18.6.7)
④イチゴ人気品種、アジアへ 「あまおう」火付け役に(H18.6.8)
⑤温州みかん、北米市場争奪(H18.6.9)
⑥緑茶輸出、「高級」で復活 欧米向け味きめ細かく(H18.6.12)
以上は農水のメールマガジンの記事である。
今年の米作況指数は、96と最終的に発表された。特徴的なことは、北海道が105と豊作で、九州が50前後のかつてない凶作となった。温暖化がここでも始まっていると考えられる。2020年から温暖化の為に米は減産に入ると予測されている。その前に、今年のように前代未聞の台風の到来が起こり、九州のような被害が全国に起こる、これは現実的なことだろう。
今年は米の収穫量のなかでは、割合の小さい九州での台風被害であった。これが米処の東北、北海道に、大きな台風が来る事は、かなりの確立で在りうる。東北が50程度の作柄になることが、2年続けば日本の食糧は危機に陥る。明らかに、北朝鮮が日本に原爆を落とす確立より高い。ミサイル防衛の前に日本の食糧防衛をどうするか、考える必要がある。それが国民の生活をする権利を保障する、政府の第一の役割のはずだ。
政府は農産物輸出1兆円を掲げ、農家に幻想を振りまいている。だまされる人もいないと思うが。新潟県では高級米の中国輸出で農家の未来を開く、これを政策目標にしている。日本の米価格は中国の米の10倍だ。これを食べるのは、中国の富裕階層だ。バカバカしくないか。食料と言うものは、暮らしの一番の基本だ。自動車やパソコンとは訳が違う。中国は生活水準が急速に上がる中、食糧生産は均衡が崩れ始めている。いつ食糧輸入が爆発するか大変困難なところにある。ここに目をつけているのはむしろアメリカだ。アメリカは食料で、中国を押さえ込めると考えている。日本が何で、余ってもいない高級米の輸出をしなければいけないのか。
日本が食料輸出を行うと言う事は、その額がわずかであれ、食糧輸入を無条件で行う事を意味する。政府が重要と考えているのはむしろこちらの事だ。アメリカが主張し続ける。「日本の食糧輸入の自由化」をやれ、と言う要求だ。アメリカの要求が日本政府の政策になる、小泉政権で散々見たパターンだ。だまされたらいけない。わずかな中国への輸出の見返りが、日本の農業を破壊する。アメリカの世界食料支配計画が着々と進められている。
日本政府が目指すべき最優先政策は、食糧自給100%。食料は他のものとは違う。他の輸出産業の為に、食糧自給が阻害されてはならない。これは発展途上国の食糧生産にとっても同様な事だ。日本への食料輸出が、その国の経済を支える構造に成っている国は無い。タイの日本への輸出で食料が占める割合は生鮮魚介類中心で、全体の4%に満たない。日本の食糧輸出1兆円政策は、アメリカの食糧を買えと言う事のすり替えだと言う事を、肝に銘じておく必要がある。