東京都美術館
水彩人では、来年10月に東京都美術館で、展覧会を開きます。都美館と普通言います。この美術館は公募展中心の美術館という事で、世界でも類を見ない美術館だった。私が学生の頃、昭和50年に出来た物だそうだ。それが既に老朽化し、建て直しの要望が、都議会に出ては否決されているようだ。
その前都美館は立派な建物だったが、取り壊しまで、50年だったそうだ。今度は30年で空調等が使い物にならないそうだ。そもそもこの建物は、出来た時から、評判が悪かった。見る人に不親切な美術館だ。建物内部の構造が、整理されていないために使い勝手が実に悪いなのだ。
展覧会の開催準備でも、搬入、審査、展示、この環境が実に悪かった。絵を見るような環境ではなく、倉庫の片隅で、鉄の櫓の上で、全てをこなす様な、公募展の絵が暗くなるのは止む得ないような環境だった。又、換気が悪い性か、中の埃がすごくて水彩連盟の手伝いに行くと、気管支をやられた。
しかし、世界の美術館は100年以下で取り壊す予定で作るような建物は、先ず無いだろう。エルミタージュでも、ルーブルでも、建物がそもそも、芸術作品だ。日本の貧困の象徴のような、恥ずかしい事で、こんなに短いスパンでしか考えられない、公共建築の仕組みがおかしいのだろう。
石原都知事になって、東京都立の美術館で、日本全体の公募展を行うのはおかしいではないか、という事が出てきた。普通の考えなら、都民の誇りというか、都民の喜び、と考えるところではないか。そうこうして、公募展専門の、国立美術館が出来ることになった。すでに、六本木に完成した。来年の4月水彩連盟展は、第一陣として、ここで展覧会を行う。
こうして、都美館から、国立美術館に多くの公募団体が移った。当然、都美館は空きが出来た。そこで、ここで開催したい団体の募集が行われた。水彩人は早速応募して、それなりの場所を確保することが出来た。この美術館には、余り知られていないが、4つのアトリエがある。同時にこれも借りて、研究会を開催することになった。
都美館は公な施設という事で、ともかく申し込みが煩雑だ。あれだけのアトリエ施設が、安く貸し出されているのに、余り言いたくは無いが、ガラガラだ。先ずアトリエ利用団体に登録する。これには団体の会計報告から、主旨、会員の住所氏名一覧。など、それは事細かに、提出してその上で審査がある。その結果、許可されるという仕組みだ。当然出向いて、面接も受けなければ成らない。既に、会場を借りる時に、やったことを、もう一度やれというのだ。担当が違うからと言っていた。
いずれにしてもこの面倒なハードルをクリアーして、いよいよ、申し込みを行った。抽選だ。開いている日を狙ったので、結局、競争なく借りられた。
11月の15日と16日に決まった。
水彩人は研究会を開催することは会則で決まっている。水彩画はまだ未開の分野であり、充分な研究がされていない為、作家が互いに研究してゆく必要があるということで、結成されたグループだからだ。いままでは、写生会中心に、開催されてきたが、今回は、アトリエに場を変えて、一人ひとりの作家に焦点を当てて、作家の技法を、公開研究しようという事になった。制作の過程を実施してもらい、その上で、参加者にその技法を学んでもらう。計画を立てている。
今日本を代表する、2人の水彩作家である。「小野月世さんと、川村良紀さん」の2人が今回の作家だ。