熱海不法残土流出事件報告会

この写真はコンクリートの下が水でがらんどうになった舟原溜池の上の部分。5年ぐらいの間にこういう事になった。今回埋め戻した。水みちを止めると何が起こるのかが良く分かる。熱海で起きた建設残土流出事件の生の声を最後の夜にお聞きすることができた。
今日の午後の飛行機で、小田原を離れる。17日間の小田原生活は充実していた。短期間ではあるが、こんな日を送ることができることは幸運としか言いようがない。あしがら農の会の皆さんのお陰である。もうしばらくこんな暮らしが出来ればと思う。邪魔かもしれないが、もう少し宜しくお願いします。
最後の日の夜、熱海の土砂災害の被害者の会の方の話を聞せてもらう会が行われた。県会議員になった佐々木ナオミさんが企画したものである。佐々木さんも農の会のメンバーである。ぜひ建設残土の不法投棄に関して、とことん研究をして法律の制定まで頑張ってほしいものだ。
驚いたことに、神奈川県ではここ20年間の航空写真での地形のの変化から推測して、不法に残土が捨てられたと思われる箇所が、1万か所を超えるそうだ。神奈川県の調査だから間違いないことに思われる。このままでは第2第3の熱海の流出事故が起こる可能性が高い。
ここから2つのことが見える。建設残土を捨てる場所がないままに、大規模土建工事が続いている現実と、耕作放棄された農地が建設残土の捨て場になっていること。新東名高速の残土が山北周辺では農地造成に使われている。トンネルを掘ればその土の行き場がない。
それはリニアモーターカーのようにトンネルばかりだと、その土の行き場は不法投棄以外に方法がない。原発の放射性廃棄物と同じことである。先ず残土をどこに捨てるかを明確にしてから、大規模開発の許可を行うのでなければ、不法な残土処理が続くことになる。
高度成長期のコンクリート建造物は、耐用年数が過ぎて、建て直し時期に来ている。東京の大量の建設廃材はもう捨てる場所がない。結局のところ弱い場所が狙われて、投棄場所になっている。そしてその上に住宅地や墓地が作られてゆくことになる。
この違法で裏でも表でも儲けの出る仕事に、反社会的人たちがうごめいている。それが政治や行政と実は結び付いていて、なかなか有効な阻止が出来ていない。膨大な献金や賄賂が行われていると想像できるではないか。表では東京オリンピックは成功したと言われる裏で、何が行われたのかを考えなければならない。
ダンプ一杯の残土を捨てさせると20万円だそうだ。そうした違法行為に反社会的勢力がかかわっているらしいこと。耕作放棄地になっている場所に、直接的に残土を捨てさせてくれればいくら払うというような話も後を絶たない。もう農地に戻らなくても構わないというような心理が生まれている。
農業をやるのでという希望のある話で、喜んでお貸ししたら、何と残土を捨てられて業者は消えたというような話も後を絶たない。私たちも農地を借りるときには事前に掘ってみなければならない。表土だけ良い土をかぶせて、下はコンクリートガラばかりというところも実際にあった。
農地を貸したのに残土を捨てられてしまったが、報復が怖くてそのままにしてしまうケースが沢山あるようだ。小田原久野でもそうした事件がいくつもあることを聞いている。そして残土を埋め立て跡が、墓地になったり、住宅地として販売されたりしているところもある。
これを見逃してきた一番の責任は行政にある。熱海市行政も不法に建設残土が捨てられていることを知らなかった訳ではない。しかし、恫喝されたのか、あるいは誰かを忖度したのか、形式としての注意程度にしていた。その結果26名の方がなくなり、1名の方がいまだ行方不明という恐ろしい事故になってしまったのだ。
建設残土の処理に関する有効な法律がない。県には残土の条例はあるのだが、静岡県の条例は建設残土の不法投棄を止めるだけの効力がない。神奈川県の方がまだ強い行政の指導や認可権限があるから、神奈川県の建設残土が、静岡県に持ち込まれて捨てられるという事になったらしい。
熱海市盛り土流出事故被害者の会の会長瀬下雄史氏は頭脳明晰な方だった。実にわかりやすく事件の全貌を語られた。お母さまをこの事件で無くされている。その悲しみが広がった。事件で肉親を無くすという悔しさに、黙祷するばかりであった。
この方がいれば、被害者の方々も心強いだろうと思われた。心をあわせてきちっと加害者に責任を取らすまで、行きたい。被害者の様子を語られたときには、本当に辛そうだった。聞かせていただいた全員が悲しみに包まれていた。
加害者である現残土を捨てた土地の所有者は熱海の有力者であり、地元での影響力極めて強い方という人物。それで被害者の中には忖度してしまう人もいるかもしれない。最初に建設残土を捨てた責任の重い加害者は小田原の人で自民党と連帯している保守系の同和団体「自由同和会」の人物。
自由同和会の小田原の人物は、久野のよく知っている耕作放棄地にも、建設残土を投棄していた。名前も実は知っているが書くことは今は出来ない。小田原では有力者と言われるような人物である。その農地でも熱海流出事故と同じ時に、積み上げられた残土が農道に流れ出し、反対側の農地迄流れ出している。
以前から、何故農地をむやみに借りようとするのか不思議でならなかった。やたらに借りたとしても何をやるのかが不思議でならなかったのだ。結局のところ借りて偽装農業を行っていたというようなことになる。例えば貸した土地の草とりなどしてくれれば、年間いくら払うなどと地主さんを説得していたのだそうだ。どう考えてもおかしい。
私の知るある人物も、農地を理由なく借りて耕作もしないので、不思議でならなかった。今思えば手先になって動いていたのではないかと思っている。悪いことを考える人物は自身が歩くのではなく、あれこれ人を上手く動かすのだ。このように、農地を貸して建設残土を入れられてしまうという事件は50年以上も続いていることだ。
昨日は小田原早川の農地への反社会的勢力による、4年前の起きた建設残土投棄事件の被害者からのお話も聞くことができた。この時は小田原市の農政課が対応したのだが、農政課の方からこの事件の話は久野でも注意してくださいという事で聞いていた。弱くなった場所にはこうした驚くべきことが起こる。
小田原市の方も一生懸命対応はしていた。そのことは私もよく知っている。ところがその人自身が騙されたのか、小田原の耕作放棄地を熱海の残土投棄事件を起こした人物が、小田原の耕作放棄地をあちこち借りるのを見逃している。怪しまなかったのだろうか。残念なことだ。
たぶん日本中で起きていることなのだろう。建設残土処理に関する法律を整備するほかない。こうしたことには利権が絡んでいる。だから自民党は対応をしない。あの安倍記念小学校の下には残土が埋められていたではないか。埋めてぼろ儲けをして、掘り起こしてさらに儲ける。
安倍記念小学校らしい、仕組みがある。いかにも自民党的土建の実態を知ることのできる小学校ではないか。あれもたしか、暴力団まがいの右翼団体が絡んでいた。そんな自民党を選び続けている、選挙民が結局は悪いのだ。もう気付かなければ、日本は住めない場所になる。