ひこばえ研究会

   



 7番田んぼ。出た穂をすべて抜いて穂をそろえた。収穫可能な穂の状態になった。一応はひこばえ農法での初収穫ではあるが、稲穂を抜きつづけるというやりかたが、研究ならば良いが農法とは言えない。この田んぼを見るかぎり稲刈りを早めれば、幼穂が早く形成される性質を取り除ける意味は分からなかった。

 7月9日ひこばえ研究会を行った。熱研の小林先生、県の農研センターの大野さん。そしてのぼたん農園のメンバー7人。10時30分から12時30分までひこばえについて、色々教えていただくことが出来た。分かってきたことが沢山あり、有意義な研究会であった。


  一番田んぼである。もしこのまま生育すればそれなりに良さそうだが、小さい株はウイルス病に感染した株だ。ひこばえになり一気に増加した。ウイルスに感染しやすい品種はひこばえの右方には向かない。とよめきは今回で止めることにした。

 一番田んぼで学んだことはどれほど低く根まで刈り込んだとして、節の元は残っていて、そこから新しい芽は出てくると言うこと。その根元の節から出る芽にも幼穂は形成する性格は残っている。その幼穂を出してしまう性格を取り除くのではなく、その新しくでたひこばえが大きくなる間に、どれだけの葉を出すことが出来るかに取り組むべきと言うことがどうも結論になるらしい。

 普通のひこばえは葉が少ない間に穂を付けてしまう。そのために小さなシイナを付けることになり、食用にはならない。そこで穂が出てくる前に葉を多く出すための工夫がひこばえ農法の課題になる。稲で穂を大きくする上で一番重要な葉は止め葉だ。止め葉が大きくなる品種が良いだろう。


 とよめきの刈り取っただけの1番田んぼ。ひこばえの様子は奥の方の感染していないところは良いかも知れない。何故か、土壌が豊かな場所は比較的穂が出てくるのが遅い。理由は分からないが、ひこばえ農法では稲刈り前の土壌の肥料分が豊富にある事も重要になる。


 2番のとよめきのひこばえ。これはただ稲刈りをして出てきたひこばえである。これくらいの株になってから穂が着くのであれば、それなりの収穫が可能になるだろう。こうなった理由は明確には分からないが、たぶん土壌が良かった可能性が大きい。期待して観察を続ける。

 肥料分が多かったか。刈り時のタイミングか。水の状態か。明確なことは不明だが、何か穂が出ることを遅らせる要素が隠れている。この状態であれば、何もしないでひこばえから、食べることの出来る良いお米が収穫が出来る。


 3番田んぼのミルキーサマーのひこばえ。すでに穂が出ているので、刈り戻した方が良いだろう。2番も奥のミルキーサマーは刈り戻したいと思っている。肥料も撒いた方が良いだろう。肥料は10日に、0番、2番、7番、8番と撒いた。


 4番のミルキーサマーの様々な実験の状態。まだ結果は分からない。


 稲刈りについては稲の刈り時を早めた。水分量28%である。稲刈りの時も湛水を続けていたので、水分量は1週間経過しても、そこから下がらなくなった。早めることにどれほど意味があるかは分からなかった。早刈りも遅刈りもまったく違いは無かった。

 山岡先生の考えでは稲は早刈りをすれば、新しく出てくる稲には幼穂が形成されないという考えである。それに従ってみたが、結果としては思わしくなかった。また土壌水分量について、田んぼを乾かしたとしても、余り違いは無いようだ。

 7番も、8番も5月15日20日、水分量で28%ぐらいの時に稲刈りをした。それが1週間早い稲刈りということになる。2ヶ月で出穂期というところである。3ヶ月で出穂期になるように出来れば良いのだが、暑い石垣の夏では無理かも知れない。

 むしろ幼穂が形成されることを前提としてその幼穂が出るタイミングをどのように遅らせることができるかが鍵だと思われる。幼穂をすでに出す形質を持ってしまった稲から、その形質を取り除くことはできない。今のところのその方法は見つからない。

 稲刈りを早めると、イネ株に力が残っているから、次にでる稲穂に力が残り、葉を沢山出してから、穂が
出てくる可能性が高まるのではないだろうか。幼穂形成する性質を取り除くと言うことはどうしても出来ない。少ない葉でも大きな葉がでて得に留場が大きくなればそれなりの収穫が望める。

 また湿潤状態で根を傷めないように稲刈りをすべきと言うことも余り関係が無いことが分かってきた。2週間から3週間水を落として雨が降らずに乾かしてもひこばえは出てくる。むしろその方が良い感じがする分ゲツが出てきていたところもある。この点はまだ分からない。

 出てきた穂をすべて抜き続けた稲は現状それなりの実りの稲になっている。ただすべての穂を抜き続ける努力は余り現実的ではないので、穂が出るより先にどれだけ沢山の葉を延ばすかが重要になる。五枚でれば何とかなる感じだ。穂がある程度出てきたタイミングで、一度刈払機で株を根元より刈り取ってしまうことも一つの方法である。

 低く刈ることで、穂が出るタイミングを遅らせることが可能になる。10葉期定度の葉の状態で穂が出てくることが出来るようだ。この場合、刈払機で株を取り去るときの根の健全さと、土壌の肥料分が関係してくる。肥料を多めにする必要がある。



 0番田んぼは5月10日に稲刈りをした。そのまま管理して、2ヶ月が経過して、少し穂を付け始めたところだ。この調子であれば、あと一ヶ月は穂揃いまでかかりそうだ。ゆがふもちはなかなか穂が出ず、ひこばえ農法に向いている品種かも知れない。ひこばえの成長と品種には強い関係がある。

 ここは一回目の栽培を失敗したというか、管理者がいなかったので、鳥に食べられてしまった結果。さしてお米は採れなかった。それをおもうと、むしろひこばえの方が収量が多そうな感じになっている。今日にでも網を張りたい。



 品種的な問題ではとよめきがウイルス病に感染した。ひこばえは病気を繋げることで広げる。とよめきはその意味で一度止めた方が良いことになった。ミルキーサマーの方が、感染に強いような感じはある。絶対ではないが。その意味で良い品種を探す必要がある。

 今回の整理としては、
1,新しい芽から幼穂形成の性質を取り除く方法は(今のところ)無い。
2,ひこばえに入る穂の出を遅くすることは出来るので、どれだけ遅く出来るかの方法を研究する。
3,暑さに強い品種でないと、感$6EAB性が高いために穂がより早く出てしまう。
4,ひこばえによって病気を持ち越すので、病気が出たら続けられない。
5,ひこばえ農法向きの品種は存在する。
6,深く刈り戻すことは穂の出を遅らせるためには意味があるかも知れない。
7,穂に対してどれほどの葉があるかがひこばえに実った、お米を食べれらるものに出来るかのかぎになる。
8,土壌に栄養分が沢山あることが、短期間に葉を沢山出さすために重要になる。
9,水は稲の生育に最適に湿潤状態が、稲の葉の生長を促進する。
10,2番のとよめきは稲刈りのままで、ひこばえからの収穫が可能かも知れない。理由は不明。
11、早刈りの意味は株に力を残して、ひこばえの葉を沢山出させるためのようだ。
 

 

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