石垣島の風の名前を覚えよう
石垣島では梅雨が明けると、海の方から南風が吹き始めた。田んぼの上を飛ばしている。凧の向きが逆向きになった。しばらく前から、風向きが動き始めていた。それが梅雨が明けると、一定し吹き続ける強い南風になった。
カーチバイと呼ばれる風だ。夏至の日から吹き始める風という事らしい。風と季節の変化が結びついている。田んぼをやっていると、この風の影響が強いので、日々気にしている、湿度が普通に70%以上あるのだから、風に救われているともいえる。
一年の半分以上が熱帯夜である。暑いので暮らせないと小田原に居たころ、石垣島から戻ってきた友人がいる。確かに石垣島でクーラーのない暮らしは難しいと思う。この時期からは寝るときにはいつもクーラーをつけたままである。
それが風の通る家では、夏だって寒いくらいだという。それくらい風がとおり抜ける家でないと居られない。アトリエカーは風が抜ける。窓を両側明ければ、ほとんど外のように風が吹き抜ける。絵を描いているときに、暑いという事がない。
炎天下に車を止めて絵を描いている。車の中が大変な温度になりそうなものだが、大体外気温程度である。高くて34度である。そして風が吹き続けているから、暑くはないのだ。風のお陰様。快適に絵を描いている。
ただこれだけ風に吹かれていながら描く絵は少し様子は変わるのではないかと思っている。目の前のものがすべて風に揺れている。そして、影がない。根風景を見続けていると、どこか落ち着かないものがある。気持ちが変わる。それが絵に出ないとは思えない。
有難いことに、のぼたん農園ではイネに病気がほとんど出なかった。新しい田んぼという事もあるが、風が吹き抜けているという事で空気が淀まない。いつも雨に打たれていて、湿度がこれほど高いのに、イネに病気が出ない。風と上手く付きあって行くことが大切なようだ。
病気が出ないもう一つの理由はバンカープランツではないかと思っている。回りに様々な植物がある。一律イネというところとは違う。回りが広い畔になっているというのは、防風林もそうだが、イネに病気を出さないという事にもなる。
ハイビスカスは防風林として植えたがまだ小さい。ハイビスカスが成長するまでの間は、向日葵とソルゴーで腐食を増やしながら、防風効果を期待したいと考えている。ソルゴーは蒔いて3日目に発芽した。上手く成長しそうで期待している。
風と言えば台風である。7月3日が次の稲刈りなのだが、何とかそれまで台風に来てもらいたくない。その次のイネは8月初めという事になるひとめぼれである。これは台風覚悟に遅く植え付けた。早く始めた1月初めの浸種のイネは台風を逃れてもらいたい。
そしてどうもこの種まきの時期が稲の成長にかなり影響がありそうである。同じ品種でも1か月時期がずれると生育が変わる。まだ印象としてしかわからないが、6月天気が回復してからのイネの成長が目覚ましいものがあった。
5月6月と悪天候であった。それでも6月に強い光が短時間だが当たった。雨は降るのだが、短い強い日照がある。この短時間の強い日照がイネを復活させた。丁度穂肥を与えたころからである。イネが再度成長を始めた。
それから分げつが増え始めた。普通であれば無効分げつになる。ところが結果的にこの分げつから出た穂が、立派な穂になっている。まだ青いのだが、100粒は超えている立派な穂になった。だから大きな株は30本越えの穂が付いている。
5番田んぼは途中で鴨と、イノシシにやられた。それは対策をして防いだのだが、何とも寂しい状態のイネになっていた。6番が砂地の田んぼという事がある。もうこれはどうしようもないと思っていたところ、5月あたりから回復を始めて、今はそこそこ取れる田んぼに戻っている。
6番は後から出た穂がまだ青いので、これが色ずくまでは稲刈りはしないで置いた方がいいだろう。少し先に延ばせば、7,8俵は採れる田んぼになりそうだ。2,3,4番田んぼは畝取りも出来るのではないかという状態まで来た。
稲刈りが楽しみになってきた。とよめきで心配だったのは、味のことであるが、先日少しだけ精米して食べてみた。これが意外においしいのだ。私の好みという事もあるかもしれないが、さっぱり系の味わいのあるお米だった。これを玄米で食べるとかなり美味しいお米と言えるかもしれない。
有機農業向きのお米かもしれない。もう少し作り続けなければわからないことだが、私には十分なお米に出会えたという気がしている。籾摺りが出来るのは最後のひとめぼれの収穫が終わってからなので、まだ1か月以上ある。可能であれば、一袋だけ籾摺りをさせて貰いたいところだ。
以下沢山の風の名前を拾い出した忘れないようにここに残しておく。
ニシカジ 北風トゥラヌファカジ(東風)な アーリーカジ
クチカジ・クチブキで、「クチ」は「コチ(東風)」
「午の
方位の風」を意味するンマヌハカジ南東風
方位の風」を意味するンマヌハカジ南東風
ハイカジ・ハイヌカ ジ類
イリカジ西風
南西風では八重山地方でのサンヌパカジ
北西風 八重山地方でのニヌパカジ・ニヌフリカジ。
旧暦 2 月頃に発生する暴風であ る「ニガチカジマーイ」
4 月に吹く「シガチフキアゲ」
西風に変化し、最終的に強い北風のイーカジに変化する、時計回りのイーカジマーイ
東をアガリ、西をイリ、南をフェー、北をニシと言う地域
北東がトゥラヌファカジ(トゥラヌワカンジ)、南東 にンマヌファカジ(ンマヌワカンジ)、南西にサンヌパカジ(サンヌワカンジ)、北西にニヌパカジ (ニーヌワカンジ)という、十二支の語を持っている。
夏至南風(沖:カーチーベー、宮・八:カーチバイ)、
新北風(沖:ミーニシ、宮・八:ミーニス)(後略)」など
カジヌナー(風の名)。ニングヮチカジマーイ(二月風廻り)
四月に来る風をフサーギといい、急に天候が悪化して台風状態になる。これは波を伴う。
五月に吹く風をヘーフキ(南風吹き)
種子取南風(タントゥイベー)、歳暮南風(シーブバイ)、星昼間の南風(プスプローマヌパイカジ)、二月風廻り(ニングヮツィカジマーイ)、うりずん南風、穀雨南風(ククウベー)、白鳥北風(スストゥイニス)、芒種南風(ボースーベー)、夏至南風(カーチーベー)、悪風(ヤナカジ)、涼風(シダカジ)な
梅雨どきの初めに吹く風を“黒南風”(くるふぇー)
梅雨明けの6月中旬ころに吹く風を“白南風”(しるふぇー)