ドローン兵器という軍事力の変化

   

 軍事的な安全はIT技術の出現で大きく変わりつつある。核兵器は確かに最後の大きな武器ではあるが、使用したときが終わりの様な武器である。次の社会で実際に脅威になるものはIT兵器であり、ドローン兵器である。化学兵器のこともあるが、これは一応使えないという事にはなっている。

 今回サウジアラビアの石油施設がドローン兵器の編隊により、攻撃を受けた。その攻撃はイランがかかわっているという事で、世界から非難が起きている。日本はイランとの関係が強いので、批判は避けている。安倍氏が仲介しようとしたときに、日本のタンカーが攻撃された。あれはその後どうなったのだろう。
  ドローン攻撃に直接的にイラン関与していないとしても、イランの開発した技術が背景にあることは確かなようだ。イランの内部に軍事強硬派のような勢力があり、それが独自に動くような印象がある。

 ドローン兵器は大抵の国が開発できる兵器のようだ。こうなってくると、武力による防御という考え方は、根本から変えなければならなくなる。テロ組織がドローン兵器で国の中枢を破壊するようなことは、常に起こりうるという事だろう。もしこれが、オウム教団の様な組織が持ったとしたら、と考えるだけでも恐ろしい。

 戦争の姿は変わってきている。基地を作りそこから軍用機を飛び立たせて攻撃するというようなものは、次の時代には役立たなくなるだろう。海底に浮遊しているような軍事基地。突然そこから、ミサイルやドローン兵器が飛び立つというようなものに変わりつつある。北朝鮮が開発している潜水艦から発射されるミサイルもある。さらに宇宙の基地から、ドローン兵器がばらまかれて、攻撃してくる可能性もある。軍事基地は移動していて、把握されにくいものである必要がある。

 その存在を特定しにくくするという事が基地として重要な要素になってきている。サウジアラビアの石油基地が攻撃を受けたように、動かない特定されやすい、攻撃目標は防ぎようもなく攻撃されることになっている。基地も同じことになるだろう。

 IT兵器の開発も急速に進んでいる。IT機能のあるドローン兵器が敵兵をめがけ発射される。人間と補足されれば、無差別に攻撃をすることになる。その性能は間違いなく人間を超えているから、人間の兵隊よりもはるかに有効な武力という事になる。

 ドローン兵器が制限できないことは明らかである。大半の国が開発可能になっている。すでに開発は防ぎ難いものである。この点で、核兵器とは大きく違うものになる。アベ政権が仮想敵国とする、中国は間違いなく、このような武力の先進国であろう。これは核の傘と違って、攻撃側が極めて有利な武力である。
 ドローンによる過疎地域の輸送手段などというものが進んでゆくという事は、いつでも兵器に変わり得るという事だろう。これがステルス化されれば、補足すら相当に困難になるだろう。

 海底の何処からともなく攻撃することもあるだろうし、上空から突然ばらまかれる可能性もある。防御側よりも攻撃側の方が、優位に立つ可能性が高まっている。もしドローンによる細菌攻撃が展開されれば、手の打ちようもないのではなかろうか。一部の過激派によって、世界は崩壊する可能性すら生まれてきている。

 ここまで攻撃兵器が進化してしまったという事は、新しい平和のための枠組みを考えなければならないという事だ。武力衝突は出来ないという事だ。人類の滅亡も一層現実味を帯びてきた。日本がどれだけ高い技術で防衛体制を作っていたとしても、ひとたまりもない。

 日本の国防は完全に見直しが必要になっている。敵国が攻撃をする気になれば、防御はほとんど不可能と考えなければならない時代に入った。アメリカはイランへの攻撃をためらい、出来ないようである。私は良かったとホッとしたが、アメリカは攻撃を仕掛けた時、起こるであろう反撃の事態を想定して攻撃を中止したのだと思う。
 強大なアメリカですら、イランの攻撃を防ぐことが難しいのだ。イランに反撃する正義を与えたとすれば、どんな事態が展開するだろうか。中東に展開するアメリカ関連施設は、防ぎようのない危機にさらされるという事になる。イランとサウジアラビアが戦争になれば、第3次世界大戦になりかねない。

 こうしたドローン兵器の攻撃は今後も起こるに違いない。日本の防衛体制をどうするかである。日本が攻撃をされないためには、攻撃をしたら反撃でひどい目にあうだろうという抑止力が一つ。もう一つは日本はよその国を攻撃できないという平和主義である。
 抑止力は現状アメリカに依存している。アメリカと同盟というより、属国体制である。日本の右翼勢力すら、アメリカ依存を評価するぐらいである。属国である日本は嫌だ。だから抑止力を原爆を持たない国同盟で作る必要がある。

 理想目標としては理由なく他国を軍事攻撃をしたら、国連の所有する兵器で攻撃を受けるという体制が良いのではないか。現実としては、いまだ国連が充分な機能ではない。国連を改革し、小さな軍事力のない国の、権益を連携して守る必要がある。平和憲法の国である日本は、そうした世界の安全保障体制を国連主導で作ることが、日本の役割ではないだろうか。

 日本は現在アメリカという、最近訳の分からなくなってきた国の核の傘の下にいる。強国が支配する危険よりも、国連というような機関が非道な行いをする、国に対して反撃をする形の方が望ましい。それもIT兵器であり、ドロー兵器が良い。人的被害が少ない形で、国連が反撃をしてくれる。それが抑止力として機能する形が良い。

 しかし、今回のサウジのドローン攻撃でも、誰がやったかの特定ができない。これでは反撃の要請もできない。日本は徹底した監視体制を作る。これこそ日本の安全保障である。日本に攻撃を仕掛ければ、どこの誰がやったのか、たちどころに証拠が示せる体制である。

 これには宇宙からの監視も必要であろうし、日本全体に及ぶ防空監視システムの構築も必要であろう。同時に行わなければならないことは、国連が中立機関として証拠を調べ、確定を出来た時には攻撃を行う能力である。それだけの能力を国連に持たせる努力を日本も行う。この2つが日本のやらなければならないことだ。
 地上型の軍事基地の意味合いは年々減少している。沖縄の米軍基地は、象徴的な意味しか持たなくなるだろう。いまさら辺野古に軍事基地を作り、琉球弧全体を日本の盾にするという発想が陳腐すぎる。防衛こそ科学性が必要だ。辺野古に基地が出来る頃には役立たなくなっているに違いない。

 と言っても現状では国連にはその能力がない。国連がその機能を持てるまで、どうするのかはまた別問題なのだろう。当面、原爆を持たない国連合を作る。国内的には明確な証拠がつかめるような、監視システムを作る必要は、緊急課題だ。琉球弧の基地建設費をそちらに回す必要がある。



 
 
 

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