アベ外交成果なし
日ロ首脳会談は何の成果もなかった。成果がなかったどころか、ロシアはその後北朝鮮との関係を強めている。日本の役割は期待もされていなかったこともあり、報道もおざなりであった。北方4島での共同経済活動の為の調査をすることになったというのが、日本政府の発表した前進だそうだ。すでに前回の会談から4か月も経っている。実行されたのが6月末でやっと調査を始めるという事ではさすがに時間がかかり過ぎではないだろうか。まして北方4島の帰属に関しては何の話もなし。それはいいとしても、何故北朝鮮と接近を始めたのか。安倍氏は自分が総理大臣の間に返還させるのではなかったのか。ドイツでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議出席でも、さらなる成果はなかった。確かにEUとの貿易交渉では前進したが、それは日本の企業が望むことで、食糧自給にとっては一歩後退である。外交としては成果ゼロと言えるのではないだろう。そもそも、アベ政権がアメリカに隷属している状態で、外交交渉をやったところで良い成果などあり得ないのだ。
アメリカがどう考えているかが重要なことなのだ。ロシアや中国から見れば日本が自立国家には見えていない。アメリカの使い走りが来たぐらいにしか見えないのだ。日ロの平和条約の締結は口先だけのことになっている。日本がまず独立国家にならない限りロシアとの友好関係は結べない。今回の日ロ首脳会談で分かったことは、日本の国際社会での立場だ。でたらめなトランプの提灯持ちという立場だ。大統領選挙の頃から書いてきたことだが、トランプは中国と友好関係に変わるはずだ。その時、アベ政権の中国敵視で、憲法改定をしようという戦略が崩れるという事を期待している。仮想敵国を作り、自己正当化を図るやり方は良い結果を生むはずがない。北朝鮮の核武装を止めさせる根拠は、世界中から核兵器を無くすということ以外にない。中国、ロシア、アメリカが核保有していて、何故、北朝鮮にだけ許されないのか。こういう論理が北朝鮮にはある。国連がどう制裁決議をしようが、核保有国が有利に世界を動かくしている現実の中で、武力主義においては手下になるか、核保有国になるかの選択肢しかない訳だ。
日本には核廃絶に向けて、ひたすらの努力をする義務がある。それが人類の唯一の希望だ。被爆国日本の役割のはずだ。にもかかわらず国連の核廃絶条約の批准にも加われなかった。アメリカに怒られたからだ。何処の国だって手下でいることは良いことではない。しかし、北朝鮮のように悪の枢軸と名指しされた国としては、核保有以外に生き残る道は選択できない現状がある。良いこととはもちろん思わないが、そういう選択に落ち込まざる得ないのが世界の現状である。トランプは日本や韓国の核保有を認めると発言したことがあった。それがアメリカファーストの論理の行き着く先である。それではなぜ、北朝鮮が北朝鮮ファーストでいけないのかという事になる。全ての国が自国のことだけを考えていたとすれば、世界は戦争状態に必ずなる。互いに譲り合い、互恵関係を構築する以外に、世界が戦争をしないで済むことはあり得ない。世界に戦争の火種は尽きないだろう。領土問題、経済格差、宗教対立、民族問題、食糧不足。どの問題も解決できるどころか、より深刻になり始めている。
アベ外交は日本の国会を避けるように続けられているが、いかにも成果のない結果になっている。日本が平和主義を捨てようとしているからだ。北方4島にアメリカの基地が作られるのでは、ロシアとしては耐えがたいことになる。日本国憲法は70年である。日本国憲法は世界のただ一つの希望である。もう一度その原点に立ち返る以外に世界が破滅から逃れるすべはない。世界中が自分のことだけを考える方向になってきている。その中で唯一世界全体のことを考えられる国としての、日本国の価値を探し求めるべきだ。理想主義だと言われるとしても、それ以外に世界が破滅から逃れる道はないのだ。武力主義による平和は危うく崩れかけている。北朝鮮の核弾頭がいつ発射されるかわからないのだ。それを止めることは誰にもできない。先制攻撃をするなどという発想で、日本の安全が確保されることはあり得ない。もう武力では平和は来ないという前提に立って、平和の道を探るのが日本の役割だと思う。