「べっぴんさん」の後の「ひよっこ」

   

NHKの朝ドラはほとんど見ている。前回の「べっぴんさん」は脚本が弱すぎるので、さすがに見るのを止めた。始まった時にダメだと思った時は止めた方が良い。後味の悪い作品。靴屋の麻田さんを市村正親氏がやっていて、そこだけは良かった。学芸会レベルという意見もあるが、学芸会に失礼というものだ。まあ、見なければいいのについつい習慣で見た私が悪い。やっと終わって、あまり期待もしないで見た「ひよっこ」はいい。主演の有村架純さんがなかなかいい。北茨城の昔の農家の暮らしが特別にいい。あれこれでてくる農作業をこれは違うとか、こうだったよ。と言いながら楽しんでいる。稲刈りの田んぼがぬかるんでいる。昨年はどこの田んぼもこうだった。実はあれは珍しいことだ。倒れていないだけでも大したものだ。鶏も出てくるが、イサブラウンのようだ。こういう鶏は昔は居なかった。養鶏家として時代考証的に間違いを指摘させてもらう。まあ、いいか。

私もああやって卵を産んでいないか、たびたび鶏小屋に見に行ったものだ。鶏小屋はあれは違う。まあ、いいか。何度でも見に行きたくなったものだ。卵を食べていいと言われて子供たちが大喜びする場面がある。その通りと膝を叩いた。卵は卵屋さんが買いに来てくれるので、1個10円の貴重な現金収入である。これを子供が食べるのはめったにあることではない。たまに許されるのだが、3人で一個を分ける卵かけごはんだった。醤油を沢山いれれば問題なかった。たぶん田んぼに関しては、昨年田植えから一年を通して景色をすでに撮影しいるのではないか。そうではなく作秋茨城の田んぼの場面は撮影していて、後は東京に出てしまうのかな。茨城の農村場面を大切に出してほしい。出稼ぎのことも、あの辛い感じをきちっと表現してもらいたい。秋田からの出稼ぎの2人にエレベーターの現場で助けてもらったので、仕事場の空気やドヤのこともわかる。

有村架純さんという主演女優はあまちゃんの時に比べて、別人と思えるほど演技に自然な感じがでていて良い。私の子供の時代の藤垈では、母の妹のやすこおばさんがちょうどあの姉さんに重なる。やすこおばさんは中学生だったのだが、朝ごはんを薪で焚いて食事の世話をしてくれていた。おばあさんもいたのだが、病気がちだったのだ。やすこさんには親代わりに面倒を見てもらった。その後一緒ぐらいに東京に出て、やすこさんは東京の高校に行った。つまり姉の嫁ぎ先である、私の家に一緒に暮らして高校、大学へと働きながら通った。その後静岡の高校の教師になったが、もうだいぶ前に亡くなってしまった。藤垈にいた頃は畑仕事を一緒に良くした。草取りをしていて大変になると、やってあげるから遊びに行っていいよと言ってくれた。農作物を自転車に積んで、甲府の市場まで暗い内に出て、売りに行っていた。それが中学生だったのだ。「ひよっこ」以上の状態である。ひよっこに出てくる、あの小さな弟に自分が重なる。

母親もいるというのはうらやましい。私が藤垈に預けられているときは、母親は居ない。しかし、あの母親は違う。農家のお母ちゃんにはあんな人は居なかった。まあ、いいか。藤垈で高校に行くというのは、結構少なかった。普通は甲府か東京へ就職である。ドラマではこの後東京に出て働くことになるとみている。たぶん、あの西洋レストランで働くのだろう。農村の暮らしをドラマに残してもらいたいものだ。東京と農村の高度成長期の受け止め方の違い。働き手のいる家と、そうでない家の違いなど。貧困な農村ではあるが、実はこころ豊かな暮らしがあったという事も映像化してもらいたい。田植えに戻るのでもいい。もしかしたらいまそういう準備をしているかな。苗代なども出来れば出してほしい。私には、昔の障子と油紙を使った苗代の記憶がある。そうだ、連ドラ「まれ」では養鶏場と麦畑を出してくれた。まだ田植え機は来ていないはずだ。初めて田植え機が来たお祭り騒ぎも結構いいと思うのだが。

 

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