里山 新日本風土記
NHKに新日本風土記という番組があるらしい。一度も見たことはないのでらしいとううことだが、朝その縮小版をやっていてそちらの方はたまに見る。「あはがり」という奄美出身の朝崎郁恵さんという方が唄われる唄がテ―マ曲になっている。この唄がすごい。意味は分からないのだが、自身が作詞されたと説明されていた。唄の力というもののが今の世に存在していることを感じさせるものがある。この唄の言葉で暮らしている人々がいる。この唄が通じ合う人がいる。そう思うと日本は捨てたものではない。まだ大丈夫だよと「あはがり」が流れる。同時に里山という番組が放送される。どういう関係で構成されているのかはわからないが、日本の里山が記録されている。東京にある里山などという視点である。「ニッポンの里山 ふるさとの絶景に出会う旅」とある。「人の暮らしと多様な生き物を育む自然が見事に調和した日本ならではの美しい環境、里山。
田んぼや雑木林、放牧地や茶畑、さらに海辺や神社など日本全国には人と生き物が共存する里山がたくさんある。」と書かれている。神奈川県では相模原の青根集落とヤマアカガエル。そして大磯海岸のアオバト。2つが取り上げられていたようだ。石垣島では白保海岸のサンゴ礁。どこも記録映像になるのかもしれない危うさがある。白保海岸のサンゴ礁は新空港で埋めたてが行われた。私はいつもその飛行場を利用させてもらっているので、何とも複雑な心境になる。今年は90%もサンゴが発火したところがあると報道されている。温暖化の影響問われているが、それだけではなく山の状態、水の状態も関係しているに違いない。石垣飛行場には強い反対運動もあったのだが、出来上がり私も使う。今度は、白保海岸に流れ込む川の上流に広大な自衛隊基地が予定されている。国防は国の専権事項だから、石垣市民は発言が出来ないのだそうだ。悲しいことである。その悲しみに、あはがりの唄がよみがえる。
「あはがり」
作詞:朝崎郁恵
曲 :沖縄民謡
浮世・・・仮島に何時(いてぃ)がでぃむ 居らりゅむぃ
情けあれいよ 仮那(かな)くぬ世ば うさむぃれぃがでぃ
節や水車めぐりあわそ
てぃきぬあはがりし たましゃうどぅてい
いきしゃん くとぅあてぃむ 天と大地や
てぃきぬあはがりし たましゃうどぅてい
(意訳)
この世は神様からいただいた仮の世
いつまで留まっていられましょうか
命を敬い 生きていきなさい
この世の生をなし終えるまで
時は巡る 水車のように だからまた巡り会える
月明かりの下で 人々は喜び 魂が踊り明かす
どのようなことがあろうとも 天と大地の間
月明かりの下で 人々は喜び 魂が踊り明かす
NHKより
あはがりとは明がり、全てが明るいという意味らしい。暗がりという意味の逆なのだろうか。もう一度ニッポンと語られる。この言葉が耳に残る。たまたま日本列島に生まれ、生きる。この水土に育まれ、この水土に生かされる。そしてこの水土に帰らせてもらう。その数十年の年月を日本列島という舞台で、人は喜び、魂が踊りあかす。その幸運を思う。人の暮らしが作り出した絶景がある国。その美しさを知ることができたものは、緩やかに、状況に応じて、連携する必要があろう。そして何があろうとこの水土の絶妙なことを忘れないことだと。そう思うだけでも十分である。何もできないからと言って空しくなる必要はない。「いつか、日本の里山が、水土がよみがえる日が来る」そう思うだけで、実現するものだ。思う力。忘れないで思い続けたい。