大相撲九州場所

   

大相撲九州場所が近づいてきた。今度の九州場所は見どころ満載である。待ちきれないほど楽しみでワクワクしている。九州場所は大相撲の歴史に残る重要な場所になるはずだ。転換する場所になる期待である。モンゴル勢全盛の時代が終わるかもしれないという場所になる。相撲には、部屋ごとの波というものが感じられる。部屋の勢いで良い力士が次々と生まれ、上意を一門が占めるという事になった。同門の取り組みがなかった頃は、最高の取り組みが見られないという事になって、同門でも取り組みを組むことになったくらいだ。それでも部屋ごとに時津風時代、花籠時代、九重時代。モンゴル勢は部屋でも同門でもないが、一つの潮流のように盛り上がった。

まずは豪栄道の横綱取りである。豪栄道は大関になって以来、本領を発揮できないできた。稽古場横綱と言われている強さが本場所で出たことがない。強いはずと思われる片りんはむしろ捨て身技である。場所の相撲を見ていると、大関の地位を守ることが精いっぱいの力士と思わざる得なかった。ところが先場所全勝優勝である。その前の場所には負け越してカド番だったのだから、驚くべき変貌である。何が変わったかと言えば気持ちである。本来の投げ技相撲が戻った。引き技をしなくなった。すべて立ち合いが良くなったという事になる。変えたのはライバル大関稀勢の里の横綱挑戦ではなかったか。何度も横綱挑戦に挑む稀勢の里の姿に、何か豪栄道の気持ちを変えるものがあったのではないか。横綱を目指す今場所気持ちがどうなっているかである。心が横綱にふさわしいかが問われる。

次の興味は白鳳の復活なるかである。白鵬ほど強い力士は相撲の歴史でも10名といないであろう。どれほど強い力士であっても、衰えるときは来る。その衰えてゆく姿の中にも、最強力士の本質が現れるものだ。白鵬は衰えが見え始めてから、全力で相撲を取るようになった。そして全勝優勝までした。白鵬は別格に見えた。しかし、全力で相撲を取るという事は、間違って負けてしまうということになる。加えて後半戦にまで体力が残らない。疲れが残っているとどこか身体を痛めることになる。負けるとさらに力を出そうとして、墓穴を掘る。それでも白鵬は最後の気力を振り絞って、全力の相撲を初日から取るようになったから見事だ。確かに強い。強いが故に危うい。そして、いよいよ九州場所には、もう一度強さを取り戻せるのか、見ものだ。

そして若手の台頭。まずは初三役になった御岳海である。まだ三役を張るには役が重い。先場所も幕内上位で勝ち越せば大したものだと言われながら、10勝した。何か不思議な強さを持つ力士である。相撲はまだ完成していないながら、何処までやれるのか興味深い。この場所勝ち越せば、相当の力士になるだろう。そして、人気者遠藤である。先場所は驚くことに13勝して、一気に3枚目まで上がった。遠藤相撲と行ってもよいような完成した相撲を見せた。ともかくうまい。若いのに上手すぎる。しかし、そのうまさで13勝したのだから、いよいよ3役挑戦である。上位陣に通ずるはずもないと思いながらも、一番一番応援に力が入る。

そして、高安の大関挑戦である。高安は正確に少し不安があった、高安は驕る性格のようだ。最年少で役力士になり、自分の力を過信したきらいがある。良くなったと思うと、過信して負けるようになる。手抜き相撲でも勝てるように思ってしまうようだ。先場所も後半戦で会力士に3連敗した。謙虚に相撲が取れれば、大関の力はある。技と体力では間違いなく大関の器である。少し太ってきたところが心配なところだ。

一方、鶴竜のようにどうしちゃったのかという力士も、見ものと言えばいえる。九州場所でぜひ立ち直ってもらいたい。鶴竜は名横綱になれる資質がある。なかなか風格がある。勝負を超えて見事な相撲を完成を見せてもらたい。まだこれからの力士である。照ノ富士もそうだ。先場所4勝しかできなくてまたカド番である。上がってきたときから横綱と言われた力士である。故障さえなければという事だが、故障するという事も力士の強さの内である。日馬富士は満身創痍の状態だ。日馬富士の相撲は完成させたのだと思う。あの速い相撲は過去に例がないのではないだろうか。すごい相撲を取るが、今は痛々しい。モンゴル勢に陰りが見えてきている。九州場所は興味満載である。

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