小田原の農地価格
先日の農地について詳しい農業者の方から、最近小田原であった農地の取引価格について伺う機会があった。1反50万円で最近取引があった、と言われていた。そこには何人か行政関係の人がいたが、みなさんそこまで下がったのかと、驚かれていた。確かにそういう事はありうるという気もしてきた。土地取引は特殊事例もあるから一概には言えないが、これは特別の条件がある訳ではなかい普通の使える農地という事である。一坪1500円という価格である。その昔、55年前房総に土地探しに行った時を思い出した。一坪1000円と言われていた。いよいよ、持っていることが負担になってきたのかもしれない。国の方針として、放棄農地に課税を強化しようとしている。なかなか進まないようであるが、いつかは課税となるのは間違いない。農地の集約化は誰もが反対を出来ない政策である。将来計画を示すだけでも、放棄農地の価格を下げているのかもしれない。農地所有が孫子の為の安定資産という時代が終わろうとしている。
3反あれば最低農家として始められるとすれば、300万円用意すれば、農家として出発できるという事になる。良い時代になったものだ。農地を耕作しないで所有しているのは、資産としての価値を期待しているからだろう。しかし、資産として将来性がなくなっているという事で値崩れが起きたという事かもしれない。この30年間小田原周辺の農地価格は一貫して下がっている。農業で生計が経たない。よほどのことがなければ公共事業用地にはならない。駐車場や、アパート経営も人口減少地域となれば、期待薄である。いくら利息が下がったからとしても採算は難しい。となると農地を手放すのも早い内の方がまだ買い手がいるという事かもしれない。私が知っている事例では5年前で1反150万円という取引を知っている。その場所は斜面であるが、日当たりは良い場所だ。畑として使えない場所ではない。50万のところが農地としてどのレベルかはわからないが、使える農地でも1反100万円ぐらい見て置けばよくなってきたという感触である。
2016年 公示地価 前年比 -3.39% 下落 小田原市久野字南舟原二3303番ロ外 3万9900円/m2 これが私の棲んでいるところ周辺の土地価格である。今宅地で売りに出ているもので、15万円から10万円くらいである。私が越してきたころは、30万円くらいはしたので、3分の一に下がったという事だ。下げ止まり下げ止まりと言われるが、さらに下がることは間違いがない。こうした傾向は、日本中の人口減少地域に起るべくして起こっていることだ。株価とか、円相場などというものより、日本経済の実態を表していると思う。特に農地については、利用価値がない。転用の期待だけが農地の価格をつり上げてきたが、今のところ、農地の転用には歯止めがかかった。転用が出来たところで、宅地開発、工場の誘致など限界が見えている。そうした日本人の本音が土地価格に見えている。
政府が農地に対して方針を立て無ければならない。農地法の改正をする。農地の将来の全体の構想に基づく、利用色分けである。A まず国際競争力が可能だとする,集積すべき農地を決める。B 農業経営として成立不可能であるが、維持する価値がある農地を決める。C 残りをその他の農地とする。この3種に色分けをして、税金や、利用の仕方も方向づけてゆく。Bの維持する価値があるが、農業経営は不可能という農地については、環境的な要素。食糧自給的要素。などを考慮して国が農業維持を保証をする。Bの農地が放棄された場合は、国の所有とする。Cのその他の農地は、私にはあまり考えられないのだが。もしあるとするなら、それは山林に戻す。