サッカー汚職問題
世界サッカー連盟では、幹部が賄賂容疑で逮捕された。選ばれたばかりの会長が辞任である。汚職の疑いが言われている。逮捕された14人の中には実行委員会のジャック・ワーナー元副会長、ジェフリー・ウェッブ氏ら現職副会長2人、スポーツマーケティング部門の幹部4人も含まれている。今後再選された、ブラッター会長への疑いも言われている。どの道この汚職の闇は解明される事はないと見なければならない。何故、これほどひどい事態になるかと言えば、世界が金権体質だからだろう。お金をすべての価値に優先して、倫理というものが薄れて行く社会。特にプロスポーツは賭博と関係しているし、公営ギャンブルの一つにサッカーくじというものさえある。最近サッカーを取り巻く様々な事件には目に余るものがある。原因はアマチィアリズムが失われた所にある。金にならないものは価値が無い。と考える風潮である。金にならないものこそ価値があると言うのが、武道ではなかったのか。何か好きな事を行うなら、お金とは関係の無い所で、自分を磨いたほうがよい。
高校3年生のサッカー部員が、韓国に親善試合に出掛けて、何と集団万引きを大々的に行った。韓国釜山のアジア大会でカメラを盗んだ日本選手の衝撃事件に続いての恥辱の事件である。日本人という誇りの問題である。本来健全であるはずの、スポーツに専心する若者が何故こんな馬鹿げた事件を起こすのかである。まさかという事件が連続する所に、今の日本の問題が表れている気がする。つまり、競争に勝てばそれで良いという風潮である。スポーツに強ければ後の人間の方は、大目に見る。例の大学で教えていた金メダリストが飲酒した女子学生を暴行した事件すらあった。今回の高校生たちは、日本と韓国の現在の関係を全く理解していないに違いない。関係がなかなか難しい所に乗り上げている。親善試合に行く高校生が何を期待されているのか、試合に勝つこと以上に、日韓の友好であるという事を少しでも理解していたら、こんな事件が起こるはずがない。この高校はどんな教育をしていたのか、根本から考え直してもらいたいものだ。
高校生の行うスポーツはあくまで教育の範囲である。学校の経営の為に、生徒を競わせる傾向に問題がある。その為に優秀な選手は、甘やかされ社会常識が育たない。やって良い事と、間違ってもやってはいけない事の判別がつかなくなっている。多分韓国で万引きで捕まっても、自分の起こした事件の重大な意味を、いまだ充分には理解できていない事だろう。能力主義の悪い一面がこんな形で現れた事件だ。アジア諸国との交流事業を行う学校には、文部省から注意を喚起する必要があるのではないか。この事件で気になる不安は、サッカーという種目である。サッカーは世界一のプロスポーツの世界である。そうしたプロスポーツを目指す人達に対する学校教育の対応が出来ていないのではないかという事だ。
パリの地下鉄で、サッカーサポーターが人種差別行為をした。ローマでは、スペイン広場のベルニーニの噴水が荒らされ壊された。相次いで起こった、ヨーロッパでの暴挙は、サッカーのサポーターが海外に徒党を組んで出かけ、野蛮な行為を行う姿だ。日本でもJAPANESE ONLYの垂れ幕事件があった。何か嫌な事が起こる前兆現象が、サッカー界に表われでないといいのだが。この一連事件の根底にあるのは、プロスポーツチームの応援が徐々に強者の正義になっていやしないかと言う事だ。確かに日本選手が出れば、特別に力が入る。日本人である以上日本人を応援したくなる。そうした気持ちは自然なことだと思う。それでも相手を思いやれば、排除をすること等思いも及ばないことだ。日本人である誇りは、同時にどの人種もその尊厳を守ると言う事だ。スポーツは素晴らしいものだ。武道というものが、人間形成が目的であったという江戸時代の考え方を思い出すべきだ。一部のエリートスポーツ選手を生み出して、学校経営を考えると言うような、あさましい考えが、学校教育、人間教育を台無しにしている事に向かい合うべきだ。