安倍氏の従軍慰安婦に関する見解
戸隠高原 10号
安倍総理大臣は「筆舌に尽くしがたい思いをされた慰安婦の方々を思うと、本当に胸が痛む思いだ」と述べた。「20世紀は女性をはじめ、多くの人権が侵害された世紀だったが、21世紀はそうしたことが起こらない世紀にするため、日本も大きな貢献をしていきたい」と強調。今後の具体的な対応については「今後とも日本の考え方、日本の方針について説明をしたいと思う」と発言した。もう一つ具体性が欲しかったが、一歩前進の評価すべき姿勢だ。日本が過去侵略戦争を行い、韓国他、侵攻国で従軍慰安婦の、深刻な人権侵害をしてしまったことを、正面から向かい合い解決しようという姿勢にしなければならない。安倍氏がまさかこういう発言をするとは思わなかったので、日本の総理大臣発言として良かった。このことは、全く日本人として思い出したくもないし、心底恥ずべきことである。人間というものは、悲しいことにこういう鬼畜に成れるものななのだ。そのことを肝に銘じて、二度と軍隊は持たない、戦争などしないことしかない。
従軍慰安婦などなかった。軍の強制はなかった。あるいは、どこの国も似たようなことをしてきた。こういう反論がある。しかし、罪を犯したものが、見苦しく反論は述べない方がいい。潔く罪を認め償うべきである。先日、維新の会の予算委員会での質問に伴い、当時の宮沢内閣、官房長官河野談話を取りまとめた、官房副長官石原信雄氏という方が、当時の事情を説明していた。従軍慰安婦に関して、日本政府は韓国政府の指名した方から聞き取りを行ったこと、また、直接日本政府が調査が出来るような環境で無かったことを説明した。この発言を持って維新の会の議員は、無かったことを証明するために、新たに調査を行えと迫っていた。その質問の背景は、海外に暮らす日本人の子供たちが、従軍慰安婦問題でいじめにあっているというのだ。確かに同胞として辛いことである。辛いことであるが、その原因は過去の日本政府の恥ずべき行為にある。そして、一部の過去の事実を認めようとしない、不正義にあると思う。
軍の命令書があろうとなかろうと、軍との連携のもとに、慰安所の設置業者が人集めをしていたと想像できる。当時は、合法的に民間の売春施設があり、ここで働いていた日本人以外の人達も多数存在している。背景は複雑で、様々な事情があるのかもしれないが、日本の占領下で行われてしまった、ひどい人権侵害であることだけは確かだ。責任という意味では、日本人全体が受ける以外にないことである。河野談話が出された21年前の時代背景と、現在の状況は全く異なる。当時は、日韓が協力し合うことが両国の利益につながるという両国政府の認識があった。北朝鮮とその背景にあった、ソビエトや中国の覇権主義も影響していたと思う。従軍慰安婦問題では、償い事業というものが行われた。約6億円の募金を日本国内、国外から集め、支援事業を展開した。一人一律200万円、総額約5億7000万円。政府予算からの医療・福祉支援事業(総額約5億1000万円)フィリピン、韓国、台湾、オランダ償い事業を実施した。
今回のオバマ氏の韓国での発言と安倍氏の発言は連動している。すべて首脳会談で了解済みのこのなのだろう。オバマ氏が、尖閣をアメリカの防衛範囲と発言したことともかかわっている。対中国でアメリカがどのようなスタンスで行くのかが、今回のアジア歴訪の背景にある。日本の集団的自衛権を変更し、海外に派兵で出来るようにすることにオバマ氏は、歓迎の意を示した。このことも、今回の安倍慰安婦発言と繋がっているのだろう。それならなおのこと、全体の枠組みを憲法解釈改定を含めて、議論して行くべきだ。まず、従軍慰安婦に対して、きちっとした謝罪を再度行い、補償を行うべきである。もちろん補償については、きちっとした、根拠を両国で精査すればいい。戦争被害に対する賠償責任も、国同士で解決済みとしたとしても、個人的な問題は残っている。誠意をもって対応するところからしか、良いアジアの関係は生まれないはずだ。安倍氏は自分の発言に責任を持ってもらいたい。