熊本で鳥インフルエンザ
戸隠山 10号 戸隠もずいぶん描いている。あの山の稜線が何だか面白い。
熊本で鳥インフルエンザが発生した。11万羽が殺処分になった。熊本では以前にも、韓国からと思われる、渡り鳥による感染があったので、今回も同様のことではないかと思われる。上空からの写真を見ると、完全な閉鎖系の養鶏場である。今まで起きたのは、こういうところばかりである。放し飼いをしている養鶏場も、九州には沢山あるはずである。しかし、そういうところでは起きない。必ず、閉鎖系の何万羽も飼っている養鶏場である。このことに対して、農水省や、専門の学者はどう考えているのだろう。いつもあいまいに終わるだけだ。はっきりと言って、閉鎖系の消毒熱心な養鶏場の鶏は、感染に弱いのだ。わずかでも菌が紛れ込めばひとたまりもない。病院で院内感染が起こるのと同じである。薬で鶏をコントロールするのには、限界があるということだ。完全な閉鎖系などあり得ないから、対抗できる免疫のない病気が起これば、ひとたまりもないことになる。
自然界には、鳥インフルエンザの病原菌が存在する。これは、かつてもそうだったし、今後もそうなのだ。自然界では、こういう病気が、何故蔓延して、野鳥が居なくなるようなことが起きないのか。このことを真剣に向かい合うべきだ。今までに感染したことのない病気が野鳥間でも発生することはあるだろう。まして、人間は自然界を改変するほど、自然環境の変化を起こしている。いつどこで、思いがけない病気が発生し、野鳥の世界にも脅威を与えないとも限らない。しかし、自然界は大抵の場合、打撃を受けながら、その病気を取り込んでゆき、馴染んで何とか受け入れる。そして新しい病気に耐性のある種が確立され、乗り越える。今鳥インフルエンザでも同様なことが起きている。こういうことは、何も今初めてのことではなく、鳥類が登場して以来繰り返されてきた、自然界の摂理のようなものだ。一部のものだけが繁栄するのでなく、バランスが最終的に取られるのが自然の姿のはずだ。
しかし、人間は自然界を持越えるほどの、畜産業という恐ろしく自然のバランスを崩す行為を行っている。特に、養鶏業というものは、100万羽などという集団を、狭い囲いの中で飼い続ける。当然、病原菌からの隔離を行うだろうし、科学薬剤による、消毒は徹底されるだろう。消毒が進んだ、世界では、生きものは悪い菌と遭遇する経験がなくなる。人工的な免疫を施され、自然界に出れば、すぐに病気で死んでしまうような状態に置かれることになる。この特殊世界は、徹底されれば、徹底されるほど、新たな病気の発生源にも成り得る。特に中国の様な、巨大化を恐れず、薬の使用もバラバラに行われていれば、そこでは、新しい病気の発生実験をしているかのような事態になる。一方に、不徹底の放し飼いもいくらでも存在する。この雑多な、コントロールのない状態が、中国に存在する。その結果何が起こるかと言えば、鳥インフルエンザの日本への野鳥による飛来は、続いて行くということになる。
中国では、あれほどの劣悪の畜産の状態の中、人間への鳥インフルエンザの感染実験が行われている事態。それでも、ほとんど人への感染というほどには、進まない。つまり、鶏から直接、人間が感染するのは、よほど特殊な場合だけである。特殊な体質の人もいるだろうし、特例のみである。やはり従来より言われているように、鶏から豚への感染である。ブタの中で、人感染のリスクが高まる。これについては、大いに監視が必要なことだ。大規模畜産を制限する以外にない。何故、大規模養鶏場だけで、鳥インフルエンザの感染が起こるのかを、真剣に考えるべきだ。このまま、中国が大規模畜産を繰り返してゆけば、いつか人類が手に負えないような病気の出現に繋がる。今回は中国から、韓国へと渡った野鳥からの感染だろうと思われる。すでに、一番の感染期を過ぎている。今後広がる可能性は少ない。いつものことだが、韓国からの野鳥の渡りの詳細調査を行ってもらいたい。