ネアンデルタール人と現生人類の関係
房総の灯台 10号 前を向いて描く景色と、後ろにある景色を融合させて描いている。ときどきそう描きたくなるのだが、見ている自分を含めた景色。見えている世界を全体に融合させて見たくなる。上の方には半島と灯台があり、途中から下は、少し荒れている田んぼである。そういう説明はいらないのだが、鳩小屋のような不思議な小屋があった。
以前、北京原人が現代の中国人の祖先なのではないか、という研究を中国でされていた。結論として違っていた。細胞の情報の研究で結論が出た。中華思想から期待がされた訳だが、学問の結論がずれてしまった。当然、そんなはずがないと思ったのだが、今度はネアンデルタール人が現人類に影響を与えているという、確実な研究結果がでてきた。遺伝子研究というものは、まだまだ面白い調査結果が出てくる可能性があるのだろう。人類の交雑の結果までもが、推定できるというのだ。現在の人類の元に成っているホモサピエンスは、アフリカで19万年前の化石が発見されている。そして進化した、クロマニオン人とも呼ばれる。ネアンデルタール人は3万年前までは存在し、絶滅した。だから両者が近い位置で暮らしていたことは確かである。以前、日本の考古学の研究成果として、イスラエルのアムッド洞穴人展というものを、中学生の時に歴史部の見学で見た記憶がある。その時のパンフレット最近出てきた。
今のチンパンジーに進化したと言われている類人猿の進化が、人間の一つの原形らしいものに分かれるのは、200万年も前に起こっている。それがそのまま人類に進化したというより、次々に消えてゆく系統もあるらしい。そして、今の人類の祖先が現われてからも、古い形の人類の近縁種は存在はしていた。中近東ではそうした両者が近くに、何万年の期間暮らしていた洞窟遺跡も存在する。アムッド洞窟人展覧会ですでに、ネアンデルタール人とクロマニオン人の関係があったのではないかという、仮説が主張されていて、とても興味を持ったものだ。家に帰って父にそのことを話したら、とても興味を持って色々話してくれた。その後、両者の混血はあったのか。見解が分かれて議論が続いてきた。今回の発見は混血があった可能性をかなり高めたものである。こうして歴史は覆る。人類が進化してきた長い歴史は、実に壮大なものである。アフリカの中央部で生まれた、現生人類の祖先が、徐々に地球全体に広がってゆく。この広がってゆく不思議と尊さ。
どうして人類が移動するのか。移動の過程で、前から居た、旧人類の一つである、ネアンデルタール人と出会う。出会い、戦った痕跡もあるということも言われてきたが、混血したという事実が明らかになったのだから、融和したということも想像される。その後、人類も暮らす地域ごとに、変化をしてゆく。黒人と白人では、かなり違う様相である。人種によっては、チンパンジーとゴリラの違いほどに違って見える。同じ人類がなぜこうも異なる様相に成ったのかは、人類の進化ということと関連があるのだろう。しかし、もとは一つで人類みな兄弟であることは、変えようのない事実である。考古学的に見れば、人種とか民族とかにこだわることがいかに、派生的なことかが見えてくる。日本人が日本人に成ったことは、ここ何千年かのことで、その前に何万年もの人類の歴史がある。
東アジアの諸民族は、ほぼ同じと言ったって構わない。違いを強調すれば確かに違う言葉を話している。しかし同じ所を探せば、いくらでもある。ネアンデルタール人とクロマニオン人は異なる。しかし、人類として同じという視点からも見ることはできる。中国人も日本人も実は同じ東洋人であるのは当然のことだ。東アジアの諸民族の違いを探すのではなく、むしろ共通性こそ価値とすべきではないか。人類は融和しろと考古学的発見も示しているのではないだろうか。200万年の大切な歴史を、一瞬に無にする可能性すら持ってしまったのが人類である。東アジア4000年の永続農業を大切にすべきだ。教え合いながら、育ててきた人類の平和的な可能性を見つけて行けということを示しているような気がする。