水彩人の水彩画

   

「水彩人展ワークショップに際して」 2012.9.29 笹村 出
水彩人の水彩画がどのようなものであるかは、水彩人同人の作品を見ていただく他ない。同人の作品も、それは様々な方向を示している。一見、あらゆる水彩画が存在しているかのようにも見える。しかし、現代の絵画の置かれた状況の中で、もっとも可能性のある方法と考え、水彩画を描いている。絵画が表現手段として、何故力を失ったのか。それは多様な表現手段が出現する中で、埋没しているのだと考える。写真が出現する前の時代の絵画。現代の表現手段は複雑化し、再現性と言う意味では殆ど現実と見まがうような表現手段まで登場している。その中で、絵画が存在する意義は、素朴に、単純に、作者が制作すると言う所に、その意義があるのではないかと考えるにいたった。最もふさわしい方法として、水彩画を考えている。
水彩人は水彩画の研究会として始まった。現代絵画が行き詰まる中で、絵画の存在意義を模索し、月例で絵の御評会を開いてきた。今でも同人自身も互いの絵を自由に批評し合う事を続けている。つまり自分の絵画を確認し、成長させてゆくためにこうした展覧会も開催している。講習会を開催することも、自分たち自身の勉強の一環である。仲間とともに描くことで、見えて来ることもある。

「笹村出の10カ条」
1、描く前に何を描きたいのかを、しっかりと確認する。
2、描くことに手順とか、方法を捨て去る。
3、いまだかつて描いたことも無いものを目指して描く。
4、描きたいことに対して、真正面から、素朴に取り組む。
5、描き始めたならば、自分の内部の声に耳をすませ、それに従う。
6、上手く描こうとしない。下手な絵には理由がある。
7、絵は自分を越えることは出来ないので、立派な絵より自分の絵を描く。
8、技術は大体の場合、災いする。
9、方法論を身につけない。どこで始まり、どこで終わるのかは分からない。
10、妄想でもいいから、見えているものを描く。

絵画は社会的な存在と言うより、むしろ自分自身の問題として、存在意義があるのではないかと考えるようになった。自分修行である。描くことで自分を磨いている。

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