豊かな国のテロ

   

紳士の国イギリスで暴動が起きた。豊かな国ノルウェーでは77人が殺されるテロ。現代社会は進歩しているのではなく、衰退しているという現実を、まざまざと見せつけられた。我国が明治以来お手本にしてきたはずの、イギリスという議会制民主主義国家、もっとも成功した国家とされるノルウェー。暴動はロンドンで発生し、バーミンガム、マンチェスター、リヴァプール、 ノッティンガム、ブリストルと地方都市に飛び火した。何万人と言う暴徒が出現したのである。全体でみれば豊かな国であっても、格差的貧困。資本主義経済の限界から来る、社会矛盾。フランスのナンシーに居た時、普段おとなしそうな近所の雑貨屋のおじさんが、盗みをしたと言う犯人を何度も叩きのめして半死半生にしてしまったことに恐怖を感じながら見た。なんとなく白人は体質が違うものなんだと感じた。抑圧に対して、直結する暴力的反応。

経済先進国と言われてきた西欧社会のいらだちの深刻さ。中国やインドのような、巨大国家がその条件を生かして、西欧社会の経済を脅かし始めている。欧米の社会的混乱はこれから、さらに強まっていくことだろう。日本もそれを真似て、従ってきた国だから、ほぼ似たようなことが起こってくる。中国やイスラム圏で暴動や民族対立が起こる。それは経済成長の過程だからと見えていたが、どうもそうではない。経済競争、経済支配を原因とする民族対立である。豊かな社会からの阻害されてしまう人間の絶望。豊かさと言うものが、経済的豊かさだけに目を奪われる社会。アメリカが対テロと言うことで、国民の目を外部に向けてきたが、そろそろそれも限界であろう。経済的危機が迫っている。アメリカでも暴動が起こる可能性は高いだろう。日本はどうだろう。

農の会関係者でも、残念ながらこの地を離れた人がいる。近く離れることになった人も2家族いる。以前、シンポジュームで自分達農家は、農地を担いで逃げる訳にはいかないと、お茶農家のTさんが発言されていた。確かに農地を先祖から何百年も受け継いできた人には、その土地を離れると言うことは、極めて難しいだろう。福島原発3キロと言う畜産農家の方が、それでも戻りたいと泣いて語っていた。その土地に土着して生きると言う人間の権利を、無残に引き剥がしたことは、国家の犯罪である。憲法で保障された人間の生きる権利を奪っている。それでも日本では暴動は起きない。黙ってその地を離れる選択をする。何故だろう。諸外国は日本人の受け入れる対応を、日本社会の美徳として報道している。怒る時に怒れない。向かい合うのでなく、避けてしまう心理。

社会は進歩し良くなって行くとばかりは言えないようだ。イギリスやノルウェーのように、経済が良くなるということが、一部の不幸を増してゆくという現実がある。日本の農民が本当に苦しくなったのは、明治時代になってだ。富国強兵の犠牲は農民である。農民の目を世界の競争に向けさせた。アジア諸国との戦争にまで進んだ。農民は兵隊に成り敗戦に終わる。今度は農業まで経済戦争に巻き込まれ始めている。そして、原発事故が待っていた。この国の限界と思われる、何度かの合図と思われる事件事故はあった。しかし、その都度経済戦争の大義の前に、すべては亡国の発言と退けられてきた。敗戦すら明確な責任が問われないまま、今に至る。今回の原発の事故の根本原因は、無理な経済優先にある。責任は明確にしなくてはならない。原発事故を曖昧な終結にしてはならない。その曖昧さの先には、さらに大きな不幸が待っている。

昨日の自給作業:じゃがいもの植え付け等1時間 累計時間:11時間

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