農の会のあさっての話

   

毎月第2土曜日の夜が、農の会の定例会になっている。昨年までは第2金曜日だったが、土曜日に移動した。土曜日に移動するとともに、毎回ゲストスピーカーをお迎えして話をしてもらうことになった。農の会の関係者の、様々な本業の方の話などを聞かせてもらえば、面白いだろうと言う事だった。農の会のメンバーはそれこそ多士済々で、どの人の話も、なかなか奥が深く、よくもこう色々の人が集まってきたものだと思う。きのうは、山田純さんという農の会の立ち上げに協力してくれた。要の人に話を聞かせてもらった。それで、その人の家での定例会になった。永塚にある「NPO・NGOの家」である。最初に知り合ったのは、山北に住んでしばらくした頃だった。山北のはずれに民間の最終処分場が違法に作られると言う事になり、その反対運動だった。98%の山北町民が反対署名をすると言う事になり、撤退が決まった。

諸葛孔明を思わせる、軍師的な人だ。基本は科学性を主張し、物腰は柔らかい。後に引かないしたたかな戦いをする人だとおもった。当時は、自給生活を模索している頃で、面倒な事にかかわりたくないというのが、本音だったが、結局、少しづつ関係した。その泣かせ文句が、「この酒匂川水系で起こることは、自分の庭で起こったことと考えている。」こう言われた。そんな様々なことがあり、私が当時始めていた、山北での有機農業協議会の活動を、農の会という形で、方向付けてくれた。ともかく足柄平野に知り合いが多い人だ。それは「足柄庶民史録」のような郷土史の活動に関係していて、聞き取りの活動を通して、人脈が出来たようだった。最近は活動の範囲が、全国的になって誠に残念に思っている。森林会議の仕事をしたり、林業関係の仕事をされていることが多いようだ。桑原のめだか米の活動だけは、今でもとても熱心に続けている。

良く勉強をしている人。学者にしては、視野が広い。しかも平明で色眼鏡で見ない。私個人は、大抵の事に、取り掛かる前には、山田さんに相談する。大きな方向を確認したい時には、良い示唆をもらえる。昨日も、舟原で進めている、植木圃場の新しい利用計画について、聞いてもらった。以前、庭林の会という活動をいっしょにやっていた。里山に庭を造る活動である。人が集まってくる場を作る。このことを相談した。昨夜の話は「農の会のあさっての事」というのが、とても面白かった。明日の事でなく、今はどうでもいいような、「あさってのこと」を考える材料をくれた。農業補助金の将来的展望についてなど。世界での潮流。明日をも知れぬ世界経済下、あさってのことであるから、よほどの勉強をしていないと、話せない内容であった。大いに示唆を受けた。農業補助金とWHO交渉の関係は、あしたの事だろう。

林業において、日本に期待されているのは、造林技術だそうだ。とても高い技術の蓄積がある。同時に、外国人労働者が林業に従事している現実を言われた。世界の林業は相変わらず、環境破壊的な開発が行われているそうだ。アムール地域の森林破壊が一番懸念されているそうだ。日本がインドネシアや、フィリピンの森で行ったように。アフリカやアムールの森林が、中国の家の材料になって仕舞う懸念。日本の林業が行き詰まっている。中国との関係。弱くなっているところは、何らかの形で蝕まれる。これを解決してゆくには、NPOの就労者が10%ぐらいにはなる方向性。あるいは労働者組合会社。こう言う社会的仕組みを話されていた。確かに、農の会でも専業的農業者は、自分の生活で精一杯で、他の事はできない現状がある。出来ないでいる内に、現実社会と距離が出来てくる。NPO農の会が人を雇用できるようになるか。

 - あしがら農の会