えひめA-1

   

有機農業では、虫が出たからと言って殺虫剤はまかない。ではどうすればいいのかという相談は時どき受ける。正直言えば、出ないように栽培する。虫がついてからでは遅い。と成ってしまうが、それでは折角の有機農業への関心も絶ってしまう事になるので、幾つかの方法は試している。大抵はさして効果があるものではない。即効性はほとんどない。たとえば虫をその液に浸したとしても死にはしない。浸して死ぬようでは、食べる人間にも害がある。例えば木酢液。炭を焼く時に出る蒸気の様な液である。これも植物に悪くは無いだろうから、栽培補助として考えておくしかないくらいのレベルだろう。殺虫効果があるという感じはした事がない。つまり、嫌な臭いで虫が避ける。わずかな変化があるかどうか。微生物を撒くタイプに、えひめA-1がある。これは昨年始めて試して、効果があった。理由は良く分からないが、本来、川の浄化や浄化槽の匂い消しに使うものが、虫を遠ざけた。

えひめA-1は今年も作って使い始めた。これを20リットルまとめて作る。そして、気がついたら500倍液を散水するようにかけてやる。虫が居るからという訳でなく、2日に1回ぐらいはかけてやる。特別効果があるという訳ではないが、虫が近寄らないような、感じがする。一度カメムシが付いて弱ったピーマンにかけ続けたら、虫が居なくなり回復した。悪くは無いだろうというレベルだが、今年はバラなどの、アブラムシの付きやすいものにもかけている。イメージとしては、畑にヨーグルト菌と納豆菌が広がれば、植物は丈夫になる。本当だろうかとは思うが、今年も続けてみるつもりだ。今の所、キュウリのウリハ虫には効果がない。こういうものがいろいろでている青空菜園というホームページがある。試しに使ってみている。ストチューとか、唐辛子とか、色々使い方が公開されている。ここではえひめA-1は取り上げられていないが、良く聞く方法は網羅されている。

多分網羅していると言う事は、なかなか効果がある方法がないという事かもしれない。しかし、今年に入って、笹村農鶏園では虫の害は急激に減っている。まだキャベツを人が食べているぐらいだ。半年はキャベツを食べていたから、随分虫の状況が変わってきていることがわかる。結果から見れば、畑全体ののバランスが取れてきたのだと思う。草がどれだけあればいいか。土壌に偏りが減ってきたんだと思う。一つの虫が大量に発生するというのは、植物に特殊な偏りが生じたのだと思う。虫が居るのも良いが、特定の虫ばかりに偏るのは変だ。虫の世界のバランスが取れていれば、野菜もそこそこ食べられる。その辺の落ち着きが畑に出てきた。苗を植えると、即虫が集まるというような状況は、今年は全く見られない。草の方も相変わらずで農家の方から見れば、我慢できない草だらけの畑だとは思うが、昨日も二度目の空豆をたらふく食べた。エンドウの豆ご飯も美味しいこと。

川口由一氏は「妙なる畑」と書かれているが、確かにバランスが取れてきた状態は妙なる畑としか言いようが無いのだろう。ある種の調和なのだと思う。そこに野菜がはまり込む。そうなるとさして肥料を入れるわけでもなく、草を取る訳でもなく、虫を駆除する訳でもなく。作物を収穫することが出来る。「らしい。」畑を見るに、その入り口に来ている感じがする。妙なる状態はどうやって作るかは、説明がない。当然の事で、説明しがたい状態なのだと思う。妙なるを技術の世界にしなければ、再現性のある方法にしなければならない。それが、自給の技術。そこにえひめA-1は有効に働くようだ。10年かかる妙なる畑が、3年で出来るかもしれない。先日から、泥団子を放り投げるだけで、田んぼが可能かという質問がある。福岡さんなら、できる。しかし、私には出来ないだろう。誰にでもできる方法の構築。これにはまだまだ時間がかかりそうだ。

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