ごみ発電
ごみを燃やしてそのエネルギーを電気に変える。一見良さそうに見える技術だが、なかなか上手く広がらない。環境省は昨年3月3日、地球温暖化対策の一環として、2008年度から12年度までの5年間に、ごみの焼却による発電(ごみ発電)の量を5割増やすことを決めた。05年度末現在で、ごみ焼却施設1319施設のうち286施設に発電設備があり、発電能力は1515メガワット。07年度には1630メガワットになる見込み。改定案では、12年度までに発電能力を、原子力発電所1基分に相当する870メガワット増やし2500メガワットにする。ごみ発電施設を設置する自治体に整備費の3分の1(2分の1に変更)を補助する。
一方、いちき串木野市は、ごみ処理発電施設「市来一般廃棄物利用エネルギーセンター」を26日、閉鎖する。市は11月始め、会計検査院から「計画通り機能せず、国からの補助金約3億円の支出が不当」と指摘されたのを受け、すでにごみ処理は停止。
ごみ発電には、大きく2方式がある。生ごみをタンクにためて、メタン発酵する。そのメタンガスで、タービンを回して発電する方式。日本の大半で行われている方法は、ゴミの焼却処理にその熱を回収して、タービンを回転して発電をする方式。アメリカ軍はイラク戦争に持ち込んだ、ごみ処理機が発電装置つきで、これがダイオキシンがすごい量出て問題化した。一見良いのだが、まだいずれも実証実験の段階と考えた方が良い。小山、御殿場でおこなった、PDF固形化方式のごみ処理も、失敗に終わった。ごみ処理のような、住民の生活に深刻にかかわる問題を、新技術の実験施設にしてはならない。国は鉄鋼や造船メーカーの不況対策に、大規模炉の自治体への導入を推進しようとしてきた。補助金による誘導と広域化ごみ処理方式の強制で、縛りをかけてきた。
それでもごみ発電は広がらない。最大の問題は効率が悪い。ごみ発電を行うことで、電気で儲かるどころか、大損になっている。効率を上げる技術も次々、提案されているが、今度は施設費が巨額に成る。しかも大型化の必要がでてくる。そうなるとごみ量の安定した確保が問題になる。そこで、東京都などが始めた。プラステック類の一括焼却である。プラステック類はそもそも、石油である。再生にコストをかけるくらいなら、助燃材として燃やしても良かろうという考えである。火力発電所だって石油を燃やす。ところが、何でもかんでもごちゃ混ぜで燃やす訳だから、排気ガスの混入化学物質の回収が難しい。ダイオキシンは法規制があるから、一応は歯止めがあるが、さらに怖ろしい物質が大量に出ている可能性が、多分にある。出ているというデーターも示されてきた。
巨大化して、連続燃焼だから、大量のごみ量が安定して出なければ、ごみ発電は出来ない。広域化して大きなごみ発電炉を作った頃には、ごみが出なく成ると考えた方が良い。良さそうな技術なのだが、今の所無理な技術レベルなのだ。そもそも焼却発電という方式は、過度期の技術で、乗り越えるべき手法のはずだ。同じ技術研究でも、将来を見据えた、地球の循環に則った方法を考えなくてはならない。ごみの40%は生ごみ。それではこの生ごみのメタン発酵技術はどうか。これも実験方式として、行われている所がある。上海ではアジア最大のメタン発酵施設が稼動。日量8000トン規模の生ごみ処理。年間発電量1億1000万キロワット。この試みが成功するかどうかは注目である。天津では商業施設として、ごみ焼却発電が3箇所あるらしい。住民のリスクさえ無視すれば、採算が合うと言う事になるのか。今後の成り行きに注目。
昨日の自給作業:草取り、豆追い蒔き1時間 累計時間:20時間。