のぼたん農園の目的再確認
のぼたん農園は開墾を初めて3年が経過した。10年計画で始めたので、完成するまでに残り7年である。3年かけて、おおよその形が出来てきたところである。石垣島の農業技術の確立を目指して始めるところである。先ずは稲の品種の選定を進める。「にじのきらめき」を今年は作ってみる。11月5日6日に浸種する予定。
水牛については、当初水牛部分はやってくれると言われていた栗林さんという人がいたので、始めたことだった。所がその人が農地を借りてから、突然やれないと言われた。驚いてしまったが、広い3.6ヘクタールもある農地を借りた以上止むえず、覚悟を決めて水牛も引き受けることになった。
4年目で、水牛部門について大きく変えようと考えている。島田さんと福仲先生と私は石垣水牛の会をやっている。二人にに水牛部門に加わって貰い、方向を改めようと考えている。2人は他の場所で水牛13頭飼っている。あちこちにいるようだ。
今回地主さんの好意で下の田んぼの跡地を借りられることになったのでそこを中心に、周囲の農地がどれだけ借りられるか検討し、そこで大きな水牛牧場を始めようと言うことになった。まだ計画段階だがまず島田さんの水牛はのぼたん農園に移すことになりそうだ。
借りる土地は二反なのだが、その近隣の空いている農地も借りられないか、福仲先生に勧めていただくことになっている。のぼたん農園を広げて、すべての水牛をここに集めて、3人で協力して管理できるようにして行けないかと考えている。私としては田んぼの自給技術に集中したい。
水牛の飼育を体験したい人、水牛の操作技術を学びたい人も、受け入れて行く場所に出来ればと思う。島田さん、福仲先生は水牛の専門家なので本格的な日本唯一の水牛学校になるはずだ。のぼたんには水牛農業をされた体験者の干川さんがいる。
水牛は鼻紐の交換が出来なければ飼えない。その鼻紐交換を学ぶ場所がまず無い。のぼたん農園に来れば学習できる。農作業を水牛に覚えさせるための手順もなかなか難しい。そ言うした学習の場所にも、だんだん成れればと思う。先ずは黒糖絞りをやれる場所にする。
そのことを仲間の人に話したところ大反対だった。その理由は水牛の飼い方が、のぼたん農園らしくなくなると言うことが問題だと言うことのようだ。どうも家畜としての水牛の飼い方の理解がされていなかったようだ。ただ放牧して水牛を飼っているのでは、現状ののぼたん農園の飼い方は、家畜としての水牛飼育にはなっていないのだ。
なるほど、のぼたん農園が何を目指しているのか。のぼたん農園らしくないものは止めた方が良いと言うことらしいので、のぼたん農園が何を目指しているものか、確認のために再度書いておきたい。その前提で自分が書いてきたブログを読み返してみた。家畜としての水牛という考えは一貫している。
おおよそのぼたん農園の方向に変化はない。歳をとると頭が固くなるせいか、3年前も今もたいした変化は無い。基本が「自給農業の実現」である。水牛について言えば、「家畜としての水牛の飼育」である。これは始めから一貫した考えで、これにそぐわない事は、やらない方が良いと言うことになる。
のぼたん農園の設立の目的は自給農業の研究を行い、そのモデル園に成ることだと考えている。それは石垣の伝統農業から学ぶものである。農業技術の許容範囲は有機農業基準である。何故このようなことを今更不自然なことを書いているかと言えば、国の有機基準は文章化されていて、誰の目にも明確だからだ。これは小田原のの会でも同じく、有機基準にしたがってやっている。
家畜としての水牛の飼い方も、有機家畜の基準に従うと言うことは決めておきたい。繋いでおくだけでなく、放牧も行う。家畜として農作業を行うためには、時々繋いでおく必要がある。人間に支配されていると言うことを教えなければ成らない。それが鼻紐であり、ときどき繋ぐことで従うようになる。
またのぼたん農園で行うことはあくまで自給農業に基づくものである事が基本となる。逆に言うと、農業でない稲作はやらない。収穫を目指さない事に農地を使わない。これも外せないと考えている。遊びのような田んぼ作りであってはならない。本気で自給を目指して初めて学べるものがある。これが自給の思想である。
販売のためだけの農業も行わない。専業農家ではなく、自分の自給の達成が目的である。のぼたん農園では販売目的だけの作物は作らない。同時に他所で出来た作物を仕入れて売ることもしない。あくまで自分が食べて余剰の販売である。
サトウキビを栽培しているが、先ずは自分が食べるためのサトウキビ栽培である。砂糖の自給から始めた。その余剰を販売するという考えだ。水牛にサトウキビ絞りをさせるのも、家畜としての水牛の訓練である。伝統的な家畜水牛の維持も目的になる。
普通に農業と言えば、販売目的だから「業」を取って「自給農」という方が正しいかも知れないが、自給のための農業もありだと考えている。自給をして行くために余剰を販売することは有りだと思っている。それでも自分の自給率を高めて行くことは各自目標にしなければならない。
これから販売所を設けると言うことも考えている。販売所をノリさんがやりたいと言われている。販売所では、のぼたん農園で採れる作物の余剰を、あくまで余剰を、販売する。何故そういうことを考えるかと言えば、石垣島で自給農を続ける事は、特に若い人には小田原よりも経済的に困難なようなのだ。
収穫物の販売を行うことで、自給農を継続できるのなら、余剰販売もやってみることも必要だと考え始めた。ただ販売農家を目指すのであれば、のぼたん農園で農業技術を学んだ後、独立して貰えば良いと考えている。そうした農地はこれからどんどん増えるはずなので、紹介して行きたい。
一例なのだが、具体的に考えれば、お米に余剰が出たならば、おにぎりを販売してみたい。食べてみることで、田んぼが生産の場である意味が、伝わると思う。私も台湾の有機農家で、お米を食べさせていただいて、台湾の稲作を実感することが出来た。あの感動は今も残っている。
溜め池にはミズワラビとミズオオバコがある。これを食べれる場所にしたい。石垣の伝統食ではあるが、現在食べることが出来る場所はない。そもそも自生している場所がほとんど無い。伝統食の食材保存ものぼたん農園の目的で良いのではないか。
その意味では、アダンも伝統食の食材のようだ。のぼたん農園にはかなり広いアダンの林があるので、利用した方が良いと考えている。アダンのわらじ作りはカヨ子さんがやっている。また、様々な伝統工芸品の材料になる、月桃も多く生えている。これも利用できるのではないだろうか。そうした作業場作りもあるだろう。
ヤラブの木も多い。やらぶの実の油絞りもよいかもしれない。タヌマオイル絞りということをされている人が石垣島にもいる。これも体験できるようにすれば、良い体験になるかも知れない。これも手間のかかる作業だから、なかなか大変なことには成るだろう。
のぼたんの普及ものぼたん農園がやるべき事かも知れない。のぼたんの苗作りである。のぼたんの自生地も石垣島ではほとんど無くなっている。一般にのぼたんとして売られているものは、ブラジル原産のものである。石垣島の素朴で美しいのぼたんを普及するのも意味がある。
以上のような所が3年間経って、再確認したことである。