日本には3つの領土問題がある。

   



 世界は戦争の時代に入りかかっている。ウクライナ戦争も何時になっても終わりそうもない。ロシアの無謀な軍事侵攻が何故行われたのか。そして今度はガザ戦争である。やはりハマスは自分たちが壊滅的な攻撃を受けることが分かっているのに、イスラエルに対して殺戮を行ってしまった。

 戦争が勝利のための計算もなく、ただ怒りにまかせて爆発してしまう。そのために何万人という人が死んで行くのだから、あまりのことである。例え戦争に勝利したとしても、問題は深まるばかりで、解決されるものは何一つない。

 こうした世界情勢を受けて、日本も軍備を増強する方向だ。今までは専守防衛と一定の節度を持った防衛の方針であったが、ついに北京まで届くミサイルを配備することになった。攻撃こそ防御だと言うことになった。日本が攻撃型武力持つことで、戦争の危険度が上がった側面もある。

 戦争の時代に入り、日本の安全保障をどうしたら良いのかは改めて考えなければ成らないことは、確かにあるだろう。すでに起きている経済戦争への対応が、防衛力以上に深刻な、現実的な問題である。食料とエネルギーをどう確保するかである。

 すでにロシアからのエネルギーが止まっている。今度は中東からのエネルギーが不安定化するだろう。自然エネルギーへの転換の遅れた日本は、同エネルギーを確保するのか深刻な問題になる。そして食糧供給である。異常気象が続いている。世界は人口増加である。日本が食糧自給を怠ってきた。食べ物がないと言うことはエネルギー以上に深刻である。

 この世界的危機に、どう日本は対応すれば良いか。今こそ平和外交である。そんなものは何の力も無いというのが、大方の見方であることは分かっている。それでももう一度平和外交を見直す以外に、日本の安全保障はないと確信している。

 平和外交とは今に本に存在する隣国との問題を、平和的に解決することからだ。ウクライナも、イスラエルも、戦争の火種を抱えていた。それを解決できないままにしていて、ついに今の戦争に突入してしまったのだ。平和外交がどれほどのことが出来るか、頼りないとしても戦争の火種は消さなければならない。

 尖閣諸島、竹島、北方4島である。中国、韓国、ロシアとこの問題で火種を残している。放棄してしまえば、火種がなくなるのだから、それが一番ましな方法だと思う。日本には何千の無人島がある。その一つだと思えば、我慢も出来る。領土という火種がなくなれば、かなりの財政の支出が減る。

 何故単純に放棄が出来ないかと言えば、火種を残しておきたいと政府が考えていることが一番の原因である。もちろん領土が広ければ良いという欲もある。その島の海底に資源が眠っているとか、島の領海の漁業資源が大きいとかである。

 北方4島の場合は、ふるさとだと言うこともあるので少し違うところもあるが。領土に対する主権を譲ると、国を売り払ったというような、民族感情が出てくる。愛国者が領土を譲ることで、何か日本国の大切な物を失ったという心理に陥る。

 近隣3カ国との領土問題を考えるときに、過去の歴史を引きずっている。過去の行きさつを根拠にして、歴史的に明白に日本のものだと主張することが繰り返されている。それは互いのことで、戦争をしたり、植民地にしたりした、負の歴史を引きずっているのだ。

 負の歴史のすべてが、明治政府の帝国主義に始まっている。領土拡大欲が強くて、大東亜共栄圏、アジアの盟主というような、妄想を抱いて軍事的に近隣諸国に進出をしたのだ。その謝罪が不十分と言うことが、相手国の不満になっている。当然の前提として考える必要がある。

 日本はこの負の遺産を清算できないでいる。例えば、韓国に対して日本の謝罪と誠意の印として、竹島を韓国の領土であると認めた方がよいと思うが、これが出来ない。了見の狭い愛国者が多くて、領土を譲るような政府に投票をしないからだ。

 米100俵である。今食べてしまわず、種籾にすれば良いのだ。竹島を譲ることで、韓国と仲良くなれば、どれほど日本の利益になるだろうか。もちろん過去の歴史的な領土の権利の問題はあるが、結局の所そうした歴史的な権利など、どこで歴史を切り取るかで変ってくるのだ。

 これから未来志向で考えれば、中国や朝鮮とよい交流をして行くことが、日本の国益である事は間違いない。明治帝国主義によって、謝罪しなければならない歴史を日本は持ったのだ。小さな島の領有権を譲るぐらいはこれからの交流による恩恵を考えれば小さなものである。

 中国との間には尖閣諸島の問題がある。尖閣諸島は歴史的に見れば琉球王国の領土であろう。その後薩摩藩も、幕府も、明治政府も、琉球王朝を一方的に日本国に取り込んでしまった。中国と交渉して、尖閣諸島問題は国際裁判所に判断を仰ぐことががよい。

 どのような判断になるとしても、第三者機関が決めたことに両国が従うことだ。火種を残したまま、中国を仮想敵国としておくことは、日本の危険を増すばかりである。政府は日本の再軍備の理由付けのために、尖閣という火種をわざわざ残している。尖閣をミサイル配
備の理由にしただけだ。

 そして北方4島である。これはすでにロシア人が暮らす島になってしまった。ロシアのウクライナに対する態度を見れば、いつまで経っても解決できる事は無いだろう。北方4島はこのままにしておいても、日本側が黙っていれば日本に攻撃する火種にはならない。

 日本はロシアと無駄な返還交渉などしないことだ。アベ政権は手柄を焦り、プーチンと盟友だなどと、くだらないことをしていた。アベは友人が行ったウクライナ侵攻に一言もなかった。日本の問題はせいぜいロシアに対するアメリカへの基地の提供ぐらいが、危険な要素である。

 結局世界の戦争はアメリカが介在している。世界の警察だったから当然ともいえるが、アメリカの圧倒的な軍事力があったとしても、ベトナム、アフガン、イラク、ウクライナ、ガザ、どの戦争でも何も解決できないアメリカという世界警察なのだ。

 アメリカに依存した安全保障が、そう安定したものではないと言うことだ。日本の選択としては、中国との平和交渉である。東アジアの安全の為に中国が軍事的な威圧で、状況変更を試みないようにすることだろう。軍事力で対抗したところで意味が無い。

 中国は商人的判断をする国だ。一帯一路政策も中国の交易路の確保である。交易路に位置する国が中国の友好国になれば、互いに利益があるという発想だろう。それがアメリカから見れば、あるいは日本から見れば、交易路の安全が脅かされると言うことになる。

 あくまで経済の問題なのだから、軍事的な解決ではなく、交渉で互いの利益を探ることは出来るはずだ。中国と日本の対立関係を利益とするのがアメリカである。日本と中国を戦わせて、背後で操ろうとしているのだ。ウクライナも、イスラエルと同じである。

 日本の平和外交の重要な要は、アメリカの支配から抜け出ると言うことかもしれない。

 - Peace Cafe