ひこばえ農法に結果が出た。

   



 石垣島は台風はそれてくれた。雨だけを期待していたので、その通りの結果だった。去年もそうだったのだが、右石垣島を石垣島を逸れてくれる台風が多い。台風が来なければ水も足りないので台風がまったく来ないのも困る。台風の雨を上手く維持する、溜め池と井戸である。

 台風が逸れてくれと言う願いは、台湾に行けとか、宮古島に行けとか、他人の不幸を願ってしまうことなので、今ひとつ気持ちがすっきりはしない。お互い様のことだから、来た時は受け入れる気持ちでいるほか無い。来た時の対策の方を重視するほかない。

 写真はゆがふもちの晋1番田んぼである。普通にお米が取れそうな所まで来た。初めてのひこばえの収穫である。葉は4,5枚で穂が出ている。しかし、葉が割合よい状態で出たので、穂も比較的大きくなってきた。後3週で稲刈りという所だろう。26日と27日を稲刈りの予定にする。それまでに少し草を片付けた方が良いかもしれない。

 沖縄の奨励品種である「ゆがふもち」は暑さにいくらか強いためか、ひこばえが一番大きく出た。ひこばえが大きく出るためには、水加減が一番重要な気がしてきた。水が足りなければ、大きなひこばえにならない。水が多すぎても案外に生育が悪い。
 手前の空いている部分は田んぼを広げた部分である。



 7番田んぼの写真である。ここは驚くほど大きな実りで穂が良い。一番水が多かった、1番田んぼと、一番水が少なかった7番田んぼができがよい。まだこの辺の水のことは把握できたわけではない。今後様々実験を繰り返して、再現可能なひこばえ農法を探りたいと思う。

 いずれにしても浅めに間断灌水を繰り返して、根の周辺の土壌が腐敗型にならないようにする必要がある。それは土壌が長い間湛水状態が続き、腐敗土壌傾向になりがちだからではないだろうか。もちろん土壌にもよるし、水の条件でも違ってくるだろう。

 7番田んぼの「とよめき」のひこばえである。ここは明らかに1期作よりもよく出来ている。穂も大きく、20以上の穂の数である。7番は一度出た株に早く幼穂が出たので、2週間ほどしたところで、刈払機で低く刈りもどした場所である。最初は刈り戻さなかった6番より悪かったが、ここに来て逆転している。

 その後ほとんど水がなくて、土は乾いてひび割れていた。大丈夫なのかと心配していたのだが、結果的にはここが一番よく出来てきた。何が違うかと言えば、ここの稲は1期作が鳥に食べられてしまい、まったく収穫が無かったと言うことになる。そのことが影響しているのかどうかはまだ分からない。



 5番田んぼのミルキーサマーの穂の付いた状態。粒が少し小さいがそれなりの穂になっている。肥料が少し不足したのだろう。水もいくらか足りなかった。ひこばえ農法では補肥を与えることが絶対の条件になる。十分の肥料分がなければ、ひこばえは大きくは実らない。あお米状態の小米になる。2期作でおこりがちなことと同じことである。

 稲刈り前にひこばえの発芽に対しての肥料。そして葉が出てきたら葉に対する追肥。そして穂が出はじめたら補肥。3ヶ月の間の事だから、短期間に旨く3回の追肥をして行かなければ、収穫量が減る。この追肥をできるだけアカウキクサで補いたい。

 細かく丁寧に追肥をすることが、ひこばえからよいお米を収穫するコツになる。どのタイミングでどうやればいいのかは、土壌の状態にもよるので、さらに観察と実証実験が必要だろう。いずれにしても2回目の収穫なのだから、それなりの肥料が必要なことは当然なことになる。年々土壌がよくなれば、追肥も減らせるのだろう。



 3番田んぼのひこばえも割合よい状態で穂が出たのだが、粒が少し小さいところが残念なところだ。たぶん水が切れていた時期があり、追肥が足りなかった。穂が膨らむ時期と追肥のタイミングに水がなかったことが悪かった。今年の水不足は稲の粒張り不足を招いたと考えて良いのだろう。

 ひこばえに対する水加減も、さらに観察と実験が必要になる。何度も収穫を繰り返しながら、よりよい水の状態を探したい。稲刈り後に株自体が水没したイネ株はよくない。刈り戻しをするにしても高刈りの方が、低い稲刈りよりは結果がよいようだ。コンバインに入れやすい長さがあるので余り高刈りは出来ないが、ある程度は高く刈ることにしたい。

 また28%の水分量という早刈りをすることで幼穂形成がされないと言う山岡説の想定は完全にはずれた。様々な条件の比較実験をしたが、一本たりとも幼穂を形成しない株は無かった。早刈りの意味は全くない。何故サリブ農法ではそういうことが主張されるのかが現状では不明。

 むしろ遅刈りの方が、よい状態になりそうだ。3番田んぼの写真(最後に掲載)の一番手前の列株は大きく育ち、まだ穂が出ていない。この株は、は1ヶ月遅らせて稲刈りをして見た株である。ひこばえに関してはまったく同じかそれ以上の状態である。


 2番田んぼは「とよめき」でウイルス病が出たので、株を刈り取った。とよめきはウイルス病が出やすいようだ。再生してきた株はひどいウイルス病を引き継いではいないが、はやり余り状態はよくない。とよめきは止めた方が良い品種のようだ。

 この田んぼの奥の方はすべての田んぼの中で一番ひこばえの生育がよい。見た目、ほとんど普通に田植えした株の、稲刈り前のような状態になっている。確かにここまで行けるならば、一回目の収穫量と変わらない収穫がある気がする。この部分は水口で比較的水がいつもあった場所だ。


 6番の三線田んぼ。「とよめき」穂が黄ばんできていて収穫は一番早いのではないだろうか。ここも病気が問題なのだが、今回の収穫後どうなるかは検討材料である。できれば、3回目の収穫に向けて進めてみたい気はしているのだが。病気との兼ね合いである。

 ひこばえの収穫は8月26日と27日に予定している。1月田植えで、5月稲刈り。2回目が8月収穫。3回目が11月収穫。このまま継続も出来るのかも知れないが、ここで代掻きして、田植えに戻るというのが一番良さそうに見えている。

 どの程度の収穫あるかはまだ分からないが、1回目の収穫よりも増えているところもある。全体が収穫できれば、一回目とおなじくらいになるのではないだろうか。前回は鳥に食べられたところが多かった。今回は病気の被害がいくらかでている。

 台風は今回はまだ6号である。7号も後に続いたが、これは大分方向が違う。先ずは心配がいらない。しかしまだ台風の4分の1くらいが終わった状態だ。回りに張り巡らした風よけのネットは効果を発揮している。防風のためと防鳥のためとで、田んぼにはネットが必需品である。


 写真は3番田んぼである。ネット際の株は他よりも1ヶ月遅い稲刈りをした部分である。遅い稲刈りだと幼穂が早く出るという山岡説とはまるで逆の結果になった。遅い稲刈りも早い稲刈りの稲と変わらないか、まだ穂を付けないので、この後さらに1,2枚葉が出てよくなるかも知れない。

 出来れば、5,6枚の葉は付けたいのだが、なかなかその技術が見つからない。少ない葉で十分実らせるために、追肥が欠かせないと言うことになる。水については水があれば良いと言うことでは無い。水が無いと追肥した堆肥の肥料が効かないと言うことになる。
 肥料が必要と言うことははっきりしたので、肥料を上手く追肥して行くことと、アカウキクサの利用法の確立がやはり重要だ。7番田んぼで分かった。一番水が少なかった7番が、一番よい出来になったと言うことは、水は湿潤状態であれば、稲は大丈夫と考えて良いのだろう。

 - 楽観農園