官僚を悪用しだめにしたアベ・菅政権

   

 

 アベ・菅政権は良心的な官僚に見捨てられたようだ。出てくる政策がない。人事で官僚を引き釣り回したのだろうが、国民のためを思い、日本の為と頑張っていた官僚は、閑職に追いやられた。そして、有為な人材がいなくなった。

 今、責任ある立場にいる官僚は政権に従うだけの、自分の意見のない官僚になったのではないだろうか。これはという政策を聞くことはなくなった。たぶん言われたことだけをこなしているのだろう。日本をこうしたいというような人は意見が言えなくなったのではないだろうか。

 民主党政権は官僚の造反で沈没した。その反省の元に、アベ・菅政権は官僚を人事で支配することにしたのであろう。確かにこれは成功を収めた。アベ政権では官僚は、首が痛くなるほど上ばかりを忖度して動いた。アベの奥さんの始末やら、菅の息子の尻脱ぐいまでして歩いた。

 当然骨のある人はあまりの馬鹿馬鹿しさで止めていったに違いない。残るは言いなりの忖度人間が中心となった。その結果優秀と言われていた日本の官僚の能力がひどく低下してしまった。自分の意見を主張する官僚は閑職に回されているのだから、能力低下は当然の帰結である。

 これが日本が衰退して来ている大きな原因になっているのだろう。数名の官僚の人と接触したことがあるが、確かに優秀であるとおもった。有機農業の意味など私以上に考えてくれていた。しかし、その人が言われていたが、自分たちが充分に動けるように、国民がしてくれなければ無理だと言われていた。

 アベ・菅政権下では、政府が気に入るようなことだけを上申するような官僚が責任者なのだから、政策はまともな物にはならない。菅政権の自慢は携帯電話の値下げである。こんなことに政府が圧力を掛けて行えば、必ずひずみが出来る。ただでさえ遅れている。5G対応などさらに遅れるのだろう。こんな政策ではダメだ。

 人間が最高の能力を発揮するときは、自由な空気の中で、自分の興味に従って、みんなのために働くときであろう。自分だけが優遇されるために、忖度して働くようなときに、人間には本当の力が出るはずがない。まともな人間は徐々に腐って行くはずだ。官庁の空気が濁っているのだろう。

 アベ・菅政権による官僚操作は人間としての官僚をだめにした。優秀で自信家に違いない官僚を、人事で操作をしたのだ。確かに民主党政権では官僚が政府の意向を無視して動いた。そのために政府の能力不足が露呈した。能力不足があからさまになるように官僚が動いたのだろう。自民党政権に戻るべきだと考えた官僚が沢山いたのだろう。

 政治家は国民の意向をくみ取って国の大きな方向付けをする。それを官僚は、法律や憲法に従い、具体的な予算の枠組みの配分を行い、政策として仕上げる。予算が実施されれば、各地方自治体が実施できるように指導し調整して行く。官僚の能力次第で、政治家の意図が実現できるかどうかになる。

 官僚が政府のぼろを隠すために、犯罪まで犯すようでは良い政策が出てくるわけがない。総務省が大臣をはじめ多くの職員が、接待を当たり前に受けるような状態である。これが総務省だけのはずがないだろう。他の省庁だって何ら変わりはない。

 菅政権は外交では発言すらしない。菅氏がミャンマー軍事政権に対してどのように考えているのかは、まるで見えない。発言が出来るだけの見識がないのだろう。それをカバーする外務官僚がいない。韓国との数々の外交課題にたいしても意見の表明はない。こんなことでは日本の独自な外交はないとしか思えない。どの領土問題についても、今、外交努力を行っているようには見えない。

 中国とアメリカの対立はこのまま深刻化するだろう。そして、それが世界を不安定にする。日本はどのようなスタンスを取り、今後土言う外交を行うのか、今の領土問題に対するような、曖昧模糊とした態度では大変なことになるに違いない。

 官僚を生かす政治でなければ良い国にはならない。ところがアベ・菅政権は政府に忖度し、言いなりになる官僚を重用した。憲法解釈を変更しようと思えば、無理矢理自分の考えに従う内閣法制局を作り上げた。こうして、正義とか、公正というものはいつの間にか失われた。

 国会で官僚は痴呆症になってしまい、何でも記憶を失う人間になった。虚言癖、記憶喪失が官僚の病状となる。これではやる気のある人はたまらないだろう。武田総務大臣に記憶にないと言えば良いのだと指示されて動くのでは、情けない限りだろう。しかし、従っていれば出世が約束される。これが菅流の人事による人間操作である。

 民主党政権ではあの事業仕分けという奴を官僚が嫌ったのだ。ところが、事業仕分けして闇を無くせば、平等公正になってしまう。これでは官僚の鉛筆をなめる余地がなくなる。それで官僚は一致団結して、民主党政権に逆らうことになった。この地獄を見ていたアベ・菅政権は、官僚を人事で操ろうと決めていたのだろう。

 今度は官僚の生き地獄である。官僚が操作されている間は世間にはよく分からなかった。もうこの頃から優秀な人が外され、辞めて行っていたようだ。若い官僚の定着が悪くなったと言われている。早く辞めた人はまだ良かったのかもしれ
ない。

 ところが同じやり方で、学術会議まで人事操作の対象になった。こうなるとさすがに学者は勲章だけでは動かない。勲章が欲しいから政府に曖昧な態度しか取れない上層部もいるようだが、さすがに従わないと思われる。学術会議は4月までに政府に回答を求めている。政府が回答しないときはどういう態度を取るのだろうか。

 もし学術会議問題がうやむやになれば、これはもう日本全体がいやらしい生き地獄になる。絵描きの場合勲章が欲しいならば総理大臣の肖像画を描かされるのか。そうまでしてと思うが、忖度して何でも平気でやる人間は必ずいる。そういう人間が社会全体を悪くする。

 日本が立ち直り、健全な国になるためには官僚が政府と対等に動くようにならなければならない。政府に官僚の人事を自由に出来ない制度を作らねばならない。少なくとも、政府の人事を監視公表するような制度が必要である。オンブズマン制度のようなものかもしれない。

 法制局の人事などは政府から距離を置かなければ、法律が歪んで行く。憲法裁判所がない以上、法制局の独立性がなければ、独裁国家のようなものになりかねない。自民党の内部でも、異論が出ない体質になっている。

 しかも、これは自民党政権だけの問題ではない。維新の党が政権を取る時代が来たとした考えた場合、今の制度をどのように扱うだろうか。さらにひどいことになるだろう。公明党ならばどうだろうか。これも又歪んだことになる。たとえ、左翼政権が出来たとしても、官僚の独立性や、法制局の独立性は担保される必要がある。
 

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