コロナから国民皆保険の見直しが出てきた。
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菅首相は会見で医療法などの改正の可能性について問われ、「医療法について今のままで、結果的にいいのかどうか。国民皆…皆保険。そして多くの皆さんが、その診察を受けられる今の仕組みを続けていく中で、まあ、今回のコロナがあって、まあ、そうしたことも含めてですね、もう一度検証していく必要があると思っています。それによって必要であればそこは改正していく」などと述べた。
日本のコロナ感染者数がアメリカの100分の1で、すでに医療崩壊が始まっている。入院が出来ずに、自宅療養を強いられた高齢者が2名亡くなられたという。コロナの死者数が1日100名になろうとしている。極めて深刻な状況になってきた。
だから緊急事態宣言なのだろうが、もう一つその切迫感が伝わっては来ないところがある。その一つが何故、ベットがあるのに入院できないのかという、不思議である。いったいこの医療崩壊の背景にあるものは何なのだろう。菅氏の説明のように、何か日本独特の国民皆保険によって起きている、民間医療機関のコロナを受け入れられない事情があるというのだろうか。
13日の総理記者会見で、ある記者はこのような趣旨を質問をした。「人口当たり世界で一番病床数が多い国日本。感染者数はアメリカの100分の一。総理の言われる。医療体制が違うだけで良いのでしょうか。そうした医療体制を作っているのは政治ではないのでしょうか。医療法の改正は政治の検討課題に入っているのでしょうか。」誰もが知りたい重要な質問をしてくれた。
それに対しての答えが、冒頭の紫色の回答である。誰でも疑問に感じていることを聞いてくれたて有り難い。ところがいつものように意味不明な、理解しにくい回答で終わっている。要するに悪いのは政府じゃ無く、国民皆保険だと言うような、方向をそらすだけでは、何の解決にも成らない。
自ら分かりやすく説明すると約束したはずの、緊急事態宣言では無かったのか。菅氏の本音を想像すると、日本医師会が悪いために、こんなひどいことが起きている、と言う不満の表れなのでは無いだろうか。それを直接は言いにくいために、回りくどく保険制度にかこつけて答えたと思われる。
民間病院がコロナ患者を受け入れない。あるいは受け入れられない現状がある。コロナ患者を受け入れると、ますます病院に来てくれるお客さんたる患者が来てくれなくなる。また、多くの民間病院がコロナ患者を受け入れるよう体制になっていない。これが皆保険の性だと言いたいのだろうか。
隔離できる病棟が無い。エクモや人工呼吸器をつけて、集中治療できるような医師がいない。同時に看護師もいない。だから受け入れられない。ここまではなんとなく理解できるところだ。しかし、自宅療養していて、死んでしまう人がいる中で、ホテルでも預かれないと言うことはどういうことだろう。
医療機関の問題と同時に、役所の保健所の方にも何か、機能不全が生じているように思われる。もちろんホテルに預かってコロナの治療が出来るわけでは無いだろうが、家庭内感染を少なくとも起さないことは出来る。家にいろと言われても困る人の方が多いだろう。私だってそうだ。
テレビではコロナに感染した20代の息子さんが、持病のある母親がいるのだが、自宅療養では母親に感染してしまいそうで無理だと訴えていた。案の定、廊下を挟んだ別室で生活はしていたが、母親に感染してしまったという。悔やんでも悔やみきれないと嘆いていた。
一時期言われていた、症状の軽い感染者の場合、ホテルで待機するという方法はどうなったのだろうか。今はホテルも満杯になり受け入れないことになっているのだろうか。コロナが始まりもう1年になろうとしている。どうにも行政の準備が悪いとしか思えないが。
ベット数は充分あることはわかった。それならば、コロナを預かれない民間病院の方で、コロナ以外の患者さんを預かれないかと言うことを考える。東京都では広尾病院がコロナ専門病院になると言うことで、広尾病院の産婦人科に入院予定だった人に、他の民間病院が紹介されたという。
ところが、その民間病院だと、3,40万円の費用が必要だそうだ。困って相談をすると、その費用は東京都が負担することになったと言うことで、ほっとするところだ。同じようなことが、様々起こるだろう。起こるだろうが、命には代えられない緊急事態ということだ。どんどん民間病院に一般の患者をお願いするほか無いだろう。
民間病院を維持するためにも、互いに協力して対応してもらいたいところだろう。しかし、菅氏はなんと国民皆保険が問題だと解答している。つまり民間病院が皆保険を良いことに、儲かる患者をだけ診療していると言いたいのだろうか。
医療においては極めて優秀な神の手のような医師の報酬も、まだ未熟な医師の報酬も同じになるように出来ている。これが皆保険の欠点だとよく言われるところだ。こうした矛盾を克服するために、民間病院では利益を上げるために、様々な工夫をしているらしい。
皆保険で問題とされるのは現在の保険料では、国の保険が赤字体質になっていると言うことだろう。それで老人の2割負担が出てきている。また、高度医療を保険適用外にして、お金のある人だけが受けられるようにすべきという案も出てきている。
いずれにしても、今回のコロナ問題で皆保険の問題が持ち出されたのは、菅流の汚いやり口のように見える。つまり、学術会議問題を任命拒否から始めるのと似ている。自分で問題化しておいて、問題があるのだから、学術会議のすべてを見直しましょうと主張する。
コロナで医療崩壊が起きていて確かに問題がある。それに便乗するかのように、国民皆保険全体の見直すをする必要があると、問題をすり替えてしまおうとする。一番の問題は全く有効な手立てを打ち出すことの出来ない政府にあるのは歴然としているだろう。
批判だけでは良くないので、おまえならどうやって医療崩壊を防ぐのかと言うことになるが。老人の外出禁止である。老人の人との接触の禁止である。