冷たい雨の田んぼ

   

 

8月22日早朝の欠ノ上田んぼ まだ光が入っていない。このあと一日陽射しが入った。梅雨明けが言われて以来雨が続いてきた。梅雨時は雨が降らなかった。簡単に言えば、梅雨が1か月づれたと考えれば納得がゆく。7月19日に気象庁は梅雨明けしたようだと発表した。実はこの日を入梅したというべきだったのだ。気象庁が大きく外れるのは、過去の天候データーに従うからだ。それでは農業者は立ち行かない。私は長期予報を信じないことにしている。長い雨だった。7月二十日から1か月間梅雨明け後の長雨という異常気象になった。さらに台風5号が19日間も日本周辺に居座った。あの後一掃雨が降りやすくなったようだ。暑くないので身体は楽な気もするが、夏はからっとはれてくれないと農業は困る。田んぼが心配でオロオロしている。田んぼの病気は暑い時の湿度の高さが悪い。まさに今年のような天候である。8月21日になってやっと梅雨明けになった。この後の回復に期待するしかない。これも地球の熱帯化の影響なのだろうか。気象が以前と変わり、過去の体験が生かせなくなっている。この後巨大台風が来なければいいのだが。

1本植と4本植えの比較の田んぼ 一本植えの方が少し穂揃いが遅れる。遅れると緑が濃い。左に行くと色が濃い。分げつ数はほぼ同数である。頭で考えているだけでは農業はダメだ。やってみて確認できたことは良かった。5色に分かれた田んぼ。それぞれに理由がある。一番奥は田植えが2週間遅い。当然緑が濃い。陽がささないから出穂が止まったまま、2週間を経過した。その隣の赤味が強い田んぼは喜寿糯の田んぼ。中央はすでに穂が垂れて、葉が立ち上がった状態。喜寿糯の方が穂揃いが1週間サトジマンより遅い。一昨日から陽がさしている。農業はお天道様次第だとつくづく思う。昨年は9月晴れた日がないほどの雨続きだった。そして病気が出た。今年は梅雨明け後に雨続きである。毎年悪天候が繰り返される。稲に病気が出たのは初めてのことで、種籾を変える一つの要因になった。それでも8月までの好天があったおかげでそれなりの収量まではいった。今年は去年の9月が8月に来たようだ。このままではとんでもないことが起こりそうな気がする。

もち米の水口が一番遅れている。緑の所だ。ここは水路からの漏れが入水口になっている。もち米全体の背丈が伸び、ほぼ110㎝になった。サトジマンより背丈が高い。この田んぼは放棄伝を今年初めて使った田んぼだ。倒れなければ、相当の出来という事になる。

どの田んぼも穂揃いまで水管理は乾かすわけにはいかなかった。稲の受粉の時期だからだ。この時期は乾かさないことを基本にしている。しかし、深水を続けると倒伏する。そこで水尻を低くして、田んぼ全体を浅水管理にする。時には水が無くなっても仕方がない状態である。間断灌水というよりは走り水管理のようにしてしのいできた。稲の受粉が終われば、今度は間断灌水でいい。土壌が緩んでいるから、何とか固めなければならない。背丈が110㎝にもなっている。それに伴い茎も太い。茎が太ければ穂の重さで倒れることはない。多収するためには背丈が高くなければできない。葉の大きさ、特に止葉の大きさが厚さが、稲の収量には大きく影響する。問題は根本である。稲の根元の土が緩んで倒れる。土がうまく固められれば、多収の上に倒伏もしない稲作が可能になる。花が咲き終わったならば、思い切った間断灌水をする以外にない。

今現在、文枯れ病が出ている。何故、夏の雨で稲は病気になるのか。高温多湿が良くないのだろうか。何しろ葉が一か月間乾くことがなかった。乾かない葉では光合成の量も少ない。そして様々な細菌が葉の上で繁殖することになる。強い日光が当たれば、かなりの病原菌が死滅する。葉を守る方の微生物群が活躍できる。8月21日になってやっと乾いた葉の状態になった。ここで稲の回復力が発揮できるかどうか祈る気持ちだ。全体に稲の根元が病気が出ている。多分、紋枯れ病が発生している。明日えひめAIを散布してみる。効果があるとも思えないが、気持ちを治めるためだ。発生の顕著な箇所にじょうろで撒くようにする。少しでも止まれば有難いのだが。天候が良くなったので、ここで止まるような気もする。いずれにしてもこの後水を辛くして、地面を固めてゆく。いわゆる間断灌水を強めてゆく。受粉さえ終われば、地面がひび割れるほど乾いても影響は少ないようだ。

 

中央が湧き水の水路に実験的に捕植した苗。今穂が出てきたところで110㎝ある。背丈は他と変わらない。つまり、背丈が伸びるのは窒素だけではないという証明である。この水路はほとんど肥料分はない。砂地である。

 

 - 稲作