田んぼ緑肥の抑草効果の研究

   

 

 

田んぼの緑肥の効果を見て歩いた。田植え5週間から6週間経過したので雑草の様子を見るためには一番良い時期だ。前回と同様に平塚から井上駿先生に来ていただいた。多くの田んぼに緑肥栽培の成果が出ていた。成育の良い田んぼ、雑草の管理が出来ている田んぼが多かった。自給の稲作では有機農業で、一般の農家より良くできるという事が証明されている。管理の良い田んぼを行い、収量を周辺より多く上げてこそ、お借りしているものとしての責任が果たせる。今回草を完全に管理できているところが出て来ていた。緑肥の成育効果も見られたと思う。しかし、抑草の技術は総合的なもので、何か一つによって効果を安定して上げるという事は難しい。緑肥。ソバカス散布。縦横のコロガシ。流し水管理。の合わせ技ではないだろうか。改めて確認したことは手植え田んぼの良さである。

5葉期の苗を手植えするという事ならば、様々な田んぼの作り方ができる。特に抑草技術という点では、稲にも、雑草にも厳しい関門にしなければ草は出てくる。大きな苗で、すぐ活着するという事が的確な手を打つためには大切なことになる。機械植となると、かなり限定された技術にならざる得ない。今回も、耕運機で軽い荒越しをして水を入れたところに手植田植えをした、新永塚田んぼがある。今年の草については、全くコロガシもしていない。稲の生育も悪くない。5葉期の良い苗を植えたからだと思う。また、農の会でも専業農家の方々は、機械植を基本としている。その為に、初期生育に問題が出ている田んぼもある。自給の田んぼ耕作に必要な時間をきちっと把握する必要があることを感じた。手植は1日3aから5aならたいていの人に可能である。つまり一人の人間の自給であれば、手植えの方が合理的なのだ。

緑肥による抑草の効果は、トロトロ層の形成が一番大きいと考えている。トロトロ層という言葉は少し幅があり、私は土煙が経つトロトロが田面にあるかを判断基準にしている。田面に触らないように軽く水をかき回した時に、煙のように軽く土が舞い上がるような土状の物が表土を覆う。当然その下にはトロトロ層が作られている訳だが、この軽いものの大半は微生物の生成したもの。稲わらや緑肥の腐植が溶け出したものだろう。良い深山の水を使う田んぼであれば、入水口から流入する軽い浮遊物もある。この煙の層が大量にできるためには、緑肥作物の漉き込みが効果を上げる。漉き込まれた緑肥は時間経過とともに腐食してゆく。この時にコロガシによる攪拌と、タテ浸透による酸素補給が良い発酵方向への効果を上げると考えられる。良い発酵をすると、根を傷めず、植物の吸収できる栄養素を生成できる。またその状態が、種の発芽を抑える役目にもなると思われる。

田んぼは発酵土壌の形成が大切になる。それには緑肥の窒素固定された量の影響がある。緑肥の量が大きくないと効果は上がらない。自然農法では緑肥が多すぎて倒れるというようなことは経験がない。緑肥を上手く栽培するためには、緑肥の性格や田んぼの環境で大きく異なるようだ。緑肥は見た目の量では、ヘヤリーベッチ>クローバー>レンゲであった。乾燥重量では全く逆の結果になり、レンゲ>クローバー>ヘヤリーベッチであった。緑肥栽培はやはり覆土することが一番安定した栽培になる。緑肥に堆肥を与えて生育を促進する必要もある。播種し、覆土し、藁を全体に広げ、その上に米ぬかを蒔いておく。湿り気のある土壌と、冬乾く田んぼでは緑肥の生育は大きく違う。また冬寒さが貯まる谷戸田では寒さに強い緑肥を選ばなければならない。今までの実験ではレンゲが一番寒さに強いようだ。クローバーではクリムソンクローバーの方が生育が早く、赤クローバーは生育が1か月遅い。ヘヤリーベッチであれば、2月ごろに播種した方が生育が安定する。また白クローバーは雑草化しやすい。いずれにしても景観植物としての効果も高い、クリムソンクローバーやレンゲはうまく組み合わせるといい。

 

吉宮

井関

岡本

欠ノ上

山室

山ちゃん

 

新永塚

坊所

舟原

品種

ヘアリーベッチ

レンゲ

ヘヤリーベッチ

レンゲ・ベッチクローバー

 

クリムソンクローバ

大麦ヘヤリーベッチ

20a

 

クローバー

ベッチ

播種日

10/21

11/8

11/2

10/25

10/27

10/30

 

10/30

 

10/19、20、21

播種量

 

 

 

 

 

 

 

6キロ

 

 

面積

6a

2a

10a

10a10a10a

 

 

 

 

 

 

方法

不耕起

不耕起

耕運

耕運覆土

 

 

 

耕運覆土

バラ蒔き

耕運覆土

発芽

11/4

 

 

 

11/4

11/7

 

 

 

 

乾燥重量

320g

 

そこそこ

1500g

580g

1100g

600g,

900g

270g

800g

 

刈った日

5/22

 

 

5/23

4/8

 

 

5/19

 

 

荒起こし

5/22

 

 

5/23

 

 

 

 

 

 

入水

5/27

 

 

5/28

 

 

 

 

 

 

田植え日

6/4

 

 

5/29

6/3

6/4 /5

 

6/4 /5

6/5

6/4 /5

コロガシ

6/12 /27

6/15 /26

 

6/5 /7

6/22

6/11

 

 

 

 

雑草の状態

とても少ない

良く管理されたたんぼ。

10俵行くか

少ない。

田んぼが整っている。

草は上の方が多いい。

草は多いいところ、少ないところ、ムラがある。

草はない。

 

草は下が多いい。

藻の繁茂に問題あり。

 

草は完全にない。

硬い。

成育や遅れている。

雑草はかなりある。

草は例年より少ない。

深水効果。

土の状態など気づいたこと

土は上の方がむしろ良い。なぜか。

 

生育が遅れている。

土は年々トロトロ層の増加がある。

成育はおとなしい感じ。

成育のムラがどうなるか。

 

成育は今のところ普通。

水管理に問題在りか。

良くトロトロ層が出来ていた。土の良さを感じた

その他

 

 

浅水管理29センチ角植え

レンゲが半分あった影響は少し見えた。

ヘヤリーベッチが良く繁茂していた。

覆土して、藁散布し、ソバカスを撒く

 

 

 

代掻きなし

2度代かき

草が多いいのに匂いが出ていない。

 - 稲作