TPPより市民交流

   

TPP反対の理由は何度も書いてきた。理由は明白で、日本がアメリカの食い物になるということだ。野田政権は、と言うより政治全体が東アジア経済圏構想を軽視したままいる。アジアの日本と言う事を考えずに、TPPにのめり込んでいる。国と国との付き合いを、人間同士の交流に変えることだと思う。経済の観点からだけ考えては、大局が見えなくなる。国と国がきちっとお付き合いするということは、人間同士の交流が先になければならない。互いに学び合い、高め合う関係が必要だ。ただ金儲けのために、他国との経済協定が必要と言うようなあさましいものでは、互いに蹴落とす関係になる。戦争への道である。確かに経済と言うものは、基盤である。日本にとって基盤であるように、相手国にとっても基盤である。互恵関係であればいいが、相手を利用して一儲けしようということが、腹の底にあるのでは信頼できる関係ではない。「TPPなくして日本の雇用は守れない」経団連の意見だが、TPPで日本の農業就労が失われる事だけは確かだ。

韓国は太陽政策の揺り戻しで、一気にアメリカ一辺倒になった。韓国でこれから起きることは、日本の10年後の姿である。最近韓国系世界企業がやっかみ半分で報道されている。韓国のグローバル企業の躍進で、韓国人の暮らしが良くなっているわけではない。人間の暮らしの視点から見なければならない。時々現れる、韓国との比較記事は日本人を焦らせようという、意図的な報道の気がしてきた。韓国は北朝鮮との関係があるから、アメリカへの接近も止むをえずという側面がある。沖縄の基地問題においても、日、米、韓の3国で話し合う必要がある。アメリカは太陽政策以来、韓国から基地を引き上げる政策を続けた。その分沖縄の重要度が増した。しかし、現状では韓国はアメリカの1とつの州のような状態に進もうしている。韓国でのアメリカ軍基地の重要度は経済から見ても増している。日本に必要なことは韓国と中国との3国関係を優先する。それが日本の安全保障にも重要なことになる。

人間の関係は、まず市民レベルの交流である。国が先に出る関係でなく、市民レベルで繋がりを作り出す。市民の交流は互いの理解である。学び合うと言うとになる。中国に自然養鶏の事で出掛けて、良く分かった。指導するということは学ぶということである。中国も今の一辺倒な政策では大きな困難に直面する。日中両国の目標は、中国が本来持っていて、4000年のアジア農業の知恵を互いに、再評価することではないか。日本は農業の困難さでは先輩である。養鶏で言えば、日本は細やかな技術にたけている。農家養鶏と言うレベルでは、世界に向けて発信できる技術がある。中国人には、まさか日本に中国にまさる自然養鶏技術があるとは想像もできないでいる。それは稲作においても同様の認識だ。日本には日本の、市民のレベルの技術蓄積があるだろう。中国にはさらに奥行きのある農業技術が存在した。今捨て去ろうとしているが、世界を救える農業技術になるに違いない。

人間が幸せに生きるための技術を温め、交流する。こうした姿が国と国の交流の基盤になければならない。そのことを怠り、経済での利益だけの関係は、競争の原理だけが特出してしまう。市民として協力させてもらう関係を、見つけ出すこと。日本はすべてを朝鮮から、中国から学んだと言っても良い。そしてその技術を、細やかに醸成させた。ところが残念なことに今だ、中国や韓国を蔑視する人たちが居る。もうそういう時代を乗り越えていいのではないか。日本で出来た合鴨稲作はまだまだ技術蓄積が浅い。中国伝統の水鳥飼育の技術と食文化と融合すれば、可能性は大きい。中国には、発酵にかんする深い技術が眠っている。市民レベルでの交流を暮らしのレベルで行う意味は、人間の幸せの発展につながる。経済よりもまず人間で行こう。

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