放射能汚染堆肥に関する通達
放射能汚染された堆肥に関する農水省の行政指導が示された。原発事故が起きてから、5か月が経った今になってである。遅いことは別にしても、その指導内容の根拠がないことには驚く。時間をかけて充分考え抜いて、こんなものしか出てこないのか納得がいかない。こういう時に行政が権力であることが分かる。前回のお茶の時も、生葉で行くのか、荒茶で行くのか、飲むお茶で行くのか、はっきりしないで混乱しているうちに、荒茶に決まった。神奈川県でも静岡県でも、科学的な根拠がないと言うので当初拒否していた。結局根拠は示されないまま測定をすることになった。①肥料・土壌改良資材・培土中に含まれることが許容される最大値は、400ベクレル/kg(製品重量)②牛、馬、豚、家きん等用飼料中に含まれることが許容される最大値300ベクレル/kg③養殖魚用飼料中に含まれることが許容される最大値100ベクレル/kg(製品重量)この3つが指導の内容である。
その根拠としては
(肥料等を長期間施用しても、原発事故前の農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲に収まる水準。この水準であれば、農地への施用作業時の外部被曝が廃棄物再利用のクリアランスレベル(10 µSv/年。平成23年6月3日原子力安全委員会決定)を下回る。)としている。
足柄茶の汚染処理では、茶葉や枝は刈払い、お茶畑の畝間に入れておきなさいと言う指示であった。生葉や枝には、1000ベクレルを越えたものがあった。表土もほぼその程度の値はあるとしなければならない。このように放射能汚染された畑地の放射能の総量の低下を考えなければならない。何故、枝葉は1000ベクレルでもいいが、堆肥は400ベクレル以下となるのか。枝葉を残したことが間違えであったのなら、今からでも間に合うので、持ち出しの指示をすべきだ。同時に表土の持ち出しも行うべきだ。お茶畑なら耕していないので間に合う。畑の通路部分に埋め込んでしまえばいい。足柄茶では7月末の三番茶でも600ベクレムになったが、これは当初の6分の1に減少しているともいえる。今度は土壌や枝に残っていた放射能が、葉に出たと考えられる。これより下げるためには、根からの吸収も考えるひつつようがある。やり方さえ工夫すれば、クリアーできる範囲である。
表土にほとんどの放射能はいまだ存在している。また、表面を流れて低い所にたまる。畑に高低があるなら、低い所から表土を持ち出す。農水が早く対処法を指導していれば、耕さない内に出来たことだ。それでも今からでも遅くないので、集まっていそうな所は避けるだけでも違う。堆肥であった。堆肥が使えないということは、有機農業に置いては深刻な被害である。笹村農鶏園の鶏糞たい肥も、分けてあげることも許されないらしい。落ち葉を集めて利用することがとても土壌を作り上げるのに有効。落ち葉を取る場所もよほど気おつけないと、汚染稲藁の二の舞に成る。しかし、良く考えてみれば、これが300キロ圏のあしがら地域の状況のことで、山や川や海、国土のすべてがこの状態なのだ。100圏内では、400ベクレルの堆肥を入れることが、濃度を下げるという状態であろう。濃度と言う考えは止めて、総量を抑えると考えるべきなのだろう。
何故、400ベクレルであれば、農地の汚染が増加しないとしているのか。その根拠は示されていない。示されていないどころか、間違っている。土壌深くに浸透するのには時間がかかるもののようだ。除染が福島では専門家をお願いして行っている。農水省でも農地の除染方法を、専門家によって検討し、研究し、濃度別に方針を示す必要がある。その前に汚染地図を作る必要がある。そこにはどういう地形が濃度が高くなっている可能性があるかなど、農家が具体的に対応できるものにしてほしい。と言って、方法がないのだろう。無いのならないということを認めて、生産者の負担増だけで済ますことは止めてもらいたい。