足柄茶のセシュウム汚染

   

ついに来てしまった。まさかと思っていたが、どう調べても事実だという。あしがら農会でもお茶摘みのさなかで、会のお茶畑は半分は摘み終わって、雨で2回目が延期されているという状態であった。お茶の袋分けを行っているさなかに、電話があり南足柄でのお茶の汚染が知らされた。まだ配っていなかったので、その点だけは良かったのかもしれない。岩越さんからは何度もこの点のを指摘されていた。まさかそんなことはあり得ないと考えていた。もう少し岩越さんの指摘を素直に受け止めなくてはいけなかった。中原さんも同じ趣旨を言われていた。それにしても弱ってしまった。どうしたらいいのか判断も出来ない。一晩経っても混乱している。卵のことでもある。確かに売る訳にはいかないだろう。それも当分と言うことで済まないのが放射能である。300キロ離れた、南足柄市で汚染が起きたのだから、今回のレベル7と言う原発の汚染と言うものの大きさを身にしみて感じた。

放射線物質はお湯にはどう溶け出すのだろうか。そう言う様々なことが混乱した頭の中で渦巻く。そんなことを言っている場合ではない事も確かだろう。わずかな望みは、間違えであることだが。それはどう考えても信じがたい事だからだ。自分の畑に起きるとんでもないことは、見ないことにしたくなるもののようだ。他の露地野菜が、神奈川県下で放射線量の不検出が続いていた。その中で起きたことだ。茶葉は4月に成って生育したものだ。3月の汚染が強い時期はまだ硬い芽だった。放射能の雲が、飛んできて最近ドカンと落ちたということだろうか。どうしても不思議な気がする。丹沢のブナ林が枯れて行く原因が東京や川崎の排気ガス汚染だという。汚染された大気が東京湾を通り、太平洋に出て、南下したものが、相模湾から上陸して、丹沢の山ににぶつかる。それが霧状に成ってブナ林に酸性雨をもたらす。推測するに、あの爆発が起きた頃、福島県沖に出た死の灰が南下して、相模湾から上陸したのではないか。心配のし過ぎもいけないと思って考えないようにしていたが。岩越さんの指摘通りだった。

ともかく今年のお茶は駄目になった。この被害は保障されるのだろうか。原発が原因なのだから、東電には補償する義務はあるはずだ。土壌の汚染はどうなっているのか。緊急に広く土壌の汚染調査をやる必要がある。300キロ圏はすべてうやらなければならない。土壌の汚染にまで広がっているとしたら、どうにもならないことに成る。まさかそれはないと思いたいが。ただでさえ息絶え絶えの農業のなかで、かろうじて展望を見つけてきたのが、足柄茶である。足柄茶は関東大震災後の復興作物であった。それがこんな形で、壊滅するのかと思うと、原子力の選択がどれほどの間違えであったのかとおもう。今に至っても、まだ原発の廃絶を決断できない人たちがたくさんいる。経団連など原発を再開しろと言う感覚である。屋外に置かれた自動販売機のような、無くても済むような電気使用の為に何故これほどのリスクを負わなくてはならないのか。

もう他人ごとではないのだが、改めて、福島で農業をやられてきた方々の無念を思う。先日は飯館村の話を佐藤さんから伺い。政府は住民を切り捨てる。パニックが起きるリスクを重視して、一部の住民を承知で切り捨てる選択をした。今持って、広い範囲の正確な土壌調査が出てこない。海洋汚染のデーターも出てこない。風評被害のいい訳なのだろうが、300キロ地点で汚染されていたのだから、事態はきわめて深刻である。正確なで、信頼できる調査に基づいて、今後の対応を判断しなければならない。事実は見えないのだから、300キロ離れても汚染があるのだから、まさに風評被害はない。食は自己判断である。政府の発表はまるで信じがたいものである。

 - Peace Cafe