農林水産省からのメールマガジン
農林水産大臣の熱い情熱にあふれた、メールマガジンが届きました。石破大臣はどうも様子が不自然で、軍事オタクと言うあだ名まであり、あまり良い印象ではなかったのですが。この度のメッセージはなかなかのものです。
まさしく我が国の農林水産業は存亡の危機にあると感じております。生産額は減少の一途を辿り、就業者の高齢化は極めて深刻な状況にあります。農地や山林の荒廃、漁業資源の深刻な状況、そして農山漁村の疲弊は目を覆うばかりと言う他はありません。私はその場凌ぎの対症療法的政策に堕することなく、人気取りに走ることなく、政策を根本から総点検し、過てる点があればそれを正す勇気と、消費者を含めた国民全体に真実を語る誠意を持って職責を果たしたいと決意しております。我々は次の時代に責任を持たなくてはなりません。残された時間は極めて短く、選択の幅は決して広くないと考えております。
この認識は正しく正確である。この後8つの全分野に渡る課題に分けて、政策転換を述べている。
平成の農地改革と位置づけ、水田のフル活用元年とし、自給率の低い麦・大豆や飼料作物の生産拡大を図るとともに、米粉用、飼料用等の新規需要米の本格生産に取り組むとしている。新規就農者の受け入れのためとして、「水田・畑作経営所得安定対策を始めとした担い手支援策を着実に推進するとともに、農業法人等が農業技術・経営ノウハウを習得させるための実践研修を推進することにより、農業分野への新規就農を促進する。」としている。期待できることである。補助金で農家を支援すると言うような形でなく、農家が成立する形を模索すると言う意図が明確に感じられる。久し振りに立派な農水大臣で、嬉しい。「国民全体で食料問題に関する認識を共有し、消費者、生産者、企業、行政等が一体となって国産農産物の消費拡大等に取り組むことが必要であり、食料自給力向上に向けた国民運動「フードアクション・ニッポン」を積極的に支援してまいります。」
大いに期待するところだ。
以前から農業政策は国段階ではなかなかのものが打ち出される。ところが、県段階と成ると、農政の関係者が、有機農業推進法の成立すら知らないと言うような現実がある。市段階ではさすが現場に近いだけ、良く勉強しているのだが、何とか国の政策を逃れよう、かわそうと言う不思議な事が起きて来る。それが農業委員会段階となると、そんなことは現場を知らないものの言う事だで、ほぼ反対と言う事になる。理想と現状の乖離が極めて大きい分野なのだろう。いよいよそんなことも言っていられない、切羽詰った状況ではある。一方から見れば、確かに平成の大改革のチャンス到来。石破大臣も述べているが、国際交渉に対する戦略的対応が必要である。これは外国へというより、国内輸出産業との調整が最大であろう。農産物輸出の倍増も掲げている。そのことは題目としてはいいのだが、具体的な展開法は、新たな無理を生み出すことになる。高級農作物、特に果物輸出が中心に成るとすると、農薬使用量が倍増することになる。産地に環境的な不安も生じる。
「農商工連携」「人材の育成」「農山漁村集落の再生」「地域経済の活性化」「自然循環機能の維持増進」「環境との調和や生物多様性の保全」考え方、見方においてどの考えも素晴しい。しかも自分の言葉で書いていて、官僚の代筆とは思われない。後は一日も早い実行、心よりお願いします。現場の農業者のひとりとして、心よりお願いを繰り返したい。輸出できる高品質の農産物を作ると言う事は、手間暇のかかる、小さく、目の届く、きめ細かな農業の事である。伝統工芸者と同じで後継者はいない。現在の農政の方向とは、実は真逆なやり方なのだ。自然養鶏は少なくとも、そうだ。大規模農業の農産物で中国や、アメリカに対抗しても所詮無理な輸出競争に巻き込まれる。ものづくりは人づくり、とよく言われる。日本の基本と成る食べ物の事である。心を込めて食べ物を作れる社会的環境づくり。そんな思いが育つような農業地域の再生でありたい。『地場・旬・自給』の重要性が見直される2009年に成ることを、祈念する。