アメリカ栴檀草

   

今年の繁茂はすざましいものがある。こう言うやたら蔓延る植物は大体が、帰化植物である。実に厄介な物だ。畑から駆逐すると言っても、到底手に負えないほど、すばやく再生する。今年の秋はやたら目に付く。10月花が咲く。その頃徹底して刈り取るのが一番効果がある。9月に刈ったのでは、すぐ再生して、一面に蔓延る。却って、一面の栴檀草の群生になってしまう。少し刈るのが遅れればもう引っ付きが始まってしまう。たちの悪い引っ付き雑草の中でも、アメリカ栴檀草ほど困る物はちょっとない。帰化植物で朝鮮とか、アメリカとか付いているのはあまり好ましい植物でない。当然差別の気分が名前に反映しているのだろう。明治時代にはせんだん草は既に関西に帰化していると、牧野氏が書いているそうだ。たぶんアメリカ栴檀草のほうも同じ頃広がり始めたのではないだろうか。

最近お隣に越して見えたSさんはニュージーランドに長く居られた方だが、向こうではアメリカ栴檀草があまりに繁茂して、問題化しているそうだ。確かにこれが広がれば、牧草は困る。この草は妙な臭いがして、鶏も嫌う。たぶん羊や牛も食べないのだろう。放牧すると食べない草だけが残り、爆発的に群生することになる。こんな草が一面広がったら立ち入ることも出来ないし、それは気分的にもたまらないものがあるだろう。畑の中はなぜか以外に生えない。元畑で、除草剤などとことん使った場所はこれが一面繁茂する。たぶん除草剤にも強いのだろう。それが土がよく成ると、たぶん柔らかく成ると減ってくれる。周辺から種は広がるだろうから、一面これになりそうなものだが、畑の中はぐんと減ってくれた。それにしても道端や、斜面はこれが目立つようになった。放棄地が増えてきたと言う事なのだろうか。それとも気候の変化が影響しているのか。いずれ不安な気分になる。

一方、日本からアメリカに帰化して、問題となっているのが、クズKudzu葛。アメリカで鉄道の線路を路肩の補強に、葛をわざわざ種を蒔いたと聞いている。中国でも最近利用していると言う話だ。原産地ではそれなりに調和して困ってはいないようだ。日本でも上手く調和している。それ以上に葛の根からとる、澱粉くず粉が珍重されている。葉っぱは鶏のえさには最適だ。随分採った。杉の植林地には、苗木が小さい間に広がる。覆い尽くして枯らしてしまう。杉が大きくなれば、他の蔓草は幾らでもあるが、葛はなくなる。本葛といえば、中国産なんだろう。と思うしかない状況。葛の根を掘る過酷な労働を、継承するような人は先ずないだろう。私はだいぶ掘って、葛粉を自給した。長さ3メートル、太さ直径15センチなどと言う大物を一日がかりで掘る。それを摺ってさらして、粉を採ったが、僅かなものだ。労賃から言えば、100グラム1万円ぐらい欲しい。

帰化する植物。この蔓延る様子を見ると、自然の調和力の実態が見える。たぶん、虫とのかかわりが一番だろう。その植物を餌とする昆虫がいない。当然それを食べる動物、鳥類。微生物の違いもあるのだろう。その植物が単純植生になる自然の成り立ち。これに帰化植物は適している。しかし、中国から日本に入り、日本の自然に調和してきた植物もたくさんある。たぶんアメリカと成ると、その環境の違いから、自然の調和力を超えている物があるのだろう。自然に良いものも、悪いものもないわけで、都合よく取り込むことは出来ない。自然の循環の姿が見える。農業において、単一的に作物だけを作ると言う事が、いかに自然の摂理に反した行為であるかがわかる。自然とのかかわりは、あくまで『手入れの範囲で』行うこと。

昨日の自給作業:耕運1時間 累計時間:9時間

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