石垣島の12月
帰りの飛行機の中から富士山が美しく見えた。12時過ぎくらいだった。小田原の家の辺りも見えたのだが、富士山の奧に、南アルプス、御嶽山、北アルプスと、日本の高峰がすべて見えていた。富士山は行きのかぶり方が一番美しい時期かも知れない。
4日に石垣島に戻り、すぐに田んぼに行った。田植えが7日と15日である。この時期に田植えは初めてなので、不安も大きい。まだ石垣島で一番良い田植えの時期が分っていない。苗はこの一週間で大分しっかりしていた。4週育苗で4葉期である。風で葉先がやられていた。
5週育苗の一番と二番田んぼの方が、5葉期まで生育して良いかも知れない。肥料は足りないという色でもない。多すぎるという色でもない。古い牛糞堆肥で当たることもなかった。1m巾で15mの長さの苗代に1キロの種籾を蒔いた。良い苗にしたいのでかなりの薄薪である。品種は「にじのきらめき」。
苗の出来としては、どうにもならないとまでは言えない。良いとまでは言えない。微妙なところだろう。思っていたほど早い成長をしないでくれた。といって、徒長でないしっかりした苗になっているかと言えば、やはりたよりないなえではある。ぎりぎり及第点ぐらいか。
中川さんが田んぼの水位調整をしてくれていた。三番田んぼがまだ水位が高かったが、他は丁度良かった。三番田んぼもどんどん水を抜いて、翌朝には田んぼならしができる高さになった。水位調整が簡単にできないのも困るが、繋がった田んぼなので仕方がないとも言える。
5日は水牛を使って、田んぼの均しである。干川さんの指導でのぼたんが活躍した。のぼたんはコロバシャの訓練は大分したのだが、他の作業はしたことがなかった。大勢人がいたので、のぼたんは気が弱いので逃げてしまった。捕まえるのに一苦労だった。
もう少し人慣れをさせないといけないのだろう。人が来るところに繋いでおく必要がある。見知らぬ人を見ると怖くなるようだ。大分コロバシャの訓練はしたので、作業自体は出来ないはずは無い。均しは大分苦労をしたが、一応は終わらせた。平らになったのか、田んぼが荒れたのかは分らないが、まだこんなものだろう。
その後トンボで均した。そうでなければ線が引ける状態ではなかった。伝統農業もなかなか大変だ。始めた来た人で田んぼ農家の人がいた。何故トラックターで均さないのかと言われた。その通りである。トラックターで均した方が早い。あえて水牛を使っている。ただ、トラックターが動けなくなるような深い田んぼでも、水牛は歩ける。
水牛農具の改良が必要である。特に取り付ける部分が手間取りすぎる。紐を結わえるのだが、これでは水牛がじれてしまい、暴れてしまう。誰でも簡単に繋げるような農具に改良する必要がある。これも本気でやらないと、やらなければと思いながら、もう3年も経ってしまった。
水牛均しが終わってから、人間がトンボで均した。そうしなければ、田植えの線が見えないほどあれていた。これなら人が最初からやった方が早かったと言うことかもしれない。それならトラックターでやるべきではないか。と言うようなことで、どうも伝統農業の継続も難しいところになる。
線引きは7日の田植えの直前にやる。5日6日と雨で、線を引いても消えてしまう。線引きで今回はどのように引くかはまだ決めていないが、三番田んぼは30×30か。30×40か。六番田んぼは40×40に決まっている。後の作業の楽さを考えると、幅広の方が良いとは言える。
田んぼは田んぼ靴で入り、ぎりぎり泥が入らない程度の深さだった。たぶんトラックターでやる一番深いという感じだろう。のぼたん農園の土壌で、これ以上深くすると、トラックターは動けなくなる。今年はできる限り深くして、田んぼの一部にある石の層を崩した。
石は取り出してない所が多いので、田んぼの土壌が石混じりという所もかなりある。石拾いも課題である。大きな石だけでも拾い出したいものだ。田んぼを作り3年が経過してこんなに石が出るというのでは、田んぼ作りとしては失格である。
昨年明らかに田んぼの中に良い出来の所と黄ばんでしまった悪い所が出来た。悪い所は耕土が浅すぎるところだった。耕土を深く均一にすると言うのが今年の課題だった。トラックターで何度も荒起こしをして、この点ではある程度改善されたかも知れない。
今年は基肥として、よみがえりを60キロぐらい入れた。反当たりに換算すると、300キロ。基肥の量としては少なめである。この後どのタイミングで追肥をして行くかが重要になるだろう。稲の色を見て、追肥を考えたいと思っている。分ゲツ肥がいるかどうか。穂肥はいるだろう。
そして最後に稲刈り1,2週前にひこばえのための肥料を入れる。これは最初の基肥の倍は必要とされているから、水を止めて田んぼを乾かしてから肥料撒きをする。ひこばえは最初の稲よりも、多くの肥料が必要と言うことになる。ただ今年は他のたんぼはひこばえは大変だからやりたくないと言うことなので、一番だけの実験になるかも知れない。
のぼたん農園の自給農園
としての目的のために、ひこばえ農法は完成しなければならない。ひこばえが二度再生する。7月に二回目の稲刈り、11月に三回目の稲刈り。一回の収量が60キロとしても、180きろのおこめが収穫できるというのが今の目標。
としての目的のために、ひこばえ農法は完成しなければならない。ひこばえが二度再生する。7月に二回目の稲刈り、11月に三回目の稲刈り。一回の収量が60キロとしても、180きろのおこめが収穫できるというのが今の目標。
肥料を現在はよみがえりを購入している。これをだんだんにへらして行きたいと考えている。「アカウキクサ」を繁茂させて、これを肥料とする方法である。アカウキクサはリン肥料で繁茂する。バットグアノを使えば増えることは分った。乾燥鶏糞のようなものを使えば、効率よく増やせるかも知れない。
土壌に腐植を増やす方法も考えて行きたい。のぼたん農園で刈った草で草堆肥を作り、田んぼに入れて行く。現在刈った草が使われていないというのはどう考えてもおかしい。堆肥を作るのが難しいのであれば、そのまま田んぼに入れて行くのでも良いだろう。
土壌を豊かなものにして行くのは、腐植を増やすことが何より重要だと考えている。農業に良い土壌も様々な考え方があるが、先ずは農業高校の農業の教科書からである。これをしっかり抑えてから次のことを考えれば良い。最近情報過多で、ネット情報に乗ってしまう初心者が多すぎる。
まあ、ともかく実践である。先ずはのぼたん農園で私が自給農業を実現して、それを見て貰うと言うことからである。今年は何とかまともな農業を実現したいものだ。石垣に来てまだ一度も納得の行く稲作が出来ていない。くやしい。