台湾自然農場見学

   

  まず、淡水の幸福農荘の写真です。

農園を見下ろす、テラス作業場

 食べられる台湾の野草
ひこばえの枯れ残る姿。
叢生栽培のパイナップル

この畑で3個だけ収穫があったそうだ。
こちらは食べたパイナップルからの再生株。なかなか大きくならない。
植え付けられたレタス苗。活着したところ。
大きな石積みの階段。下には川が流れている。
セイジは良く出来るとのこと。
大根の叢生栽培
大根の畑
研修生の畑

バナナ
台湾固有種のユリ
畑にはさまざまな花が植えられている。



山東菜か、美味しかった。
白菜が結球するかどうか
イチゴ、株を結わき立ち上げるそうだ。
エンドウの種取り
ジャガイモ、11月植え綺麗に育っていた。


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竹のオブジェ
田んぼの冬の様子、水がしみてきている。
田んぼ、ハザガケをしている。
分かりにくいが、崖の下や畑の回りに溝を作る。気の流れを作るとのこと。
足踏み脱穀機


素晴らしい母屋、台湾の古い農家を改造。


種籾が干してある。
水牛の作業具。個ロバシャーが7本刃だった。
高い天井
水牛のくらと漉



 台湾に2泊3日で行ってきた。台湾の秀明自然農法で耕作をされている、2つの農家を見学させてもらった。淡水の陳さんの所と南澳の黄さんの所を見せて頂いた。のぼたん農園の渡部さんご夫妻と3人での台湾農家見学。今になってしみてくるような深い感銘を受ける、台湾の自然農法農場であった。

 淡水の陳さんの畑と田んぼは自然の中に溶け込む、それは限りなく美しい農場だった。全体で1haぐらいではないだろうか。見せて頂いた以外に7反の田んぼがあると言われていた。ご主人は眼科医の方で、聡明で心の暖かい方であった。仕事があるはずなのに、長い間一緒に行動していただいた。台湾の方は本当に心優しい。今思うと何か童話の世界を訪ねたような気がしてくる。

 秀明自然農法はそもそもは岡田茂吉氏に始まる、MOAの中でいくつかの流れが出来た内の一つの組織である。私は開墾を始めた時に、お隣に川口さんという山北町のMOAの方がおられて、一緒に山北有機農業研究会を立ち上げた。その活動が「あしがら農の会」を立ち上げる基になった。

 そのこともあってMOAの関係の足柄地域におられる農業者30人くらいとは、かなり頻繁な交流があった。農業技術を学ばせてもらうという意味で、関係を持たせて貰った。MOA大仁農場も何度も見学させてもらった。私なりに、学ばせてもらい、その農法の優れた面と、限界を見せてもらった。

 限界という意味は、農法の原点に宗教的命題があるという感じか。MOA農法を徹底してしまうと、現代日本では農業には、つまり生業にはならないという事である。お米であれば、1反で5俵が限度である。実際にそれを超えているMOAの農家の方は何らかの意味で、岡田茂吉式自然農法ではなくなり、自己矛盾を抱えているように感じた。

 それは社会での農業の置かれた場がおかしいから仕方がない、ともいえるのだが、新規就農するものがその理想主義で行こうとすると、まず農家としては成立しないことが現実だと思う。だから、MOA農法はいくつにも分かれながら、一般の農業とは一線を引くものになっている。

 滋賀にあるという日本の秀明自然農法は私は見たことがないので、何とも言えない。ただ、岡田茂吉氏の理想とした農業は実現しているのではないだろうか。それで暮して行ける社会であれば、望ましい訳だが現実社会は競争社会で、実業としての農業という意味では限界があるのは止む得ないことだろう。

 MOA農法は良く知っているとおもうのでので、台湾の秀明自然農法もすぐにその世界は理解できた。伊豆の長岡でやられている川口農法の高橋さんの畑によく似ていた。私の絵を描く眼から見ると、その2つは美しい調和のある畑なのだ。作物が環境に溶け込み心地よく生育してゆく畑。

 この美しい世界観の中に生きることは、生き方の一つとしては素晴らしいことではある。評価されるべきものだと思う。川口由一さんも理想を追い求め、晩年は仙人化したように見えた。仙人化したのは、自然農法の先駆者、福岡正信さんも同じである。ある意味徹底した自然農法は仙人化することでしか成立できない世界観なのかもしれない。

 「それでも地球は廻っている。」農業は妄想ではなく、科学的に思考して行かなければならない。周囲の慣行農法を上回る生産性がなければ、農法とは言うべきではないというのが、私の考え方である。その理由は素晴らしい農法であるなら、植物は満作になる。満作であれば化学肥料農法より、多収なはずである。

 満作の作物から得られる食べ物こそ、最高の食糧になる。秀明自然農法の作物は食べさせていただいたが、これほどおいしいお米や野菜は、食べたことがないと言えるものだった。しかし、収量は半分以下ではないかと思われる。清浄な土壌という考え方が、収量に影響していることは確かだろう。

 秀明自然農法は一つの宗教的真理の実践という事になるのだろう。その実践は宗教として評価されるべきだが、農業という事で考えない方がいいのかもしれない。どれほど社会と離れたものであるとしても、信仰に基づくものであれば、その宗教内においては評価されるべきものになる。
 自給農業は科学である。清浄な土壌という考え方は、科学的に考えてみた時どういう世界になるのか。農業では豊かな土壌という考え方が、一般的である。例えばMOA農法では家畜糞を不浄なものと考える。この世界に不浄なものなどあるはずがない。糞尿が不浄なものとするなら、その不浄なものは循環から外れてゆく。
 「汚いはきれい。綺麗は汚い。」である。糞尿や動物の死骸は命の循環の中にあるものだ。不浄なものであるはずがない。何万年糞尿や動物の遺体は循環の輪の中に組み込まれて、地球を作ってきた。それは植物界も、動物界も同じである。森の植物の循環だけが清浄な循環という訳ではない。

 科学的に正しい農法であれば、慣行農法よりも作物は満作になり、生産性が高くなる。しかも永続性がある。慣行農法には科学的な問題があるからだ。循環できない農業である。私としては、満作の作物で、未来永劫続けることのできる農法を見つけることに興味がある。のぼたん農園ではそういう農法を見つけてゆきたいと思っている。

 イネが満作であるなら、必ず周囲の慣行農法の農産物よりも生産性が高くなるはずである。先ずは作物が満作になっているかどうかを見なければならない。石垣島のイネであれば、品種にもよるが15枚葉が出て穂を出すかである。13枚で穂を出してしまうのは満作ではない。何か十分に生育できない要因がある。

 翌日は南澳の黄さんをお尋ねした。10haもの面積の畑で、大豆、イネ、蓮(実)、コヒーを栽培されている。台湾の自然農法農家の中で2番目に大きい農場だ。様々な方法で、人手を集めて農場を運営されている。大型機械で耕耘もされていて、その意味では徹底した秀明農法の再現という訳ではないのだろう。

 秀明自然農法の考え方を取り入れながら、農家経営として行うという姿を模索されている。この挑戦は厳しいものであるだろうが、農業として素晴らしい実践だと思う。広い農地で展開されているすごいエネルギーには全く驚かされた。大豆は本格的に取り組んではいるのだが、今の所充分には出来ていないように見えた。

 松本の自然農法研究センターの、多収の大豆の姿は何なのだろうと改めて思う。石綿薫さんが止められてから、連作は大豆に良くないと考えを変えられていた。確か連作することで良くなるというのが、秀明自然農法の考え方ではないか。確かに、農法に正しいはないとおもう。永続性があり、化学物質を使わず、満作の作物を作る。そして美しい農の世界。このための農法は一つではないのだろう。

 大仁農場も、松本の農場も、岡田茂吉氏の考え方を取り入れて、農業経営可能な農法という事になっている。このあたりで、MOAのなかでは岡田茂吉氏の考え方を徹底すべきだという、様々な流れが新しく出てくるのだろう。科学と宗教の少しの対立。

 真善美と言うが、真と美が対立している。この矛盾の中で、どのような自分の農業を作り上げるのか。それは、のぼたん農園の中でもあることだ。のぼたん農園は自給の農業である。自給という考え方の根本にあるものは、そこで採れた作物以外は食べないというような厳しいものだ。それを忘れると美しい農は生まれない。

 自らの農の理念を確立しないと、調和のある美しい農地にはならない。あらためて修学院離宮を思い出した。あの美しい棚田庭園造営の意味は深い。芸術的な表現なのだと思う。農本主義者としての天皇家の意味。思想としての農業の意味。農業を行い生きてゆくという思想。

 のぼたん農園は自給のを行うものの綜合される農場である。それぞれが自分の思想に基づき、農業を行う。それが水を通して一つのまとまりのある農園を作り出す。個が個として独立して、しかも周りの自給農との協働を行う。

 それぞれが独立して一家族の自給農が成立していて、しかも全体としては調和のとれた美しい農場になる。台湾の美しい農荘を見せてもらい、のぼたん農園の確立に向けて、取り組んでゆく方角が明確になった。

 私個人としては「ひこばえ農法」「アカウキクサ農法」の確立を目指し、満作の作物から食料を収穫する。参加者はそれぞれが自分の自給農を確立を目指して、努力することが素晴らしいのではないだろうか。永続性のある農法に限られることになる。

 以下参考の日程。
1月23日 石垣空港JAL  11時30分発
      那覇空港     12時30分着
      那覇空港peach13時45分発
      桃園空港     14時25分着
      淡水幸福農荘に宿泊 寒いという事で、ホテルに変更
      所在地: 251 台湾 New Taipei City, Tamsui District, 251 
1月24日 淡水昼頃出発 南澳5時頃着
      水田屋農家民宿 黄仕聴
      南澳村大通路158-1號
      03-998-2183 8863-998-2183
1月25日 11時1分南澳駅発  桃園空港発peach16時55分 
      成田着       22 時
      上野サウナ北欧泊 12時着
 

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