石垣島の稲作のこと2024
4番田んぼ
田植えがすべて終わった。日曜日には40人くらいの人が参加してくれたのではないだろうか。良い田植えになったと思う。気分爽快である。12月初めに種まきをして、1月初めに田植えをする。田植えをしている隣で、稲刈りもおこなう。石垣島は一年中稲づくりはできる。田んぼ好きには天国である。
まだ、石垣島の稲作の一番良い耕作方法はわかっていない。今年は石垣で田んぼを始めて4年目になる。試行錯誤しながら、これがいいだろうという方法を始めている。やろうとしている稲作は「自給の稲づくり」である。経営農業ではない。同じことであるようだが、農法としては全く違うものになる。
産業としての農業ということでは、経営が成り立たないものは、ダメな農業である。どんどん農家が減少してゆくのは当然の結果だろう。農業が成り立たない主たる原因は政府の農業政策が間違っているからだ。農業をやめたほうがいいものと考えている日本政府なのだ。農家の経営がだめというわけではない。
自給農業は自分が食べるお米を作る農業である。人間は生きる基本に食べるということがある。食べなければ死んでしまう命。自分が必要とする食料の生産を目指すことが、自給農業。おいしいお米を作りたいということもあれば、楽にお米を作りたいという人もいる。
ひこばえ農法を完成したい。あかうきくさ農法も完成したい。年3回の収穫で畝取りできることが目標。一回の収穫は少なくて良いので、出来れば無肥料。今年はまだ無肥料はできない。ひこばえが十分な穂を付けること。あかうきくさが良く再生すること。
自給農業は生きている一日を自覚するようなものだと考えている。人間は生きて死んでゆく。その生きるを充実させるために人間の原点である、自分が食べるものを作ってみる。だから、自分の手と足を使い、肉体で食料生産をしてみる体験が、人間の命を実感する一日になる。
そんなことはくだらないと思う人は、自給のための農業はやらないほうがいいだろう。農業が好きなら、これから成立するのは大規模企業経営の農業だろう。利益の出る農業はそこにあると思う。小さな農業は経営はできないのだからやりたくても無理だ。
自給中心に考えたほうが、充実した稲づくりができるはずだ。みんなと一緒に田植えをしたり、草取りをすること自体が楽しいから、自給農業を続けてきた。ということのようだ。同じ目的に向かい、協働するということが好きなのだろう。
そのために、合理的な石垣島の稲作方法を見つけたいと努力している。より楽しく出来る農業である。無理のない健康増進のための農業が良い。田んぼをやっているので、心身共に元気。楽しくやれる範囲でみんなで楽しむ。みんなで助け合えば、実現できるはずだ。
まず、一番寒い時期に苗づくりを行うことが良いと思われる。寒い時期がなくなってきているのが、石垣島である。この冬の私の家の日最低気温は13度台が2日。14度台が2日。あとは15度以上だった。これは、十分稲が育つ気温である。育つのであれば、早く田植えをしたほど、良い稲作になりそうだ。
12月初めに種まきがいい。苗代づくりは、田んぼの一角に作る。畔からは離れていたほうがネヅミにやられない。周りが水ならば、泳いでまでは食べに来ない。苗代の土は水を入れる前にできるだけ細かく耕す。たい肥を3回に分けて入れては耕した。良い苗づくりには十分の肥料分が必要。
苗代は1m幅の台にする。1畝の田んぼ当たり1mの長さが1本植の必要面積であまる。高さは水を上げれば水没し、下げれば現れる高さ。1㎡に100グラム~80グラムの種をまく。疎に蒔くほど良い苗になる。5週の育苗で5葉期2分げつを目指す。葉は健全な緑色で、葉先が枯れていない。5週ぐらいになると葉先が枯れることがある。
カモが食べに来るので、苗代はネットで覆わなければならない。場合によっては穴あきビニールでもいい。穴あきビニールは売られていないので、今年は2ミリのメッシュのネットで覆った。ネットで気温的には問題なかったが、日照を遮るところが少し気になった。
種をまいたならば、軽く苗代に押し付けて密着させる。ローラーがあればいいが、足で踏んでもいいが、体重はかけない。覆土はいらない。クン炭が在れば上からかける。この時苗代の台が水平になるようにする。凸凹があると水管理が難しくなる。種は4,5日浸種して芽が出たものをまく。
蒔くと4,5日で発芽する。1週1枚葉が出て、5週すると田植えが出来る苗になる。苗取りは3日前からは水没させると取りやすくなる。白い長い根が出ている。苗の根元を傷めないように特に根元を丁寧に扱う。根や葉は切れても影響がない。根は田植えの時に扱いやすいように、取り分ける。
田んぼの準備はともかく平らにならすこと。水口から、水尻に向かって、3㎝以下の差に収める。トンボを使い水尻から水口に向かいならしてゆく。大きく土を動かすためには水牛を使う。ぎりぎりに水をいれて、水面から出ている土を水没している場所に移動させてゆく。
田んぼには線引き機で線を引く。水は2日前に落としておかないと、石垣島の田んぼは水が引かないので線が引けない。40cm×30cmのますめにした。東西方向に40cmにして日照を取るようにした。40×40もある。30×30もある。今年は比較ができるところがいい。
田植えが終わったところで、すぐに水を入れる。そして米ぬかをまいた。米ぬかは微生物のえさになる。金魚屋さんの池の作り方がそうだった。ミジンコをわかす方法。水はできる限り深く溜める。草が出ないということもあるが、水が足りなくなることが心配だからだ。
田んぼの周りに、防風ネットを張る。風の強い、北東方向には2重ネットが必要。それでも一部が風にやられた。しかし、一部でも生きていれば、再生はしてくる。できるだけ早く、補植をする。苗が十分に活着したら、分げつ肥のたい肥を入れて、転がしをする。
苗が根付くと苗はすくっと立ち上がる。葉先につゆが光れば、根付いた証拠。今年は浮き苗が少ない。浮き苗がある不安で深植えになったかも知れない。まあ大丈夫だろう。土に粘りが出てきて、植えた苗がしっかりしたかも知れない。
コロガシをすることで、土壌に酸素を入れて、漉き込んだ腐食が腐敗ではなく、発酵に進むようにする。コロガシは石垣のような浸透性のない土壌では必要なことになる。コロガシをしながら、補植もする。まだ十分に土壌が出来ていないので、堆肥はすこしづつこまめに追肥として入れる。
1週前に植えた田んぼは補植も必要が無いし、倒れた苗を数本立ち直しただけだ。まだ苗は弱々しいが、中央の葉は伸び始めている。天水田なので、雨がないのでこの後水不足が心配だが、これは仕方がないことだ。最善を尽くし天命の雨を待つ。