陶器の展示棚を作った。

   







  陶器作品の展示棚を作った。何かの折に買った陶芸作品や、自分で作った作品を置いておく棚だ。実は小田原で作り始めていた。石垣に来る前に完成するつもりでいた。石垣の家の子の場所に置くことまで決めてあった。

 それが小田原で出来上がらないで、材料を石垣島に持って引っ越してきたものだ。なんと越してから2年してやっと出来上がった。やればそれほど時間がかかることでもなかったのだが、気持ちの方がそうならなかった。

 そこまで手が回らなかったと言うこともあるが、用意していた木にゆがみが出て来てしまった。製材所で弾きなおして貰わなければならなかった為である。その製材所が石垣島でやっと見つかったのだ。バンナ岳の麓にあるトマム木工というところである。こんなすばらしい製材所があるとはさすがに石垣島である。

 森林組合の木材展示場がバンナ公園にある。ここに木材を見に行き、製材所のことを教わった。石垣島の木材の展示があるが、それほど大きな木は無かった。ところがトマム木工にはもっと大きな木が置かれていた。たぶん製材の機械のレベルが違うのだと思う。

 トマム木工にある製材の機械は沖縄県で一番大きなものだそうだ。石垣島にはそれだけ大きな木があったと言うことだろう。たぶん西表島の材も切り出されてここまで運ばれていたのではないだろうか。西表島は林業が盛んで大木もあっただろう。

 私が行ったときには宮古島の方から頼まれて、手織りの機織り機を直していた。製材所と言ってもこうした細かな細工までやられる方である。大径木の製材は今は少ないのではないか。道具もいろいろあって、製材して貰った上に、かんな仕上げまでやってくれた。実にきれいな仕上がりであった。

 まさか製材所で4面プレーナー仕上げまでしてくれると言うところはまず無いだろう。仕上がってきた材料を見て、やる気が大いに盛り上がった。急に制作意欲が湧いてきて、一気に二つ家具を作った。書の机と陳列棚である。

 そこそこのものが出来た。一つは書の机を兼ねた格納箱。ここで字を書いたり、篆刻を彫ったりたりする机である。篆刻の良い石が300個もあるから、少し時間を見て彫りたいものだ。机が出来て準備したら急にこれもやる気が出てきた。

 こうしていつでもやりたくなったらやれるようにしておかないと、絵以外のことはやれるものではない。今も篆刻刀が見つからないで、やりたくてもやれない。たしか、超硬金のものがあるはずだ。まだ引っ越しの整理がつかない。

 


 上の段は私の作品で、下の段は購入したものだ。箱に入っているものは北出不二雄先生の作品。北出先生は私の卒業制作を担当して下さった金沢大学の先生である。その後金沢美術工芸大学の学長になられた。

 その棚によりかけてある段ボールのテストピースは、その授業の記念品である。みんなで作ったのだが、段ボールに張られた完成品までは自分ではやらなかった。それを見るとあの頃の陶芸の授業が懐かしい。

 その下の段は、タングドラムと、ミクロネシアの木琴が置いてある。楽器というものは、鳴らして楽しむものだが、見ていてももなかなか良いものだ。タングドラムもやっと収まって落ち着いて見える。

 材木は5センチある厚いケヤキは小田原の木工やさんの片付けて捨てられていた物をまとめ買いした。いろいろ作ったのだが、最後の残りである。輪切りにしたものだ。大きな木だったに違いない。何しろ木目がすごい。しかし木目を生かしたようなものは嫌いなので、荒い製材跡をわざと残してある。

 棚板は山桑である。これが随分ねじれてしまったのだ。切って30年も経ったものだ。御殿場のフクちゃんのアトリエの前に生えていた木だ。これが道路拡幅で切られることになった。可哀想と言うことで私がもらい受けた。

 その時は紅葉と言うことだった。山桑と紅葉をさすがに間違う人はいないだろう。葉っぱがまるで違う。もらいに行ったときは冬だったので私は葉は見ていない。山北の製材所にお願いして運んで製材して貰ったのだ。ところが家に来たものは山桑だったのだ。手品のようであった。

 今回これをねじれをとって貰い、かんな掛けまでしてくれた。とてもきれいな棚板になった。調度半分に切った。何とか作品陳列棚が完成した。家を作る前から、こうなるはずであった場所に収まった。今もアトリエの一角に収まっている。

 陶芸、篆刻、書、やろうと思えばいつでも出来る体制だけはできた。これは趣味の楽しみである。

 これは補足であるが、やっと倉庫の中が片付いたので、EBAYで一年分のファブリアーノクラシコ100枚である。9月17日の朝にアメリカのJerry Sartaramaに注文をした。それが9月29日に石垣島に到着した。12日間である。夢画材やヨドバシ.comに頼むよりも早く購入できた。しかも、半額である。

 - 暮らし