トランプの世界が来る

   



 共和党の大統領候補はトランプに決まった。アメリカの選択はひどいものだ。トランプはどう考えても犯罪者だろう。選挙で不正が行われたと、根拠無く支持者を煽るような人物である。それで何人もひとが死んだのだ。一方のバイデンが81歳というのも普通のことでは無い。人材がいないのか。

 それでも、トランプが登場したことにも歴史的な必然があるのだろう。トランプとは一言に言ってしまえば独善のことだ。すべてを自分に都合良いように考える在り方だ。アメリカ人が自分のことだけを考えている人だとは、昔から思っていたが、それの度が越したのがトランプ主義だ。

 アメリカが第2次世界大戦後世界のリーダーとして、共産圏に対抗する、自由主義陣営の長として振る舞ってきた。それが終わるというととだろう。アメリカは自分の都合で、勝手にリーダーを語ってきたが、その行為から自由主義陣営を外したのだ。

 本音が出た分まだ増しになったとも言えるが、あの選挙に負ければ不正があったと騒ぐ態度には、あきれ果てる。あんな人間を大統領に何故持ち上げるのか、不思議でならない。アメリカ人が劣化したのだ。誰だって自分は大事だが、それを抑えるのが社会人だ。

 と言いながらも翻って日本のことを考えれば、日本はそもそもトランプ主義のようなものだ。日本の都合ばかりで動いてきたわけだ。それを当然のことのように振る舞ってきた。日本が自由主義陣営のためにどれほどのことをしてきたのかと言えば、あまりにも小さい。

 日本は日本一国主義で精一杯やって来た。それも小さな力の無い国だから許されると、甘く自己判断をしてきた。しかし、小さくても、大きくても一国の権利と価値と義務は変らない。その国に応じた、国際貢献は当然必要なのだ。

 日本はその国際貢献に目をつぶって貰っている間に、高度成長をしてきたのだ。日本は日本の為だけに生き抜くことに精一杯だった。しかし、アメリカとは違って、自国に集中してきた分だけ、世界に大きな迷惑はかけないでくることが出来た。

 その意味では、多くの国が一国主義だったのだ。リーダーのつもりが無かったと言うことである。それがアメリカも小国の意識になったのだろう。いい加減にしてくれ、自分たちも一国主義で行かして貰うというのがトランプ主義なのだろう。

 しかし、世界中が一国主義で良いかと言えば、そういう訳にもいかない。世界は国単位で分かれてはいるが、地中の中に一緒に暮らしているのだ。気候変動などへの対応は、世界中が調整して、すこしづつ譲り合わなければ、折り合いが付かないことになる。

 当然自由主義陣営であろうが、共産圏であろうが、グローバルサウスであろうが、中国の一帯一路であろうが、地球の上に暮らしていると言うことは同じことである。グループ内の利害や負担の調整もある。益して他のグループに対して、どのように利害を調整するのかは一国主義では済まない調整が必要になる。

 自由主義陣営に日本も所属していると言うことであれば、例えばウクライナへのロシアの軍事侵攻にどのように負担をして行くかは、調整されなくては成らないだろう。日本がどの程度、どういう方面で負担をするかは問われている。ウクライナ難民の受け入れなど、日本がどれほど出来るかである。

 ウクライナの難民数は807万にとある。これをどこの国がどう負担するのか。日本に来ているウクライナの人は、2291人だという。あまりに少ない数で驚く。日本の負担は0.02%にすぎない。アメリカには27万人だという。3.3%になる。

 同じ遠いい国でもアメリカは日本の100倍も受け入れている。こういうことで良いのか。日本は慟哭最高検をするのかを考える必要がある。韓国ではウクライナから3000人が来ている。日本より数が多い原因は極東ロシアに暮らしていた朝鮮人が、ウクライナへ強制移住させられたのだ。

 ロシアというのは本当に残忍な国で、朝鮮国境付近に暮らしていた朝鮮民族を、ウクライナまで強制移住させたのだ。国境問題や民族問題が起きないように、社会主義政権が国民の人権など全く無視してきた。このひどいロシアという国家がウクライナ侵攻をしているのだ。

 ロシアから韓国への亡命を希望している人が2023年には5000人を超えたという。ロシアと言う国のひどさをロシアにいる朝鮮系の人達は痛感しているのだ。差別の中で暮らしてきたのだ。そして今ではウクライナ戦争に従軍しなければならない。誰だって亡命したくなるだろう。

 ロシアには日本人に対するひどい仕打ちもある。シベリア抑留である。何と58万人がロシアに抑留されたのだ。内1割に当たる5万8千人が死亡した。ろくに食事も貰えず、シベリア開発のために、強制労働を何年もさせられたのだ。それをロシアは戦争賠償だとしている。日本軍人に限らず民間人も抑留され、強制労働をさせられた。

 直接、シベリア抑留をされた人を3人知っている。3人から抑留体験をなんどか聞かせて貰った。父の親友の榎波さんという方は鹿島建設の方で、東急本社ビルや、東横デパートの建設の現場監督だった。良く家に遊びに来た
ので、シベリアの話を時々してくれた。その地獄のような状況は信じがたいものだった。

 それでも救われたのは、シベリアにくらすロシア人の親切だったと話してくれた。シベリアのロシア人は日本人抑留者よりも、さらに貧しい暮らしをしていたという。多分シベリアに強制移住させられ、シベリア開発に充てられていた人達だったのだろう。だから抑留者に同情をしてくれたのだろう。

 自由主義陣営はそれぞれがやれることの役割を果たさなければならない。日本は軍事的な協力はするべきでは無いが、平和的な手段で何が出来るのかを考える必要がある。日本の役割は何か考える必要がある。そうでなければロシアという国の、とんでもない覇権主義をまた許すことになる。

 トランプ主義が実は世界の当たり前なのだ。日本も少しも変らない。日本人はあれほどひどくないと思っているかも分からないが、大きな違いは無い。よその国からみる眼で日本を見ればそう見えるのだ。その前提でどうすれば世界に評価される日本になれるのかを考える必要がある。

 先ずは難民受け入れをもう少し積極的に行うべきでは無いだろうか。そして、難民支援への協力体制を国民運動として行う必要があるだろう。国境のなき医師団に寄付するのも良いかも知れない。

 - Peace Cafe