少数与党で議会制民主主議が試される

   



 自公連立内閣が少数与党として選ばれた。自民党が法案も予算案も野党の了解無しには進められないことになった。その結果、この変則的な政治状況で初めて、民主主義的議会が出現出来るのかどうかが、試されることになった。国民に説明無しには何も決められない政治になるのかも知れない。

 手間暇かかるだろうが、参議院選挙まで10ヶ月である。この10ヶ月は日本の民主主議の実験の場になっている。自民党は維新の会とは、政策協定を作りながら、結局その協定を実行しなかった。その為に今回は政策の近い国民民主党と部分連合を作ることにした。

 政策ごとに連合する。先ずは手取りを増やすという、国民民主というの選挙で主張した政策を受け入れるので、総理大臣指名選挙では無効票を投ずるように依頼し、自民党は少数与党を成立させた。世界情勢を考えると、手間暇をかける時間も余りないのだが、野党の能力が問われることになった。

 これからどのような話し合いで、手取りを増やすために178万円の課税最低限度の引き上げを行うかである。重要なことはこれから年末までの短い期間が、この課税最低限度額のために働けない人が仕事を休む時期だと言うことだ。今やらなければ、来年になってからではその効果はかなり減じてしまう。

 政府が課税最低限度の引き上げをやると、まず宣言することが重要になるだろう。細部や実際の制度を詰める前に、方向だけ決めて確約すれば、仕事を休まないで住む人が現われる。あと一ヶ月半の期間に103万円の課税最低限度に達した人が働けるかどうかが問題なのだ。

 しかし、そんなに上手く事が進むのかどうか。かなり難しいことになるはずだ。自民党の得意技はやるやるといいながら時間を稼ぐことだ。先ずは石破氏は口約束で総理大臣にはなった。果たしてまともな政治改革を行えるだろうか。自民党には協定書だって反故にする、前例がついこの前あった。

 石破氏が、決断して国民に宣言できるかどうかだろう。宣言して裏切れば、参議院選挙で自民党は終わりになる。国民民主党によると、まず充当しなければならないお金については、手取り増で消費を浮揚し税収増を図ることからだとしている。

 当然それでも足りないわけだが、それは政府が考え野党に示せと主張している。この政府に対する迫り方が、国民民主党の逃げだと見るか、そうあるべきものとみるかは、結果次第である。実際に景気が浮揚すれば、話は確かに違ってくるが、そんなに上手くゆくかかどうか。

 実際に収入が増えたからと言って消費に回る分はその一部に過ぎない可能性が高い。この先日本経済の不安な大きいからだ。トランプになり、円安が進む。輸入品の物価はさらに上がり、実質賃金が目減りすることが予測される。

 これからもっと問題になる対立案件が登場する。対立案件に於いて、どのような話し合いが出来るかである。国民の前で堂々と議論して貰いたいものだ。特に自民党の保守派が譲らないはずの案件について、どう対応するかである。

 状況に応じた民主的な話し合いは、場面場面で丁寧な話し合いが必要になる。石垣島の敵基地先制攻撃ミサイル基地は、少しは話し合うことになるだろうか。国会でその是非を話し合って欲しい。今までは自民党が決めて、公明党が少しブツブツ言って終わり。野党がどれほど反対しても、相手にもしないことが続いた。

 たぶん国民民主党も維新の党も国防については、自民党案に賛成なのではないだろうか。そういうことがはっきりすることが重要だと思われる。野党にも大きな違いがあり、自民党と同類もある。むしろ自民党よりも、軍備力強化派の保守的な政党もある。

 それぞれの野党が、何を賛成して、何を反対するのか。しっかり議論を戦わす政党はどこなのか。国会での議論で各政党の能力が見えてくるはずだ。自民党には答弁する能力が足りないことは分っている。官僚が作文するのだろうが、これから官僚がどんな作文をするか注目だ。

 民主主議を忘れた地獄のアベ政治が続いたのだ。安倍の国会での約束が、公文書の書き換えまで起したのだ。統一教会問題でも、結局はうやむやのままで終わっている。何故統一教会の宗教法人資格を問う場面で、その政府の責任者である、文科大臣が統一教会支持者で良いのか。とうてい分からない。

 アベ氏は統一教会の宣伝マンだったのだ。国葬になった日本の政治家が、反日勢力のえせ宗教を宣伝をしていた事実を、一体日本人はどう考えれば良いのか。私には到底許せない。と言って暗殺はいけないが、そういうことが起きても不思議でないほど、アベ政権は暗黒政治を続けたのだ。

 官僚は政府に従うものは優遇され、政府に意見のあるものは冷遇されたのだ。「籠池泰典氏による安倍晋三記念小学院の設置趣意書だったからこそ、忖度がなされ、特例措置が講じられることになった。払い下げを格安で受けた。アベ関与を示す公文書がおかしいとなると、公文書の書き換えを高級官僚が指示し、国会で偽称証言をした。その人は栄転をした。安倍夫人付きの優遇を図った人は、海外に転勤になった。

 日本学術会議の人事まで口を
出す。自由と自立をもっと重んじなければならない学問の世界の会員推薦まで、口を出すのを当たり前にしたのが、アベ長期政権だったのだ。過去最低の政治を続けた。そして最後にバレたのが、裏金キックバック方式だったのだ。

 民主主議にはお金がかかると麻生副総理は発言した。問題はどんな民主主議にどんなお金がかかるのかだ。配下を集めて宴会をしなければならない民主主議だとすれば、自腹でやるべきだろう。政治家以外はみんな宴会は自腹で行っている。

 国会で話をまとめるために、裏で国民民主党と話し合いをするというようなやり方だけは止めて欲しい。堂々と国民の前で議論をして貰いたい。その上で決めたことは受け入れたいと思う。変な妥協になり不満のあることは多いのだろうが、民主主議で進められた法の支配である。

 初めて日本の民主主議が試されるのかも知れない。この天の差配のような状況を生かしてもらいたい。少なくとも参議院選挙までの10ヶ月試行錯誤してもらいたい。その成り行き具合によって、参議院選挙で国民が審判を下すことになる。

 本当の議員の実力が見えてくるはずだ。野党も与党もダメなのか。ダメなのは与党だけなのか。是非とも国会で時間をかけた議論を展開して貰いたいものだ。お金がかかる民主主議とはどんな民主主議なのか。是非とも自民党に示して貰いたいものだ。

 食糧自給についても何故実現できないのか。本当はヤル気がないのではないのか。スマート農業と政府は主張しているが、どんなスマート農業なのか表明して貰いたい。学校給食の無償化と米飯給食の推進。有機農産物の導入を国が決めて進めてもらいたい。
 今回こそ国会で議論をして貰いたい。国会は休会などせず、徹底して時間をかけて議論を重ねて貰いたい。その議論も揚げ足取りなどではなく、本質論に迫るものであって貰いたい。今から議員のレベルが心配になるが、与党も野党も大丈夫だろうか。

 - Peace Cafe