イスラエル大使を招待しなかったことは正しい。
長崎県長崎市に原爆が投下されて79年目となる8月9日、長崎で平和祈念式典が行われた。 長崎市が原爆慰霊祭にイスラエルの大使の招待をしなかった。そのことを理由にアメリカやイギリスを含む複数の西側諸国の大使らは、出席を見送った。
イスラエルのガザでやっていることは殺戮である。確かに発端を作ったのはハマスの音楽イベント会場へのテロ攻撃である。ハマスのテロが許されては成らないと思う。しかし、イスラエルのパレスチナへの攻撃は報復の限度を超えている。この行為にたいして、長崎市が意思表示をしたことは正しい判断である。
しかし、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、EUの大使が7月中旬に長崎市に書簡を送り、イスラエルが式典から除外された場合、「ハイレベルの参加者を派遣することが難しくなる」と伝えていたことが、7日までに明らかになっていた。
欧米の大使が相談した結果行ったことだろう。これは外交と言うより恫喝である。長崎市が欧米諸国からの恫喝に対して、毅然とした態度を取ったことは正しいことだ。広島、長崎の原爆投下は、ジェノサイトである。戦争では何をやっても良いというわけではない。
林芳正官房長官はこの件について、式典に誰を招待するかは長崎市が判断するものであり、「政府としてコメントする立場にない」と述べた。上川陽子外相も、「式典は長崎市主催の行事」だと強調し、「政府としてコメントする立場にはない」と述べている。
要するに判断をしないと言うことは、日本政府には自らイスラエルの行為に対して、意思表示をすることが出来ないと言う事だろう。何と情けないことであろうか。平和憲法を持つ日本は、ロシアのウクライナに対する侵略や、イスラエルの限度を超えたハマス攻撃に対して、平和的努力をしなければならない。
ところが、日本政府にはそうした平和的努力を、長年怠ってきた。そのために意思表明する力すら無い。ただ欧米諸国の顔色を見て、従うだけの国になっている。日本の侵略戦争にたいして、きちっとした反省を攻撃的武力を持たないと言うことで、平和国家である事を示さなければならない。
本来であれば、沖縄県は長崎市と同様の行動を取るべきであろう。アメリカ軍が沖縄でやったことは、連合国の戦争と言うことであるが、住民の4分の1を殺してしまうというほどの、殺戮を行ったのである。このやり方は正義の戦争ではない。
確かに日本の侵略戦争が悪い。すべての日本人がその反省をしなければならないが、だからといってアメリカが沖縄でやったこと、そしてその後の占領政策、今に続く米軍の沖縄支配。政府は意思表示をする必要がある。沖縄県も意思表示をしなければならない。
日本政府はアメリカ従属を続けている。そのために沖縄をアメリカに売り渡している。沖縄で性的暴行事件が続いているのに、沖縄県にも連絡すら行わず、それが日米関係から言って、正しい判断だったとしている。これは明らかに沖縄県民の安全に暮らす権利を踏みにじっている。
そこまでしてアメリカに従属するには3つある。1,国の安全保障に関して、独自の準備が出来ていない。あるいは考えがない。2,自民党がアメリカに飼い慣らされた集団と言うことだ。飼い主がアメリカという家畜だ。3,企業の利益を優先するには、アメリカに従うことが必要なのだ。
アメリカに依存しながら、戦後の日本の復興を成し遂げた結果、日本国は独立国家としての誇りを持てなくなってしまったのだ。右翼の赤尾敏ですらアメリカを悪くは言えなかった。資金が出ていた可能性がある。反共を表明する統一教会と、アベ政権があそこまで密着していたのもその結果である。
「核兵器による傘」の問題が基本条件にある。アメリカは日本が核兵器で攻撃されたとき、攻撃した国を核攻撃するという約束である。その変わり日本は核兵器を持たないと言うことになっている。これが日本の安全保障の基本条件とみられているのだ。果たして何時までもそう考えていて良いののだろうか。
だから日本政府は意思表示すら出来ない、主体性のない国になっているのだ。アメリカが原爆を投下したことは、悪い事である。イスラエルが今やっていることも、悪い事である。原因がハマスにあり、日本にあるとしても、何をやっても良いわけではない。
イスラエルはイランの国内で、ハマスの代表をテロ攻撃して殺した。これもまた限度を超えた、イランの国権を侵害する行為だ。イラン政府は必ず報復をすると宣言をしている。核兵器はイスラエルも保持している。イランも保持している可能性がある。核戦争になる可能性もある。
世界が核戦争をはじめるような兆候が見えてきている。これに対して日本政府は政界平和の構想を示さなければならない。世界は核廃絶に向かわなければ、いつか核戦争になる。そうなれば、核を持たない国はただ攻撃されることになる。
アメリカが自国が核攻撃をされる可能性がある中、日本への核攻撃にたしいて、報復の核攻撃をするとは思えないのだ。アメリカ政府も明確な意思表示はしていない。漠然と同盟国を守ると言っているだけだ。こんな安全保障はない。
日本は世界の核兵器を持たない国にたいして、核のない平和連合をとして、核兵器の世界安全保障の枠組みを作ることを呼びかけるべきだ。ただ、アメリカの核の傘では、トランプであれば自分が濡れる可能性があれば、傘など差し出さない。
日本は核兵器を持たない国に対して、核攻撃を行えば、世界中の核保有国がその国に対して、核攻撃を行うという核抑止力の国際条約を作ることを表明し、努力することだ。もし、その約束をしないのであれば、核を持たない国が無くなると言うことを世界に示さなければならない。
岸田内閣の姿勢は過去の日本政府にはないほど、武装化に前のめりだ。それは岸田氏がそういう思想の持ち主であるというよりも、あまりに政権の基盤が弱いために、党内の国防族を支持に付けようという姑息な手段なのだ。思想など全くない政権なのだ。
アメリカ隷属だけの自民党内閣が続くことは、トランプの時代になれば悲惨なことになる。日本はアメリカから独立する覚悟が必要なときが来るのだ。アメリカが一国主義に傾いて行き、東アジアを防衛の捨て駒とだけ考えるときが近づいている。
日本は独立国家なのだ。アメリカを抜きに国の安全保障を考えなければ成ら無いのは当たり前の事だ。恐ろしくて独立できなかった日本が、アメリカの横暴が限度を過ぎてきた以上。日本独自の世界平和戦略を持たなければならない。
それは核を持たない弱い国連合である。平和主義国家連合である。世界は核を持たないまともな国の方が多い。このままでは、核を持たない国が圧力を受ける時代に入る。その前に核を持たない国が守られる方法法を提案して行かなければならない。