汚染水海洋投棄で中国が怒りだした。

   



 中国からの東電に抗議の電話が6000件あったそうだ。何故中国がここまで怒りにかられたのだろうか。中国政府としては反日爆発は願っていることだろう。しかし、何故こんなにも単純に怒りだしたのだろうか。それほど中国の人は単純なはずが無い。なにか背景がある。

 日本人学校に投石というところまで起きたのではただ事でない。中国政府事態が汚染水海洋投棄をきっかけに、何故日本との対立を深めようとしているかの理由が重要だろう。中国政府には困ったことが起きているのだ。それはやはり不動産バブルの崩壊が、中国経済の転換をしなければならない事態なのだ。

 中国国内で方向の転換が起きようとしている。その小さな材料の一つに汚染水の海洋投棄が成ったのではないだろうか。中国の経済活動は中国政府が動かしている。不動産バブルを煽って、どんどん巨大マンション群を建設させ続けたのも政府である。国民がまだまだ購入するとみていたのだろう。

 ところが、国民が買わなくなってきた。これは建設ラッシュで経済を動かしてきた中国としては、予想外なことかもしれない。経済成長が大きな時はあらゆる分野が自転車操業である。建設をし続ける仕事を作らなければならない。泊まった住宅建設をどう納めるのだろうか。

 アメリカは中国に経済戦争を仕掛けている。中国が公正な取引をしないとして、様々な圧力をかけている。バイデン大統領が、半導体と量子技術、そしてAIの3つの分野について中国への投資を規制する権限を財務長官に与える大統領令に署名した 。

 アメリカから中国は先端技術を盗んでいるとして、様々な貿易規制をかけている。日本も同調させられている。ところが、米中の貿易は拡大を続けて、米中の貿易額は、基本的に増加傾向にある。2000年に1,163億ドルだった貿易総額は、2022年には過去最高の6,906億ドルに達した。 何やら疑問がある。

 情報通信技術は、サプライチェーン上のリスクや脅威を評価する対象に指定され中国企業であるファーウェイなど、が製造する通信機器などの政府調達を2019年8月から禁止した。 中国の急激な経済成長をアメリカや日本からの情報流出にあると考えているのだろう。確かにその可能性は高い。

 アメリカは国の安全保障上の観点から中国からの輸入制限を加えているもの以外でも、50%以上を中国からの輸入に依存している製品が500以上あり、ウイグルの強制労働などを理由に、輸入制限を加えているものもある。中国側にしても、アメリカへの輸出が経済を動かしている主要な要素であるから、重要鉱物などでの強い規制には限界がある。

 こうした中国と自由主義圏との経済戦争が緊迫を高める中で、中国政府は国民の意識を経済不安から、目をそらす必要があるのだろう。自由主義経済と違い、中国経済は一辺倒になり、綱渡り的である。政策に柔軟性がないと言うことがある。政府としてみれば、不動産バブル崩壊から意識を変え次に移行したいと言うことがある。

 SNSの映像などが、日本への抗議活動への拡大に繋がっているらしいが、中国政府がそうしたSNSを消さないだけでも不自然である。むしろ、政府が仕掛けていると考えた方が自然なのだろう。ただし、中国人の大半は福島原発汚染水海洋投棄などに無関心なはずだ。

 汚染水問題は長期化せず収まると考えて良いだろう。しかし、中国政府が日本に対してかなり強い反発の気持ちを思っているという点では、注意する必要があるのだろう。やはり、台湾における「戦う覚悟がある。」と言う麻生発言は最低の物だったのだ。

 岸田政権は中国政府がどういう反撃を見せるかを理解していたのだろうか。もしまともな外交感覚があるのであれば、汚染水投機の直前に「戦う覚悟」はないだろう。中国はどう戦うのか、見せてくれと返してきているのだ。戦争は経済で始まっているのだ。

 日本政府には覚悟だけで戦う準備など無いのだ。これでは覚悟の方もないと考えなければ成らない。麻生氏に覚悟があるのならば、汚染水対応でその覚悟の腹の内を見せて欲しい。水産物の中国輸入規制はかなりの打撃になる。その補償を政府と東電は風評被害補償として行うのだろうか。これは風評ではなく、麻生被害だ。

 それにしても中国人の怒りが余りに単純なことにはびっくりした。中国人はもう少し複雑な人達かと思った。これでは歴史ある大国の国民とは見えない。中国では、知識だけの詰め込み教育が激化したあまり、人間力の劣化が始まっているのだろうか。確かにそのきらいが見え隠れする。
 
 政府の先導にこれほど乗りやすいとは驚きである。もしこれが意図的な演技ではないとすれば、中国の一辺倒な在り方が、人間を単純化している可能性もある。そんな中国人の訳がないと思うが、もし押せばキュート泣く人形化したのであれば、中国の未来も危ういと考え直さなければならない。

 本当に大国であり、自信がある国家、国民であれば、放射線廃棄物の問題は総合的に判断できるはずである。中国の原爆実験が残した放射能汚染物質は黄砂とともに中国全土にまき散らされている。中国の原発の出す汚染物質の管理には不安を持つ人が居るのが普通だ。もしそれがSNSに出ればたちどころに消されるだろう。


 日本は米中経済戦争に巻き込まれているのだ。その認識を強く持たなければならない。それこそ覚悟が必要である。一番は食料である。飢餓になれば、放射能汚染の食べ物だって食べなければならないはずだ。飲む水がなければ、汚染水だって飲む。1年後よりも今の今と言うことになる。食料は安全保障の根本だ。

 まず、国が覚悟を決めると言うことは、食糧の国内確保をすると言うことだろう。覚悟などないから、自給率が39%の国から抜け出せないのだ。外国はすべて優しい国なので、日本の飢餓を見捨てないとでも思っているのだろうか。中国の方が経済力が上になるという事は、中国に食料を買い占められるのだ。

 中国人の怒りは演出だと考えて良い。日本政府の態度次第で、忽ちに収まるだろう。私は中国人を相当にしたたかな、有能な人達だとみている。経済戦争はこれから本格化する。今回の事でも日本政府にはその覚悟が丸でないのがよく分かった。能天気なのは日本の劣化なのか、本質なのか。

 

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