習近平とは何者か。

   



 習近平は中国の絶対的指導者である。毛沢東に匹敵する権力者になったと言われている。毛沢東は共産革命を成し遂げた人だから、ある意味絶対権力者になるのも当然のことかもしれない。カストロや、レーニンである。その毛沢東も失脚した時代があるのが、中国という国である。

 習近平がどのような人間であり、どんな状態にいるかが、日本にとってとても重要なことになっている。ロシアの独裁者プーチンが突然ウクライナに軍事侵攻をした。プーチンはガンで末期的な病状だとか、精神的な異常をきたしているとか、個人の身体の状態が取りざたされるのも、独裁者は何をやらかすかわからないからだ。

 中国人は権力争いが大好きな民族である。中国3000年の歴史が権力争いそのものである。常に権力の抗争と言ってもいい。まるで山口組が国家単位になったような様相だ。その中で何故習近平が絶対的権力者になれたのかと言えば、それは経済的成功である。世界一の経済大国を手にしようとしている。

 経済が成功をしている。このことが、中国が独裁者を受け入れている原因だろう。経済が上手くゆかなくなったときに、何か危ういことが起き始めるのだろう。中国をここまで経済成長させたことは、習近平の能力が優れていたからだろう。

 中国という巨大国家資本主義国を作り上げた。問題は当然山積みなのだろうが、それでもここまで国全体をまとめ上げて、経済成長をするとは誰も想像できなかったのではないだろうか。中国人は一筋縄ではいかない。それぞれが自分勝手である。それを私権を抑えて、経済成長に向かわせている。

 それを統率する習近平氏が強権的になるのは、ある意味当然なのだろう。そうでなければ、ここまでの経済成長はなかっただろう。軍事力も急成長させている。この軍事力が覇権主義と言われる理由なのだろうが、外に向けてよりも国内に向けて、軍事力を強化しているという側面も強いはずだ。

 何時国内で反政府運動が起こるか、いつも情報収集をしているのだろう。国民の統率を図ることが、今の習近平の一番の仕事だ。統率が取れているから、国家資本主義が上手く機能している。中国には富裕層という物がある。共産主義のはずが、富裕層が生まれた。

 この辺りの経済構造が良く理解できないのだが、黒い頭の猫も、白い頭の猫も、ネズミをとる猫が良い猫だ。富裕層が経済のために必要だったのだろう。農家でも巨大農家が生まれて、ひたすら拡大し富裕層農家を目指して働く。この原動力が再生産されている。

 教育に関しても、よく学び、一旗揚げようというのか、勉強に頑張っている。たぶん教育のレベルも、これほど急速に向上した国は無いのではないだろうか。ものまねばかりいわれていた中国だが、真似る時代を超えて、自分で作り出している。

 日本だって似たような経過を経て、今の停滞まで来たわけだ。中国が何時破綻するかばかり、言いつのっていた自民党議員は多いが、そんな馬鹿な予測をしている内に、追い抜かれ忽ち置いて行かれたのが現状だ。私は20数年前中国に何度か行ったときに、必ずこうなると確信した。

 中国人はよく働くし、優秀である。その思いが国家全体で統一されているのだから、必ず急成長して行く。ただし、まさか習近平のような独裁者が登場するとは思わなかった。鄧小平の提唱した改革開放政策が今後も続くだろうと思っていた。

 一番の困難は汚職体質だろうと思っていた。自分さえ良ければと言う本音と、共産主義と言う建前が、どこかで限界に達するのではないかと思えた。ところが中国はどうやったのかは分からないが、個人主義を巧みに操作して、富裕層を許しながら、個人の競争心をかき立てて、国全体の成長を計った。

 それは巧みに運営されたのだと思う。習近平は汚職撲滅を何度も提唱した。そして、汚職の名目で自分の競争相手を次々に失脚させていった。そして自分との関わりのある人間を登用した。そして、ここに至り完全な独裁政治に入った。

 習近平は独裁国家を上手く運営して行くだろうか。独裁者習近平もプーチンのようにおかしくならないかが世界の一番の関心事だろう。習近平氏の周囲にも習近平氏に直言できる人はいないはずだ。気に入るような甘言ばかり聞かされている可能性が高い。

 習近平とプーチン会談を見ると、習近平はまだおかしくはなっていない。プーチンによると、ウクライナ侵攻の原因はアメリカにあると主張している。戦争を仕掛けて何を言っているのかと思う。ウクライナの泥沼戦争に引っ張り込んだのはアメリカだ。こんな泣き言を今になって言い出すのはまともではない。

 習近平はプーチンと距離を置いた。経済制裁下のロシアの産品は、買いたたけて利益になるので、ものは買わせてもらう。しかし、武器の援助はしない。武器の援助をしても、中国の利益は無いと言うことだろう。中国はロシアよりもウクライナを重視している。

 以前からウクライナと中国は経済関係が強い。一体一路はウクライナまで続いている。中国にしてみると、アメリカのウクライナへの介入が一番腹立たしいことだったはずだ。中国は食糧確保のために、ウクラ
イナとの関係を強めていたはずだ。

 習近平はまだまともだと思う。台湾侵攻は習近平がおかしくならない限り行わない。中国国内に問題が起きて、台湾侵攻という形で、締め付けないとならないときがきたら、無謀な軍事侵攻も無いとは言えないが。当面経済が成長を続けている。

 中国はさらに経済成長を続けることで、台湾も自ら中国に近づいてくると考えているはずだ。先ずは世界1の経済大国を目指すつもりにちがいない。その可能性がある今、台湾侵攻をして、世界から制裁を受けるような愚かな選択をするはずがない。

 日本も中国が世界の経済の中心になるということを、きちっと認識して国の方角を決めるべきだ。アメリカ一辺倒ではこの先おかしなことになる。仮想敵国中国がいかに馬鹿げたことになるか、考えておくべきだろう。今のところ習近平は大丈夫だ。

 中国はアメリカが影響力を低下させた中東で、中東の2つの大国イランとサウジアラビアの関係修復を推進した。「米国抜き」で進んだサウジアラビアとイランの関係正常化は中東での米国の影響力低下という現実を突きつけたことになる。

 国際社会で台頭する中国が現実化している。中国が主導した合意に米国は不満と焦りがある。サウジとイランの両外相は6日、中国の首都・北京で会談した。2016年に断交していた両国は経済関係の強化を中国が取り持った形だ。中国の世界での影響力は確実に高まっている。

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