習近平プーチン会談の結果

   



 習近平プーチン会談では期待した平和への道は開けなかったのだろうか。習近平が話し合いに基づき、ゼレンスキー氏と電話会談をすると言うから、まだ和平の可能性がなくなったわけではない。ただはっきりしたことは、習近平氏がロシアに表立って軍事援助はしないということだ。

 これにはプーチンはがっかりしたことだろう。4時間半も話し合ったというから、この点で深刻に話し合いが行われたことは確かだ。直接の軍事援助をしない代わりに、プーチンの要求をのんだ可能性がある。たぶん経済に関することではないか。

 会談後の記者会見の映像では両者の顔に疲労が見える。特にプーチンはひどかった。何しろ記者会見で話しまくっていた。がっかりした姿を見せないために、多弁になっているように感じた。かなり追い込まれている感じを受けた。一番期待していた軍事援助がだめになったからだろう。

 習近平は人間力でプーチンを凌駕しているのかもしれない。その点、いいようにあしらわれていた、安倍晋三氏とは大違いである。盟友だとかいいながら、一切何も譲歩せず日本から得るものだけは得たのが、ロシアだ。ロシアに対して日本は弱腰過ぎる。

 北方4島を返してもらいたいがために、堂々としていない。何かおべっかを使っている。ロシアと交渉するなら、まずシベリア抑留を抗議しなければならない。あれはひどすぎる。シベリアで死んだ日本兵は浮かばれない。私はシベリアに抑留された人4人も親しい人にいる。

 何度も、シベリアでの話を聞かせていただいた。ロシアのやったひどい国際法違反だ。そうしたことにきちっと抗議を出来ない日本だ。北方4島を返して欲しいがために、謝罪の要求すら出来ない。領土など小さな問題だ。どうせ過疎になり消滅するのだ。

 習近平は余裕があり尊大である。ロシアが自分に従うなら、悪いようにはしない。と言うことだろう。ロシアを属国化したという報道があったが、確かにロシアは武力だけの資源大国だ。武器を中国が援助してくれないという結果でも、文句も言えない宗主国に見える。

 ロシア経済がなんとか維持されているのは、中国が資源を買ってくれるからだ。中国を怒らせて、それなら資源輸入をしないとなれば、ロシア経済は行き詰まるだろう。中国にしてみれば、ロシアの殺生権を握っているということになる。独裁者プーチンにしてみれば耐えがたい状況だろう。

 こういう関係を背景に、中国が狙うのは世界での中国の評価である。中国は覇権主義ではないと見せたいところだろう。それはひつこく日米でやっている、中国に対する覇権主義国というレッテルを貼りである。中国を世界の仮想敵国化しようという思惑を、払拭することが出来る。

 日本では中国が覇権主義で恐ろしい。こうした恐怖感を高めて、世論を操作して行く政治が行われている。「恐怖をあおる政治」が目立っている。戦後の歴史が積みあげてきた「非核化」や「脱原発」の歩みが、逆行を始めている。 日本の核保有さえ主張されている。

 防衛力の強化、原発の再活用当たり前のように議論されている。背景にあるものはロシアのウクライナ侵攻、あるいは中国の台湾侵攻に伴う「恐怖」が巧みに利用され、現実への対処が南西諸島の軍事基地の必要性がすでに当たり前のことになりつつある。

 習近平に手柄を立てさせないために、岸田氏は習近平プーチン会談に会わせて、ウクライナ訪問をしたのだろう。応援をするから、何とか戦争を続けてくれと、必勝しゃもじをお土産に訪問したのだ。それはアメリカの使い走りとして当然の行いである。

 アメリカが願っているのは戦争継続である。中国が願っているのは和平である。この見方は正しいと思う。ゼレンスキー氏がウクライナの未来を思うのであれば、ここは和平を選択すべきだ。ウクライナと中国は関係が悪いわけでは無い。中国を仲介の国家に選ぶ方が良い。

 中国にロシアのウクライナ支配の野望を止めさせれば言い。中国がロシアがもしウクライナに対して再度軍事侵攻したら、今度は中国もロシアを突き放すと仲介国としての権限で約束をすれば、さすがのプーチンも再度の軍人侵攻は出来ないだろう。

 確かにウクライナは今度の軍事侵攻でひどい破壊をされた。領土をロシアに勝手に独立国にされてしまった。この点では耐えがたいことだろうが、これ以上戦争を続けても、ロシアに勝つことは出来ない。譲りがたいことでも、ゆずるいがいにない。

 ここでウクライナが停戦ラインを国境として譲ることが出来るかどうかである。戦争が終結すれば、世界はウクライナ復興に支援するだろう。そして国力が回復すれば、領土など小さなことになる。大切なことは国民であり、国土など二の次だ。

 今回ロシアに編入されてしまった地域から、ウクライナに移住したい人達をウクライナに受け入れればいい。せめてそれくらいは停戦の条件にしなければならない。子供まで強制連行するロシアだから、受け入れるかどうかは疑問だが、今回の紛争地域に暮らす人達の自由な意志で国を選んでもらえばいい。

 領土にこだわることでは、戦争が続くばかりだ。日本も同じことだ。尖閣諸島にこだわり続ければ、日本人の命を失うことになる。譲ることは譲り、国際的な判断に委ねることが一番である。政治家は選挙が怖いから、領土はいらないなど言えないだけだ。

 確かに習近平に期待したいのだが、ゼレンスキーにはアメリカの圧力がかかっているのだろう。アメリカのやることは南ベトナムも、アフガニスタンもひどい戦争を続けて、多くの人が死んでいったのだ。その結果何か成果があったかと言えば、疲弊だけが残った。

 ウクライナも結局戦争が長引くだけになる。ロシアに勝利することはない。ロシアはやはり巨大な軍事大国である。ウクライナは持ち堪えるかも知れないが、多くの人が死んで行くことになる。今選択できることは停戦しかない。悔しいことだろうが、耐え難きを耐えて停戦をするべきだ。

 停戦をすれば、世界はさらにロシアのやった国際法違反を問い続けるはずだ。プーチンが消えるまでそれは続くはずだ。停戦した上で外交でロシアを追い詰めれば良いことだ。必ずヨーロッパ諸国はロシアとの緊張関係は続いて行くだろう。

 今回のウクライナ侵攻で多国間の軍事同盟は意味があることが分かった。日本も日米同盟ではなく。アジア全体での同盟を模索すべきことが明白になった。対中国の同盟ではなく。中国を含めたアジアの同盟である。アメリカの思惑に乗せられてはならない。

 

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