日韓首脳会談

   



 岸田文雄首相は16日、首相官邸で韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談し、関係を正常化することで一致した。日韓の首脳会談によって2012年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に上陸してシャトル外交が途絶えたものを, 復活させることになった。

 期待できる急展開である。韓国の大統領が変わり方針が大きく変わった。この機会を逃してはならない。再度、無かったことにならないことを祈っている。同じような隣国であり、過去に日本の帝国主義が植民地化した台湾と韓国と競べると、韓国の日本嫌いと台湾の日本好きが顕著である。

 これは日本人も台湾好きが実に多い。私も時間があれば台湾に行きたくなる。先日台湾の桃園空港で、日本に戻れない危うい事件が起きてしまった。日本の帰国便に乗るためには、ワクチン証明書が必要となっていたのだ。証明書を撮影して、送ってもらって何とかなった。

 それをどうすれば良いか、その危機を台湾の飛行場スタッフが一緒に対応してくれた。それでなんとか危機一髪で石垣に戻ることが出来た。面倒くさいことになるすんでのところで、解決できた。一緒に心配してくれた、台湾人職員の親切な対応は有り難かった。日本ではあり得ないことだ。

 そもそも100年前の韓国には先進国意識があった。野蛮な日本という成り上がりの国に支配されたということ自体が、耐えがたいものだったのだ。大国中国の影響を強く受け続けたために、常に圧迫されている民族的宿命もある。間接的に支配されている中での国家運営が長かったのだ。

 韓国には、早くから中国の高い文化を直接的に受け入れてきたために、中国に対しても複雑な心情がある。韓国の独自文化といっても、必ず中国の影響が見え隠れすることで、韓国の難しい独自性。中国の時代ごとの政情によっても、韓国のありように変化が起きている。

 韓国には中国より細やかな感性の文化が存在し、絵画を見ると日本人にはなじみやすいものがある。古くから日本への文化的影響が強く、渡来仏百済観音や弥勒菩薩は素晴らしいものだ。飛鳥の壁画なども百済から来た渡来人が描いた可能性が高い。芸術性の極めて高い文化のある国なのだ。

 この誇り高い韓国人が、反日になるには当然の理由があった。日本が植民地化した時代は、韓国が衰退していた時代だった。明治政府はその帝国主義によって設立当初から征韓論があり、朝鮮半島の支配を目指す。そのために中国清との日清戦争が起こり、日本が勝利し、朝鮮は日本の植民地になる。

 しかし、反日運動は何度も勃発し激しく繰り返された。台湾のように、日本の支配を受け入れて、国作りに向かった国とは大きく違うのだ。台湾でも反日暴動は起きたが、それはむしろ原住民(台湾では古くから台湾に住んでいた山岳民族などをこのように呼んでいる。)による反政府運動と言えるものが多かった。

 韓国も台湾も経済で日本と同等ぐらいか、もしくは分野によっては追い抜いている。分野によって異なるが、いずれにしても台湾韓国日本の3国は経済的連携を持つことで、大きな経済的恩恵が生まれるはずだ。仲違いなどしている場合ではないのだ。協力しなければ乗り越えられない、状況が必ず来る。

 今回の訪日は、日米韓の軍事連携が主眼である。そのためのアメリカの仲介によって進んだと考えて良いのだろう。アメリカの仲介の裏側にあるものは実に危ういものだ。アメリカの防衛に、日本と韓国を前線基地にしたいという思惑だと考えておいた方が良い。

 中国とアメリカの対立というが、アメリカにとって中国は最大の貿易国なのだ。そのてんで今までの、自由主義と専制国家との対立とは意味が違っている。中国が遠からずアメリカの経済を凌駕する可能性が高まっている。軍事的にもアメリカを追い抜く可能性が高い。

 その時に、日本や韓国や台湾が中国側の経済同盟に加わる可能性がでてくる。地理的に考えれば可能性がある。経済は利益の出るところに結局は流れて行くのだろうから、アメリカとの軍事関係も微妙に変わる可能性がある。日本に中国の軍事基地が出来るなど想像できないわけだが。

 アメリカは当面韓国日本台湾の3国の連携を強め、アメリカが後ろ盾になり、中国と対立させる作戦を採るのだろう。それが南西諸島のミサイル基地である。中国が覇権主義的である。専制国家で民主主義がない。そして手強い国家資本主義である。

 中国は変わらざる得ないと考えて良いだろう。商人の体質が強いからだ。今は儲かる方向が、専制国家で民主主義を抑えた方が良いと考えているのだ。自由にやらせたら、中国人は汚職だらけになり、経済発展は出来なかったはずだ。中国が生長するためには専制的なやり方が必要だったと思う。

 中国は必ず変化して行く、中国人が専制政治を受け入れているのは自分の経済にその方が良いと考える間のことだ。急激な経済成長が鈍化してくれば、変化が起こる。覇権主義的な姿勢も変わってくるはずだ。中国人にとっては習近平は評価できる人なのだ。

 中国が変わるとすれば、中国を中心にして、日韓台も含んだアジアの経済連携を作った方が良い。
そういう時代が来ると考えて、今中国と対立を深めない方が良い。日韓で中国と話し合いの場を設定するべきだ。そうしたことを首脳会談で話したのだろうか。

 単独で中国と関わるよりも日韓が連携を取りながら、中国との経済関係を持つ方が良い。韓国は中国との関係を深めてきたわけだが、中国と言う国家資本主義のやり方で苦労が多いようだ。中国と経済で関わるには、やはり国際ルールを作る必要がある。

 その点で韓国日本台湾とが連携して、中国との関わり型を作る必要があるのだろう。WHOに韓国は日本の半導体材料3品目の対韓輸出規制強化はルール違反だとして、訴えていた。今回の大統領訪日を機に日本は今回規制を外した。

 対立していて良いことなど何もない。ユン・ソンニョル大統領の執った措置は立派な態度だと思う。韓国国内では評判が悪いことだろう。それでも日本と関係を修復しようと努力したことが、日本にとっては良い機会になった。日本もユン大統領が韓国国内で批判が高まらないように努力すべきだ。

 日本が行った植民地の時代に行った歴史的な不当な行為を忘れないでいることだ。今も日本国内に存在する在日差別問題も、早く解消すべきだ。日韓関係が良くなれば、北朝鮮問題も解決できる可能性が出てくる。日韓経済の互恵関係を深めて行くことだろう。

 - Peace Cafe