カンムリワシがまたケガをした。

   



 石垣島にはカンムリワシが居る。のぼたん農園にカンムリワシが3羽来る。このことは書かない方が良いと言われた。おかしな輩が読んで悪さをするかも知れないというのだ。いつも顔を合せているウチに、カンムリワシは私を確かに受け入れてくれた。

 餌をあげるようなことはしてはいけないと思うので、特別なことはしないようにしているのだが、すぐそばに巣があるらしいカンムリワシが3羽来る。大分私の姿には慣れてくれている。そばを歩いていても逃げるようなこともなくなった。作業をすると蛙やネズミやミミズなどが出てくるのを狙っている。

 普段はゆっくりした動きのカンムリワシなのだが、ネズミを捕らえたときの速い動きには驚くほどだ。ネズミでも蛙でも鋭い足の爪でつかんでおいて、くちばしで引き裂き食べている。すぐ目の前で落ち着いて餌を食べている。池や田んぼがあるから、餌が豊富なのだろう。

 そうしていたら、一昨日の八重山毎日新聞に崎枝の田んぼの畦道にカンムリワシがケガをして保護されたという記事があった。びっくりして、ノボタンノウエンで気になって空を見ていたら、2羽のカンムリワシが飛んでいた。これはケガをしたカンムリワシは、崎枝ののぼたん農園に来ている鳥だったと考える他ない。

 怒りが湧いてきた。許されないことだ。なぜ、そんなにスピードを出すのだ。特別天然記念物と指定してあるのに、行政の対応がほとんど見られない。一体、国も県も市もカンムリワシの保全にどんな手立てを考えているのだろうか。

 たぶん何も考えはない。何もやろうともしない。先日、交通事故に遭ったカンムリワシを保護するケージがないというので、クラウドファンディングで集めて、やっと建設されたくらいだ。100万円はすぐ集まってケージは出来たのだが、100万円のお金が準備できない、国、県、市という行政は情けないと思う。

 当然、カンムリワシが交通事故に遭わないための対策などまったく行われていない。道路に、カンムリワシが事故に遭った場所に、カンムリワシ事故注意の看板があるのが唯一の、対策だ。こんなことは焼け石に水だ。少しも事故は減らない。

 事故を防ぐためには何をやるべきなのか。先ずは行政が真剣に考えるべきだ。ボーとしているということは、事故を防ぐ気持ちが無いと言うことになる。具体的な行動を始めてほしい。カンムリワシが10羽は住んでいるという場所に、今度はゴルフ場を作る。

 その場所は国の補助金で牛を飼う団地として、開発された場所である。そうして農業予算で道路など整備した上で、今度はユニマットにゴルフリゾート用地として払い下げである。この許されないようなやり方には、おおきな利益がある。その利益は誰かがせしめたに違いない。

 ゴルフ用地と言えば、宮古島でも自衛隊基地に転用が行われ、市長が賄賂をもらって逮捕された。石垣島でも元ゴルフ場が自衛隊基地に転用が行われた。そのゴルフ場の所有者はどうも市会議員らしい。実態は何も私には分からないが、どうも納得は行かない気分だ。

 ゴルフリゾートがまったくだめだというわけではない。ゴルフリゾートこそ北部開発のための目玉にすべきだ。何も名蔵アンパルという、ラムサール条約締結地のすぐ上一帯に作ると言うことは、自然破壊の象徴のようなことになる。

 湿地へ供給されていた、地下水をすべてゴルフリゾートで吸い上げてしまうという計画なのだ。なぜ、天文台のあるばんな岳に作らなければならないのかが理解が出来ない。於茂登岳に自衛隊基地を作ったことと、なぜか似ている。自衛隊基地が水資源におおきな影響が出る。

 自衛隊基地も元々カンムリワシが営巣していた場所である。どんどんカンムリワシの暮らしている場所が狭まっているのだ。観光の島のゴルフリゾート開発。仮想敵国中国に対する、ミサイル基地建設。こうして、カンムリワシがどんどん軽視されている。

 このことは実は石垣島の住民も軽視されているということなのだ。SDGZの島と言いながら、島の永続性は危機にさらされている。自然環境の破壊はめざましいものがある。ところがカンムリワシの事故防止には何一つ行われようとしない。

 やるべきことは山ほどある。みんながよく言うのは、レンタカーの乱暴運転である。観光客にはカンムリワシの出現カ所がよく分からない。当然どこでもスピード違反である。カンムリワシ事故の大半が観光客のレンタカーではないかと想像されている。

 これをどう防ぐかである。レンタカーにスピード制限をかける。それが出来ないのであれば、ドライブレコーダーを義務づけ。スピード違反を返却時に把握する。スピード違反をしたものは名前を公表して、次回の貸し出しを禁止。石垣島が自然の特別な島であることを主張した方が良い。

 公用車にはすべて、カンムリワシ事故防止のおおきな表示をする。そして、車の流れを緩やかにする。カンムリワシ事故地点は誰にでも分かるように、道路に標示を大きく行う。道路にスピードを出せないような、路面対策をする。

 一方で、生息地
の自然環境の回復である。まず水場の整備である。溜め池等の水環境が農薬というの汚染によって、水生生物が激減している。そのためにカンムリワシの餌が不足している。そのためにカンムリワシは道路に出て餌を採ろうとするようになったのだろう。

 餌場が増えれば、その当たりを中心にして営巣するようになる。のぼたん農園もそうした餌場になっている。石垣島の各所に5キロ置きに、農薬の入らない水場があるような状態が作れれば、水生生物は回復する。現在も点在している、赤土流出防止沈殿池なども利用できる。

 
 
 

 

 - 楽観農園