田んぼで堆肥作りを始める

   



 田んぼで堆肥作りを行うことにした。田んぼに腐植を増やしたいからだ。伝統農業では誰もが行っていたことだ。化学肥料が無い時代は落ち葉を集めて下肥を混ぜて大きな山に積み上げていた。子供の頃の境川村では当たり前の事だった。

 来年の田植えまでに少しでも、土壌をよくしたい。それを田んぼに参加しているすべての人で行うことにしたい。参加者が沢山いるのだから、家庭で出る生ゴミを集めるだけでもかなりの堆肥が出来るはずだ。参加者の誰もがいつでも田んぼ良く出来る仕組みが大切だ。

 石垣島には葉山町発のキエーロの活動をされている人達もいる。ダンボールコンポストをやられている人もいる。私は小田原でダンボールコンポストの活動を立ち上げた。その時出来た堆肥の行き場として実証実験農地に小松菜を植えて実験をした。

 家庭ごみの堆肥化したものは肥料効果は高く、安全なものであった。その活動は環境省大臣賞を受賞した。石垣島のシーラ原田んぼでも生ゴミ堆肥が利用出来た堆肥が利用できれば、生ゴミ処理の新しい流れが出来ることにもなるかもしれない。

 もちろん山には年間を通して大量の落ち葉があり、海には季節ごとに打ち上げられる海藻がある。うまく堆肥化して農業利用するのは伝統農業では必要不可欠なことだったはずだ。そうして亜熱帯の土壌を維持していたに違いない。そういう努力で農地の健全な循環が保たれていたはずだ。

 常緑の島には落ち葉が年間を通して沢山落ちている。海岸には海藻が打ち寄せられることがある。これらを機会あるごとに集めてきて、堆肥に加える活動も平行してやりたい。なんと言っても落ち葉堆肥は畑の土壌の改善には最高のものになる。

 周りの山にもいくらでも腐葉土がありそうだ。山の掃除のつもりで、何でも集めて堆肥にしたらいいのだろう。草刈りも常にしなくては成らない。その草を堆肥にすれば、これも材料になる。あの困るアメリカハマグルマも堆肥材料と思えば、我慢できるかもしれない。

 先ずは田んぼの脇に90センチ角のコンパネの枠を作る。四つ作り2段を二つ並べておくところから始めたい。米ぬかも脇に用意しておき落ち葉や草や生ゴミを入れる都度、米ぬかを振りかけておく。これを繰返し、1ヶ月ごとぐらいしたら左右の箱に移し替える。

 堆肥の切り返しになるだろう。雨水は入らないようにビニールシートをかけておきたい。回りはゴムで止めておけば良いだろう。田んぼ参加者全員の生ゴミ堆肥化活動にしたらよい。全員で田んぼの土を、有機農法が出来る土壌に育ててゆくという伝統農業の原点に立ちたい。

 実はこれはアンパルの会の事務局長の山崎さんからのヒントがあって考えたことだ。田んぼの会のみんなが、一つの方向を共有するために何か一緒になってやれることが必要である。それが土作りでは無いかと言われた。こういう素晴らしい人に出会うことで、ついつい本気になってきた。ちりも積もれば山となる。根気よく腐植を増やすことが、田んぼにとって一番重要なことだ。

 すでに山崎さんは落ち葉を集めて持ってきてくれた。堆肥枠の材料は用意したので、17日の日曜日には早速作り、第一回の堆肥の仕込みということにしたい。田んぼに来るときには、生ゴミやその他の堆肥材料を持参で来るというような習慣になれば、田んぼへの参加者意識も変わってくるだろう。

 石垣の土壌の特徴は極端に腐植が少ないと言うことだ。強い日照にさらされていると言うこともあるだろう。田んぼは耕地整理がされて、土壌が人工的なものに置き換えられている感じもする。その土壌で、化学肥料と化学農薬による、大型機械による農業が、一年2回の耕作が繰り返されて来ている。

 こうした耕作の間に田んぼの土壌は腐植を失い、微生物の繁殖もかなり少ないものになっていると思われる。この土壌を有機農業が出来る土壌に戻すためには腐植の量を増やす事が基本になる。伝統農業のように落ち葉を集めることになれば、あちこちの掃除をすることにも成る。

 腐植を増やして、土壌微生物を増加させる必要があるだろう。そのためには良質な堆肥を大量に入れる必要がある。牛糞が長年山積みされているところもあるらしい。これらを貰ってきて堆肥に混ぜて再発行させて、田んぼに入れることが出来れば、土壌改良になる。

 7月から2月までの長期の湛水を行うことが出来れば、これも土壌の腐植を増やすことになるだろう。田んぼで絶滅危惧種であるアカウキクサを増やすことが出来れば、これもよい緑肥になる。アカウキクサが見つからないとしても石垣島で保全が必要な水草類があるならそれを田んぼで育てたら良い。

 長期間湛水すれば、それが水鳥たちの餌場になり、休憩場所になる。土壌も良くなり、その上に石垣島の環境保全にも成る。地下水の環境にも成る。赤土の流出の軽減にも成るだろう。まさに田んぼは循環型生活の基本の農業になることだろう。山崎さんから提案のあった、田んぼで堆肥を作ろうは未来に繋がりそうだ。

 「堆肥場」の目印の旗を立てて貰いたいというのが、山崎さんの要請でもある。旗があれば、多くの人に生ゴミ堆肥などを持ってきて貰えるというのだ。なるほどこれもおもしろい考えだ。風が相当に強いから、丈夫な旗にしなければならないだろう。

 田んぼの活動を、生ゴミを燃やさない活動とリンクさせることも出来る。石垣市の学校給食で残渣が出ていて、堆肥にせずに生ゴミとして処理されているとすれば、それを堆肥化して田んぼに入れたいと思う。各学校で堆肥にする活動を行うのも意義があるだろう。石垣市の給食センターには質問メールを入れたがまだ返事は無い。

 石垣島には生ゴミ堆肥化のキエーロの活動やダンボールコンポストの活動がすでに行われている。学校の食品残渣も堆肥化されているのかもしれない。そうした活動と、連携が取れるようになれば大きなネットワークが出来てくるはずだ。

 島のごみ問題はいかに減量して島の土壌に戻すかが鍵だ。生ゴミは燃やさないですべて堆肥にするくらいの気持ちで進めないと、島はごみが溢れることになる。田んぼの堆肥作りが、生ゴミの減量に繋がれば、田んぼの意義が多くの人に受け入れられることにも成る。

 考えているだけで希望とやる気が出てきた。色々な石垣島で必要な役割が見えてきたような気がする。田んぼを始めるのは止めようと思っていたのだが、やって良かったと思っている。多くの人と繋がることが出来たし、石垣の自然とも繋がりが出来た。

 絵を描く為には田んぼをやる必要があったようだ。絵がドンドン描けているのも田んぼを始めて元気になっているからかもしれない。今日はどのように進めるか、大倉さんという方に相談に行くことにしている。

 - 「ちいさな田んぼのイネづくり」