石垣島のパフィオ栽培

   



 石垣島でのパフィオペディラム学名:Paphiopedilumの栽培について現時点での観察を記録します。ちょろりさんから栽培法の要望がありましたのですが、気候が違いすぎて参考には成りませんが、少しだけ書いておきます。

 栽培数は原種を30種ぐらい。全体では50株ぐらいがあるかと思います。なんとなく鉢の数は100ぐらいありそうに見えます。子供の頃母がパフィオを栽培していたのが始まりである。山北にいた頃は当時あるとされていた70種の原種のほとんどを栽培していたから、相当数栽培していた。

 今はパフィオペディラムは100種を超える原種の数になっている。全くの新発見も数種はあるようだが、分類のみなおしがあり、別種とされたものが多いように見える。パフィオはアジアの熱帯から亜熱帯に分布している。インドからボルネオ香港当たりまでに生息するラン科植物である。

 近縁種として、南米にフラグミペデュラムという種類の蘭があり、両者は交配することが可能である。コンティキ号で南米に渡ったのであろうか。一度レッドファイアーという品種を属間交配して作出したことがある。但し登録については先を越された。



 パフィオは栽培は困難な植物と考えて良いかと思う。生息地の環境が特殊なものが多く、なかなか温室の中ではその環境は再現が出来ない。一般に小田原や東京当たりの環境では、温室の無い栽培は難しい。冬の乾燥と低温が障害になる。

 温室の中に閉じ込めて栽培をするためにどうしても、ナンプ病などの病気が蔓延しやすい。殺菌剤を時々散布して栽培する事が多いだろう。加温に関しては大半のものは13度ぐらいの最低気温で何とか冬を越せる。むしろ夏の暑さで枯れてしまうものが多いかと思う。

 10年間株を維持できたものは少なかったと思う。一度は花を咲かせられるのだが、その後だんだん弱ってしまうことが多かった。だから大株にすると言うことはほとんど無理な植物である。



 これは原種に関してのことで、交配種に関して言えば、かなり強健になっていると言って良い。雑種強勢というか、強い生き残ったものが品種として残されているからと言うこともあったのかと思う。今はプライマリー交配は少しあるが、ほとんどが原種である。

 石垣で栽培を続けた理由は、たまたま農協のユラテーク市場にあった蘭を購入したら、余りに強健なもので、びっくりしてしまったからである。これなら一番好きなパフィオも栽培できるかと考えて、徐々に様子を見ながら始めたところである。

 置いてあるところは、写真のように駐車スペースの脇の狭い場所である。お隣との境のブロック塀の前に棚を作り、並べてある。上には日除けのダイオネットを二重にしてかけてある。蘭の所の上だけは屋根はない。雨はそのまま当たる。



 但し直射日光は当たらないようにしている。この場所以外に置くところもないのだが、案外にこんな場所がパフィオには悪くないように思う。パフィオの他の蘭ではカトレアの原種トりアネイ何種かと、バンダのセルレアが、並べておいてある。もちろん日当たりを考慮しての配置。

 パフィオだけでも良いのだが、他のものも置くことで、栽培条件の観察をしてゆくためである。バンダの気根がどの程度のびるものかで、湿度環境が分かる。カトレアの冬の様子で、気温の条件が見えてくる。温度計の気温だけでは分からない冷え方などもあるものだ。

 そういう意味ではパフィオは地生蘭だから根の様子が分からず、気がついたら枯れていると言うことがままある。ともかくここまで観察をしてきて、石垣島に向いているパフィオの傾向が、すこしづつ見えてきたところである。

 ロスチャイルドディアナムやフィりピネンセのような大型株になるタイプのもの、緑葉で厚葉タイプが一番向いているようだ。デレナティーやワーディーのような斑入り場の葉の薄い小さなものはナンプ病にかかりやすいように見える。

 株は日本の各地のネット通販で探して購入している。沢山の蘭やさんがネット通販をしていて、訪ねてゆかないでも簡単に購入できる。コロナ時代向きかもしれない。何回か購入している内に信頼できる蘭やさんがどこかがだんだん分かってきた。本当は台湾の蘭やさんを訪ねて購入したいのだが、今のところはできないでいる。

 石垣島は風が吹く日が多く、また湿度が高い。これがパフィオには良いようだ。夏は暑いことは暑いのだが、風があるためか、暑さでやられる様子は無かった。水は乾いていたらやるようにしている。雨が続けば、水やりは当
然しない。

 コンポストは植え替えのタイミングを見て、ミックスコンポストに変えている。そこに珊瑚のかけらを混ぜている。ミックスコンポストだと、植え替え時に根を傷めることが少ない。パフィオの栽培では水苔が良いのかもしれないが、水苔は高層湿原に生育する貴重なこけだから余り使いたくはない。ミックスコンポストで充分生育するようだ。

 肥料は液肥のHB-101を一万倍くらいに薄めて、忘れた頃にかけている。植物抽出液ということだが、効果があるのかどうか今のところ分からないが、気分的な意味でかけている。時に、えひめAIも薄めてかける。これも意味があるのかどうかまでは分からないが、いくらかナンプになりにく事を期待してかけている。

 - 石垣島