田んぼはハザガケから脱穀へ

   


  欠ノ上田んぼと、柿の下田んぼの眺めである。もう終わって何もないところが、柿の下田んぼである。間に柿の木があって、そこから上が欠ノ上田んぼである。上の田んぼの稲刈りは今週の2,3日である。

 奥のまだハザガケが残っているところが、マンゲツモチである。ここも夕方にはすべては脱穀が終わった。台風が来るというので、時間があったので、急遽脱穀をしてしまう事にした。風で倒されたハザガケほど始末に置けないものはない。

 この久野川の欠ヶの上の谷間に、棚田全体では1ヘクタールほどの農地を借りて活動をしている。写真を写しているところが、バス道路でそこより上には欠ノ上の集落がある。江戸時代の初期に田んぼが出来て、集落が広がってきた場所である。

 この上の子の神とさらに上の舟原の集落にも田んぼを借りている。そしてお隣の谷間の坊所でも田んぼをやっている。田んぼのやり手がいないという事で、貸していただいている。機械小屋が舟原にあるので、この周辺で作業をすることが一番都合が良い。

 10月29日脱穀を行った。24,5日に稲刈りをして、ハザガケをしてあった。少し早い脱穀であるが、台風が近づいているので、緊急にやらざる得なかった。幸いなことに、稲刈りをしてから好天が続き、イネは良く乾いていた。一度も機械は止まらなかった。


 田んぼは一つが4畝とか、5畝とかに、分かれていて、それぞれが段差があり、上の田んぼから順番に下の田んぼへと水は廻っている。田んぼの数は20ある。最後の最後の田んぼは水を排水はしない。一番上で入れた水が、田んぼの中で消費される作りである。

 各田んぼに担当が決められている。田植えとか、稲刈りは全員でまとまってやっているが、草取りなどは各担当者が行う事になっている。田んぼによって収穫量に違いはあるが、おおよそ畝取りになっている。お米の分け方は全体で平等に行う。少し、大小はあるので公平という事は難しいところだ。

 お米は1か月10キロ。一年120キロ。費用は1万円というのが、目標である。大体これよりは良い。120キロ配ってまだ余れば、会員価格でもっと欲しい人が、購入できることになっている。

 その販売した費用があるから安い会費になるという事もあるが、ともかくお米を畝取りできるという事がなければ上手く回らない。栽培技術がとても高いという事が、会費が安くなる要因である。

 今年も柿の下田んぼの脱穀した袋の数からすると、畝取りは間違いないと思われる。全体での品種は、「ハルミ」「マンゲツモチ」「サトジマン」である。作りやすい多収米という訳ではない。神奈川県の平均収量は8俵ぐらいだから、安定して10俵とれるという事は有機農法のお陰だと思っている。

 確かに慣行農法よりも手間はかかるが、自然に従う農法の方が、イネが元気になり、大体に背丈も1メートルを超えて高くなる。茎も太くなりがっちりした株になる。サトジマンの止葉は今年も幅2センチ、長さ60㎝あった。分げつは一本植えで20本を超える。

 栽培は緑肥とソバカスで作る。穂肥には食品残渣から作る二見堆肥を使っている。久野にある4か所に分かれた農の会の田んぼはどこの田んぼもほぼ畝取りを達成している。農の会の稲作が農業技術として確立していると言っていいのだろう。


 29日は柿の下田んぼの脱穀を行った。軽トラに積んであるハーベスターで行う。ハーベスターで行う脱穀の方が、コンバインの稲刈り脱穀よりも、5%はお米が無駄にならない。コンバインは食べれるお米まで風で飛ばしてしまう。青米だって十分食べれるのだから無駄にはしない。

 足踏み脱穀機で行うところも一か所あるが、基本はハーベスターだ。一日2~3反ぐらいが脱穀できるペースである。全体を行う時は2台で同時に進めることが多い。大抵はどこかで機械が詰まり掃除をすることになるからだ。

 イネ藁が良く乾いて居ればよいのだが、大抵は雨などでなかなか乾かない。今年は台風が来るというので、その前にハザガケしたところは脱穀した。強い風で、ハザガケが倒されてしまう事が良くある。雨に濡れて、ハザガケの棹が折れてしまう事もある。

 ハザガケは自分の都合ではなく、その時の状況次第で臨機応変にやらなければ、良い作業は出来ない。人の数は最低3人でやりたい。一人だってできないことはないが、どうしてもお米が無駄になる。お米を一粒たりとも無駄にしない脱穀には3人必要である。

 今年意外だったことは「ハルミ」という新しい神奈川県の奨励品種が良くできたことだ。このお米は神奈川県のJAの研究所で作出されたお米だと聞いている。農協自身が作ったお米が特Aをとったということで、とても注目されている。

 特Aということは味覚が良いという事で、たいていの場合は作りにくいことになる。ところが今年の様子では、サトジマン以上にできていた。予想外のことだったが、これはかなり期待できるお米という事になる。味が良くて作りやすいのであれば、今後ハルミに変えてゆくという事も考える必要がある。背丈が低いという事であったが、有機農法で作れば背丈は1メートルを超える。

 サトジマンもおいしいお米なので、早く籾摺りをして食べてみたいと思っている。サトジマンよりも少し早稲傾向があるという話だったが、実際の所はさして変わらなかった。作業をずらすという意味では奨励品種では光新世紀というお米が少し遅いという事になる。

 サトジマンは良いお米だと思うが、こうして作られない事になってゆくのだろう。止葉がとても大きくなり、有機農業向きのお米だと思っていたが、場合によっては「ハルミ」に変わるのかもしれない。何もこだわる必要はない。味が良くて作りやすいのであれば、全く問題がない。

 特Aのお米であれば、販売するとしてもやりやすいであろう。柿の下田んぼのハルミはかなり早く刈った。欠ノ上と作業をずらすためである。早く刈って収量が畝取りで来て、アジも良いのであれば全く問題がない。全く倒れてもいなかった。
  石垣島田んぼの種籾として、「ハルミ」1㎏「サトジマン」4㎏小田原の冷蔵庫に保存。

 

 - 「ちいさな田んぼのイネづくり」