農作業連続10日でも大丈夫
蕎麦ガラが田植え後の水面に漂う様子。この状態が上手く維持できれば、田んぼの草は発芽できない。風ですぐ流されるので、少しづつしか撒けない。多すぎると苗を押し倒すことにもなる。細やかな調整が必要になる。
小田原に来て5月26日から農作業を始めた。6月3日の大麦の脱穀まで、連日農作業三昧である。充実した日々を過ごしている。疲れて手が止まると、渡部さんから笹村さんの農作業は修行ではないのですかと、言われてしまった。確かにその通りだが、修行は足りていないようだ。渡部さんは1000日回峰行の行者のように働き続けている。農の会の大阿闍梨と言えるだろう。いくらかでも学びたいものだと頑張っている。
6月2日の作業で言えば、6時30分に田んぼに行って水回り。少し捕植。土の状態の観察。田植え後日々土が変化している。畑から戻したばかりの土に植えた稲がどういう事になるのかを興味津々で見ている。土を均すためにトンボで土を動かした部分のイネが、一番強風にやられた。田んぼのトロトロ層がイネに重要なことが良く分かる。
風で葉が白くなり枯れてしまった。2日間強風が吹き続けた結果である。これほどの強風が続いたことは過去に経験がない。枯れた所と、何でもないところがあった。風の通り道のような場所も良くなかったようだ。直播の田んぼのイネは全く影響もない。やはり、植え付け直後は風の影響を受ける。
土に赤虫が大量発生した。初めての経験である。ミジンコも大発生しているが、これはいつものことで驚かないが、D田んぼでは水が濁るほどの大発生である。イトミミズは居ない。D田んぼは最後の田んぼで、上部の18枚ほどの田んぼの水がここに集まる田んぼである。
田んぼの水は外には出さない。必ず次の田んぼに流し落とす。落とす時に落差があれば、曝気効果を期待して石に落とす。次々に流れ落ちて最後が19枚目のD田んぼである。水は田んぼで作られているので、もったいなくて捨てられない。
最後の19番目の排水しない田んぼはいつも濁り水である。きっとこの田んぼは良い田んぼになることだろう。草を抑草するほどの濁り水で田面が見えない。現在田んぼは8㎝ぐらい水深で水が張られている。水深を図る棒を昨日設置した。
今思い出したことだが、稲葉式有機農業では田植えの後は田んぼには一切入らない。草が出ないので、草取りにもコロガシでも田んぼに入ることはない。農の会では吉宮さんがそれを実現している。吉宮さんは3回代掻きをしている。どういう土壌の状態なのか、私は理解できないでいる。私の土壌管理とは真逆である。
吉宮さんは1反分の種籾として700gしか播種しなかったそうだ。それで苗は足りたと言われていた。計算してそれで十分という結論になったのだそうだ。それを実行してしまうところがいかにも吉宮さんで、すごいものだ。播いてから田植えが終わるまで心配でなかったですかと聞いたら、それはそれは心配したそうだ。それでも実行してしまうところが超人である。
私は1反1キロと考えてきたのだが、それ以下の人がいたとは驚いた。そして、1㎡に70gぐらいしか撒かないのだそうだ。私は一㎡に200グラム播く。吉宮さんの田んぼは確かに素晴らしい苗が出来ていた。苗取りも根が絡まず取りやすかったそうだ。
9時30分から田んぼの捕植。風でやられた株を引き抜き、新しい株を植えた。これが一時間ぐらいでCを完了。C田んぼはすべて一本植えでサトジマンの種取り田んぼ。この田んぼの分げつの多い株から種籾は取る。分げつの多い品種に固定したいと選抜を繰り返している。
C田んぼでは一部でガスの発生がある。捕植しているとそうした部分的な違いが分かる。但し、ガスは二酸化硫黄の匂いはなく、問題のある腐敗ではない。一日一日田植え後に田んぼは安定してきているようだ。ここも赤虫もいるし、ミジンコも出ている。
10時半から直播田んぼの苗取り、昼までやっても終わらず、昼からも続けて苗取り。これが終わったのが4時過ぎていた。直播田んぼ16㎡の小さなものだが、ここは筋蒔きをしてあり、1畝ほどの東田んぼの苗床にもしている。疎に播いてあるので良い苗が出来た。1㎝間隔に一粒の種が播種量としては適当なようだ。
その後水漏れなど直して、少し捕植。そして畔に大豆苗の植え付け。50本ほど。畔大豆を昔からやりたいと考えてきたのだが、これが出来ないできた。今回は苗を1か月前に蒔いて、田植えが終わり植え付けである。草刈りが出来ないからやめてほしいという事だったが、どうしてもやってみたかったので、ぜひともとお願いしてやらしてもらった。
私には田んぼの畔に大豆が作られてこそ、自給の田んぼだという考えがある。ところがそう思いながら、案外に実現できないできた。種をまいても発芽しなかったり、発芽してもよく実らなかったり。もちろん良くできた年もない訳ではないが。
今回はC田んぼが3畝のちょうど自給用の田んぼぐらいの大きさなので、その畔に大豆があってほしいと考えた。畔大豆の風景が見たいという気持ちだ。前にも9番田んぼにある大豆を毎朝の水回りの時に観察した。これで大豆という物がだいぶ理解できた。9番田んぼの畔は目の高さだから観察には絶好だったのだ。
ほぼこんな感じで何らかの農作業が続いている。こうして何らかの農作業があるのは悪くない暮らしである。3日も朝6時半から田んぼの水回り。昨日より入水を弱めたのだが、どういう結果になるか。興味津々で見に行った。少し土が出ていた。
そして9時から大麦の脱穀。12時まで機械小屋下と、東さんの畑の大麦の脱穀にかかった。良く乾燥していて、機械は順調に稼働した。機械小屋の下の3畝ほどの畑は80キロは超えた収穫である。東さんの所は1畝で30キロあった。両者ともよい成績だった。
今日は一日雨なので、箱根に絵を描きに行く。5日が総生寺裏の畑の大麦の刈り取り。ハザガケ。6日が溜池の草刈り。7日には田んぼでコロガシ。8日にはタマネギの収穫。9日に大麦の脱穀。10日11日は山梨に絵を描きに行く。11日に枇杷とキンカンの収穫。12日にジャガイモの収穫。13日に荷物の発送と大麦で麦茶づくり。そして14日に石垣に帰る。
というのが残りの小田原生活である。折り返しまで来たが身体も別段おかしいところはない。まだ普通に農業生活ができた。有難いことである。こんな充実した暮らしが出来るありがたさは農の会のみんなのお陰である。もう、ジャガイモやタマネギを食べているのだが、何と美味しいことか。今朝は豆ご飯をこれから炊く。